恋愛にルールはいらない #4「自分の情報開示はほどほどに」

恋愛ルールやハウツー、テンプレートは数あれど、それらを信じすぎたり、振りまわされたりするのはもうやめませんか? 恋愛はひとりでできるものではなく、相手がいて成立することですから「◯◯すれば絶対にうまくいく」というものではないのです。本連載では恋愛シーンにおける固定観念や思い込みを捨て、自分らしく、心地よく恋愛を楽しむ方法を提案します。

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第4回目で考えたいトピックは「余計な情報をていねいに開示しちゃう人」。SNSが普及し、「自分をもっと知ってほしい」「私ってこういう人なの。わかってね」と、自身の情報を積極的に知らせようとする人が目立つようになったと思います。日々そういった個人の情報があふれるSNSを見ていて、リアルの場面でも「情報の出し方」に着目するようになりました。

先日、そんな情報、出しちゃうんですか? と驚いた出来事があります。ある飲み会で、参加者の女性が「DV男と付き合っていたことがある」とカミングアウト。しかも、元恋人の複数人にDVの気があり、各件について詳細な説明を加え始めたのです。その場にいた男性陣はいいリアクションを寄越しつつも、内心では戸惑っている印象を受けました。


あえて言わなくていい情報はある

彼女は自虐ネタで場を盛り上げようと試みてくれたのかもしれません。とても正直な人、つまりは嘘をつけない人なのかもしれません。事実をすべて話さなければ気が済まない人なのかもしれません。

でも、それ以上に、自分の言葉で自分を語ることで、自己を知ってほしい人なのではないか、と私は観察していました。というのは、訊かれてもいないのに、前出の情報を口にしていたからです。

なんだかもったいない、と感じてなりません。正しい情報を開示するのは悪いことではないし、非難されることでもないですが、誰しも「わざわざ言う必要のない情報」を持っているはず。それを自らすすんで拡散しようとするのは、損にしかならないのでは。お節介かもしれませんが、そう見てしまいました。

余計な情報を出して生じるデメリット3つ

余計な情報を開示することがもたらすデメリットは大きく3つあります。1つめは「口が軽そうだ、ムダにおしゃべりだ、と認識される可能性があること」。たとえこの女性と付き合ったとしても、別れた後、こうしてお酒の場で肴にされてしまうんだろうな……と、男性は受け止める可能性があります。

2つめは「消費されて終わる可能性があること」。飲み会の場で「えー、そんな男と付き合ってたの!? そりゃ強烈だね……!」と盛り上がったとしても、その場で詳しい情報を公開尽くしているわけですから、二度目に会う理由はなくなります。「一発屋系コンテンツ」として味わわれて終わる可能性があります。

3つめは「自分の価値を下げている(ように見える)こと」。彼女としては幾人ものDV男と付き合っていたのは「武勇伝」なのかもしれません。でも、それは武勇伝でもなんでもなくて、「私はよろしくない男たちを自分の意思で選択し、付き合っていました」と宣言しているようなもの。自分の見る目のなさやDV男への傾倒をアピールしているにほかならないのです。

自分の話は「ほどほど」がいい

上の例に限らず、自分の見せ方で損をしているような、残念な情報開示や発言をしている人を見る度に、私はこう思います。「黙っておけばいいのに」と。ただ、言わなければいいだけなので、決して難しいことではないはずです。

自分に関しては、必要最低限の情報開示をするにとどめ、基本的に相手に質問を振って、相手の話を広げていけば、相手は心地よく感じるもの。別に自分のことなんて、知ってもらわなくてもいいじゃないですか。身も蓋もないことを言っておくと、いくら自分が言葉を尽くして説明しようと、言葉など所詮無責任。他人は自分が見たもの、感じた印象でしか判断しません。

ひとしきり相手が存分に話したあと、「◯◯さんは?」とこちらに話を振ってきたら、ミニマムにまとめて返答し、また相手の話に戻していく。それを繰り返していると、「もう一度会いたい人」、ひいては「くり返し会いたい人」のポジションを確保できるようになる、と思います。

自分の情報開示は「ほどほど」でちょうどいい。開示しすぎても、しなさすぎても、いい方向には進んでいきません。ただ、基本的に「自分のことをペラペラしゃべらない」「相手を引き立てる」スタンスを貫いておけば、悪いことにはならないはずです。

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2016.11.24

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子