【自由な結婚】vol.5「同じマンションの別の部屋に住む。そんな夫婦の形もある」

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2018.08.21.Tue

結婚は自由だし、結婚をしない生き方もある。法律婚にとらわれない、いろいろな結婚のスタイルがあっていい――。
本連載【自由な結婚】では、そんなメッセージを伝えるコンテンツをお届けしていきます。vol.5では、『オトナ婚です、わたしたち: 十人十色のつがい方』(大塚玲子/太郎次郎社エディタス)をご紹介。

第1部で紹介されている、事実婚カップルと別居婚カップルの事例を取り上げながら、結婚の在り方を考えます。

同じマンションで別々の部屋に住む夫婦

ひとり目は漫画家・イラストレーターのしばざきとしえさん(40代後半)。『じつはウチ、フランス婚~結婚してない、でも家族~』(モバイルメディアリサーチ)や『オトナ婚 私だけの自由な結婚のカタチ』(エンターブレイン)など、事実婚について綴った著書があります。
一度の離婚を経て、30代になるころから、今のパートナーと「同じマンションの別の部屋」で暮らし始めたしばざきさん。籍は入れていません。本書ではそれを「半同居事実婚」と表現。
グラフィックデザイナーのパートナーは自営業で、しばざきさんも彼の部屋で仕事をします。朝以外の食事は一緒にとり、寝るときは別々。それぞれの部屋で眠ります。
1分もかからずに、互いの部屋を行き来できる。近いけど、一定の距離感を保った事実婚――。しばざきさんが、そのスタイルを選んだ理由はいくつかあります。

(1)一緒に住むと自分が相手の気になることを指摘してしまうから
(2)起き抜けのぼやっとした状態を見られたくないから
(3)関係が悪化したときに惰性で一緒にいたくないから

などです。

パートナーと一緒に住みたくない理由

結婚・離婚経験がある私も、これらの理由は共感するところが多いです。ではくわしく見ていきましょう!

(1)については、夫婦はそもそも他人。お互いの習慣やクセに気になるところがあって当たり前。一緒に住んでいると、どうしても目につくこともあります。それを口にすると、口うるさい人と化して、どことなく険悪な雰囲気に。

(2)については、だらしない部分、ブサイクな部分を見せると、パートナーが自分に対し「女」を感じなくなりやすいため。結果、関係が男と女ではなくなり、センシュアルな雰囲気が漂いづらくなるのは事実。セックスレスに結びつくことも。

(3)については、関係がギクシャクしても逃げ場がない、完ぺきにひとりになれる場所がない、というのは苦しいです。私も、冷たい雰囲気になった家でふたりで暮らしていた時期、妙な寂しさ・虚しさを感じたことを思い出しました。

家賃を2倍払っても得たい快適さ

自分自身が精神の安定を保ち、機嫌よく生きていけないと、パートナーとの関係もうまくいかないと思います。そう考えると別々の部屋で、別の世帯として暮らすというのは、ひとつの賢い選択肢ではないでしょうか。
とはいえ、他のカップル(一緒に暮らしているカップル)と比べると、家賃を2倍払う必要があります。それを「ムダ遣い」「もったいない」と言う人もいるかもしれません。
でも、それは他者からとやかく言われることではないし、お金の使い方は自由です。自分が大事にしたいものが見えていて、それを手にするのに必要な別居なのだから、まったくムダではないと私は思います。

熱海と東京で別居する夫婦

ふたり目は熱海で塾を経営する光本歩さん(20代後半)。バングラデシュ人のパートナーとは婚姻届を出しているけれど、一緒に住んでいません。パートナーは都内で貿易会社を経営しているため、物理的に住むのが難しいと言います。
それぞれの地で、各自やりたいことがあるからこそ、選択した別居婚というスタイル。お互いの家を行き来するとなると、片道2時間弱かかるため、頻繁には会えません。月に1〜2回、顔を合わせる程度。
「それって結婚してるの? 家族なの?」そんな声が聞こえてきそうですが、光本さんはこんな言葉を残しています。

「心から信頼できる相手がいるっていうのは、支えになる部分があります(中略)わたしの専用カウンセラーみたいな人。形ではないんですけど、相手を信じられるんです」(56ページより引用)

結婚も家族も「定義」は自分たちで決めればいい

何をもって結婚というのか、家族というのか。本書に出てきた数々の事例を読んでいると、結婚の定義も家族の定義も、自分たちで決めればいいのだと、改めて思わされました。
辞書に書かれている結婚の意味、法律に定められている結婚の定義がすべてではありません。ひとりひとり、結婚や家族への考え方が違うのは当たり前。すべての人たちに既存の意味や定義が当てはまるわけがないのです。
一番大事なのは、自分たちが「(本気で)心地よい」と思えるパートナーシップの形を模索すること。ふたりが納得していて、いいと思えるあり方を選ぶのが理想。
自分たちが「好もしい」「いいな」と思える関係性を作り上げていくこと。それができるパートナーと出会い、真面目に向き合うことができたら、素晴らしいパートナーシップを築けるのではないかと、希望を胸にすることができました。

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。
写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子