【趣味と私と人生と】vol.12 狛犬は可愛くて個性があるから、愛でる喜びがあります(ミノシマタカコ)

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2019.04.09.Tue

心から「楽しい」「最高」と感じられる趣味があると、人生はよりおもしろく、彩り豊かなものになります。趣味という名の美しい沼に浸かっている人たちを紹介していく連載【趣味と私と人生と】。
最終回となる第12回目は「狛犬(こまいぬ)」を愛する、ミノシマタカコさんに登場いただきます。

落語漫画にハマったのをきっかけに、狛犬の世界へ

ここ数年、御朱印ブームが続いています。初詣以外でも、神社に足を運ぶ人は増えたのでは? でも、お参りしたときに神社の境内や参道で参拝客を迎える「狛犬」に目を向ける人は、どれくらいいるのでしょうか。
「狛犬愛好家」の存在を知ったのは、知り合いのライター/編集者、ミノシマタカコさんが、SNSに狛犬にまつわる投稿を始めたのがきっかけでした。何がきっかけで狛犬好きに?

「漫画『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ、講談社、2010年~)にハマって、それから落語にのめり込むうちに、落語家の三遊亭円丈師匠にたどり着いたんです。師匠のHPに載っていた狛犬を目にして『可愛い!』と興味を持つようになりました」

熱心な狛犬研究家としても知られる三遊亭円丈師匠は、全国の3000超の寺社を訪ねて、“狛犬巡礼”をして書籍『The狛犬コレクション』(立風書房)を出版しているほど。ミノシマさんは師匠が会長を務める日本参道狛犬研究会にも入会。

一つひとつ個性がある。だから狛犬鑑賞は面白い

狛犬を愛でるようになって早5年。ミノシマさんにとって、その一番の魅力はひとつとして同じものがなく、それぞれの個性が光っていることだといいます。

「昭和初期以前に作られた狛犬は手彫りでした。狛犬は民芸品のようなもので、師匠の作品など何かを手本に作ったものも多いです。とくに地方にはユニークな狛犬が多く、その理由は近くにコピーする対象がなく、伝わってきた情報を元に作っているからなんです。作り手の個性が出ているので、鑑賞するのがとても楽しいです」

他にも楽しみ方はいろいろで、狛犬を乗せた「台座」に書かれた文字をチェックするのは歴史好きな人たち。狛犬は庶民的な存在で、市井の人々が神社に奉納していたそう。いつの時代に、誰が、どんな思いを込めて納めたのか読み解くのも面白そうですね。

「私は旅先で狛犬を探すのが恒例になりました。行き先が決まると現地の神社を調べます。何でもネットに載っている時代ですが、その神社に狛犬がいるかどうかは調べずに、まずは足を運んで自分の目で狛犬を探すのを楽しんでいます」

探す楽しみを失いたくないから、あえてリサーチしない

東京で暮らす日常でも、“狛犬ハンティング”をしているミノシマさん。仕事で訪れた場所で、ついでに神社に立ち寄って狛犬を探すこともしばしば。主宰する「狛犬さんを愛でる会」では、月に一度ほど神社を回って狛犬ハンティング会をしています。これまで品川区や港区、渋谷区、新宿区、墨田区など、都内のいろいろな場所を巡りました。

「狛犬ハンティング会でも、ネットで狛犬の情報をリサーチしないようにしています。現地で探す楽しみを味わいたいので。『ここにもいないな。あそこにもいなかった。でも……あっ、ここにいた!』と感動する瞬間がたまりません」

狛犬研究会に入会したり、自ら中心になってハンティング会を開催したり、狛犬を愛でるという趣味を通じて、ミノシマさんの生活には大きな変化がありました。

「狛犬を介した知り合いが増えました。特に2か月に1度集まり、毎回テーマを決めて話す狛犬研究会の定例会では、年代や性別、仕事などあらゆるものが取っ払われた、ひたすら狛犬の話をして楽しめる人たちとのつながりができました。普段仕事では出会うことのないタイプの、狛犬研究歴が長い先輩たちから学ぶことは多いです」

神社に参拝するついでに、狛犬を見てほしい

狛犬が話のネタになって、人から覚えてもらいやすくなった、というのも、ミノシマさんにとって良い変化でした。確かにまだまだ「珍しい趣味」と感じられやすいからこそ、インパクトは十分にあります。

「趣味の話をしているときに、狛犬が好きだという話をすると、関心を持ってくれる人は多いです。その後、神社やお寺に行くと、狛犬を探す習慣ができた人もいるみたいですね。
今見られる狛犬の多くは石造りのもので、風雨に晒されていることもあり、いつかは壊れたり、寺社がなくなるのに伴い、なくなったりすることもあります。後世に残していくためにも、まずは見て、関心を持ってくれる人を増やせたら」

ミノシマさんは「“ついで”で良いから狛犬を見てほしい」と話します。家の近所の狛犬と旅先の狛犬とでは、作られた地域の違いから見た目が大きく異なることもあります。その差を楽しむのも良し、ただただ見た目が面白い狛犬を探すのも良し、いろいろな楽しみ方があるのです。

「最近ではInstagramで狛犬の情報発信をする人も多いですよ。『♯狛犬』と検索すると、いろいろな写真が出てきます。楽しみ方は十人十色なので、少しでも関心を持ってくださった方は、まずは狛犬を見ることから始めてほしいです」

▽ ミノシマタカコさん

ライター/編集者。Facebookグループ「狛犬さんを愛でる会」を主宰。(およそ)月1ペースでゆるゆる散策会開催中。次回は3月31日予定。企画・編集・イラストを手がけた同人誌『こまいぬのほん』も発行。
最近は「狛犬マニア」な人として、メディアの取材を受けることも多い。

▽ Twitter:@minokiti
▽ 前回の記事はコチラ

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。
写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子