「婚活がうまくいく人の特徴は、結婚相談所経営者から見て、大きく5つあります」忽那里美【園子の部屋#8】

編集者/ライターの池田園子が、そのときどきで気になる人、話を聞きたい人に会いにいく連載企画「園子の部屋」。第8回目は結婚相談所「キュートピア」代表の忽那(くつな)里美さん(以下、敬称略)。


「婚活論」をつぶやく人!?

池田: 里美さんのことは、ある方から「恋愛論でも結婚論でもない、婚活論をつぶやいている面白い方がいるよ」と教えてもらって、フォローしていました。

里美: それはうれしいです。ありがとうございます……!

池田: ツイートをいくらか遡って、最初にお気に入りにしたのがこれです。

「社会的地位が高かろうが
高学歴であろうが
恋愛をすると心が丸裸になる。
どんなに冷静に対応しようとしても
隠しきれない。
頭ではどうすることもできないものだから」

里美: つぶやきましたねぇ。「飲んでる」「食べてる」みたいなツイートの割合が高めですけど(笑)。

婚活は必ず「短期集中」で進める

池田: 合間にハッとさせられる言葉が混じってますよ。サイトを覗いてみて、リーズナブルな結婚相談所だな、と感じました。入会から2か月で9万円で、一度もお見合いができなければ全額返金ってすごく良心的だ、って。

里美: 最初の2か月が勝負なので。恋愛からしばらく遠ざかっている方も、初めて恋愛する方も「恋愛リズム」を身につけて、流れに乗って、異性と密に関わってほしい。皆さん数十回はお見合いをしますし、1日2~3回お見合いをする人もいますよ。

池田: かなりハード! ただ、いろいろな人と会ってみないと、比較検討ができないし、何より「自分が本当に求めること」が見えてこない気もします。

里美: そうそう。会うとプロフィール情報だけでは伝わらない、相手の横顔・後ろ姿・声・食事の仕方・仕草などから、相手のことを五感で感じられますよね。

池田: わかります。静止画と実物のイメージは全然違うものですから。

はじめに掲げた「理想の相手」じゃない人と結婚する

里美: 面白いことに入会時に掲げた理想の相手と、実際に結婚する相手って皆さん違うんですよ。婚活を進めるうちに、自分にとって一番大事なのはコレだ、と気づくんです。

池田: 最初は理想の相手にアタックするんですか?

里美: はじめは20人くらい、会員さんご自身にピックアップしてもらいます。たいてい、婚活市場においてトップレベルといえる相手を選んでいますね。ただ、その人たちに申し込むと全滅、ということも少なくありません。

池田: 誰しも選び、選ばれる状況があるわけですよね。ただ、トップレベルの相手だと、申し込みも殺到しているでしょうし、なかなか厳しそう。そこで現実に直面するんですね。

里美: 自分が申し込んだ相手からはYESが来ない一方、自分が注目していなかった相手からは申し込みが来る――。そのときに「自分のニーズ」がどこにあるのかを知ります。これって人から言われて、ではなく、自分で気づかなくてはいけないことなんです。

「素直な人」は婚活がうまくいく

池田: 厳しい現実と向き合う。これ、婚活ではない恋愛においても“あるある”ですよ。

里美: 「落とし所を見つけること」が成婚につながります。これは妥協とは違うんですね。最後は皆さん、相手のことを好きになって結婚するので。

池田: 恋愛感情を抱いて、結婚に進む、と。落とし所を見つける以外で、婚活がうまくいく人の特徴って、どんなものがあるのでしょうか?

里美: 5つあるかなと思っていて。ひとつ目は、自分も大勢のなかのひとりなんだと、客観視できる人。

池田: それは落とし所と関連しそうですね。

里美: 自分も選ばれる立場であって、誰かのナンバー1にならないと結婚はできない、と。それを自覚しているのとしていないのとでは、結果は変わってきますよね。そしてふたつ目は素直な人ですね。

池田: 相手を素直な目で見ることができる、ということですか?

結婚したいなら、「結婚しない」選択肢を断つ

里美: ですね。色眼鏡をかけて見るのはよくないです。そして3つ目は行動できる人。「考えます」というのが口癖になってる人、少なくないんですよ。

池田: 素早く決断できないんですね。

里美: お見合いをするのも交際するのも、プロポーズを受けてどう返事をするかも、「考えます」。考え始めたら、もう行動できません。不安なのはわかる。でも、自分の頭だけで考えるのは限界があります。経験から得た知識しか生かせないわけですから。

池田: 婚活は誰しも初の試みなわけだから、プロの助言を素直に聞いて、行動してみると違った景色が見える気がします。

里美: 4つ目は決断力がある人。決断って「決めて断つ」と書きますよね。結婚すると決めたのなら、「結婚しない」選択肢を断って進んでほしい。「いい人がいたら結婚したい」はナシで。

池田: よく聞く言葉ですね(笑)。

人はひとりでは生きていけないから

里美: 5つ目は理想を求めすぎない人。

池田: 耳が痛いです。

里美: 理想の相手に見合うものを自分はお返しできるのか、冷静に考えてほしいと思うんです。そんな話をすると8割方の女性に泣かれますが……。

池田: 厳しい! でも、現実を見つめるところがスタート地点ですよね。最後にお聞きしたいのですが、里美さんが異業種から婚活業界に入った転機って、何だったんですか?

里美: 私、死ぬような経験を二度しているんです。ひとつ目は10年ほど前、精神病院に入るくらい、鬱がひどくなった時期があって、人って死ぬんだなと実感しました。そこでいろいろな人と交流して、どんな人でも悩みはあるし、弱さを抱えているし、人は強くなんてない。やっぱり人はひとりでは生きていけないんだ、って気づいたんです。

池田: 孤独と孤立は違いますよね。後者だと生きるのがしんどくなる。

里美: ふたつ目は乳がんにかかったこと。そこでも命は有限なのだから、生きているうちに人の役に立つことをしたい、と思ったんです。

池田: 人と人とをつなげて、ひとりで生きるよりも2倍、幸せになってもらう。結婚相談所経営って、そんなお仕事ですよね。本日はありがとうございました。

▽ ゲスト/忽那(くつな)里美さん

結婚相談所「キュートピア」代表。大学卒業後、大手都市銀行でシステム開発に携わった後、スピーチ業・インストラクターなどを経て現職。「仲人士」資格も持つ。ブログ、Twitter等でも発信。

▽ 公式ホームページ: 結婚相談所キュートピア
▽ Twitter: くつな さとみ(@nonhigh0722)
▽ 前回の記事はコチラ

2018.11.28

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子