【趣味と私と人生と】vol.6 デザインアクリルで一点物アクセサリーを作る楽しみ(久保麻紀)

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2018.10.11.Thu

心から「楽しい」「最高」と感じられる趣味があると、人生はよりおもしろく、彩り豊かなものになります。趣味という名の美しい沼に浸かっている人たちを紹介していく連載【趣味と私と人生と】。
第6回目は「ハンドメイド」を愛する、アクセサリーブランド「otoniwa」代表の久保麻紀(くぼまき)さんに登場いただきます。

「デザインアクリル」という素材の魅力

職人さんの手で1枚1枚丁寧に生み出される「高級デザインアクリル」。ひとつとして同じ柄が存在しない、まさに一点物といえる素材です。
久保さんが池袋パルコやハンドメイドマーケット「minne」などで販売するアクセサリーは、レーザーカッターでデザインアクリルをカットし、研磨して仕上げる一点物中の一点物。
劣化することもなく、丈夫で、長く使えるのがデザインアクリルの魅力。世界にひとつしかないアクセサリーを作る久保さんは、いかにして趣味を仕事にしていったのでしょうか。

レーザーカッターとの出会いは突然に

久保さんは幼いころから何かを作るのが好きで、中高時代はフリーペーパー「FLYING POSTMAN PRESS」のフォントを切り抜いてコラージュして友達にプレゼントすることにハマっていたそう。それと時を同じくして、中学では吹奏楽部、高校ではバンド活動と音楽にも熱中します。
18歳で上京したのは音楽専門学校へ入るため。シンガーソングライターコースで2年、音楽を学びます。在学時から書店で働いていましたが、音楽活動を通じて出会った知人が運営する音楽教室を手伝うようになったそうです。
そんななか2016年夏、レーザーカッターと高級デザインアクリルとの出会いを果たします。

「私が勤める音楽教室のサックス講師から、マウスピースを3Dプリンターで作った話を聞いたんです。そのとき3Dプリンターって何!? と気になって、人を紹介してもらい、会員制のシェア工房へ見学に行きました」

昔から「なくても生活はできるけど、あったら小さな幸せを感じられるようなもの」に魅力を感じていた久保さん。目に見える・見えないに関わらず、「人生をより豊かにしてくれるものを提供したい」という思いで、シンガーソングライター・書店・音楽教室などでの仕事をしてきました。

「相手のことを考えて、理解し、一番合った形で提供する。それができるのがレーザーカッターとハンドメイドアクセサリーで、まさに運命的な出会いでした」

「アクセサリーづくりを仕事にしたい」熱い思いで動き出す

あらゆる機器が揃い、使い方のトレーニングも受けられるシェア工房。初期投資を抑えられ、行きたいときに行って作品を作れるシェア工房は、ものづくりをしたい人にとって最適な場所だといいます。
初めて本格的にものづくりと向き合うようになった久保さんは、「アクセサリーづくりを仕事にしよう」と決意。うまくいくかどうか、確信も保証もないものの、強い気持ちが湧いたといいます。そこで約半年間を、機器の使い方を学んだり、アクセサリーの素材について勉強したりする準備期間に充てました。
すでにものづくりを始めている方に、自分も早く追いつきたい。そう考えていた久保さんは一からイラレを学ぶのではなく、自分がしたいことに必要な操作を順に押さえたり、自分なりの工夫を重ねたりして、製作を始める準備を進めていきました。

他のお店と差分を付ける方法

初めて商品を販売したのは2017年春。クリエイターの祭典「Design Festa」へ応募。出店の権利を勝ち取ります。当日までに100点以上製作し、半数近くが売れたのは予想以上の成果でした。

「この先、仕事としてやっていけるかもしれない、と手応えを感じました。いろいろなお店があるなかで目立ちたくて、“屋台”を作ったことはうまくいった要因のひとつだと思います。
音楽で学んだ感性や表現力も、ものづくりにとても活きています。同時並行して音楽教室の運営に携わることで、広報やビジネス的な視点もかなり養われました。
『SNSにつぶやいてくださる方限定で、端材で作ったピアスを無料で差し上げます』とサービスしたのも、人寄せに功を奏したと思います。人が集まると、さらに人が集まってくる効果があります」

モノを販売する場で、あえて無料でプレゼントする。この発想の転換は商品やブランドを広めるのにつながります。Design Festaなど、リアルの場で出店するのは「広告出稿する感覚に近い」と久保さん。人の目にふれて、SNSに投稿されることで、爆発的に広がるチャンスがあるからです。

自分の人生を生きていると実感できる瞬間

初めての出店で成功を収めてからは、ハンドメイドイベントを調べては出店して……の繰り返し。その後はルミネやパルコで委託販売をスタートします。

「製作しているときは本当に楽しいです。自宅でひとりで黙々と製作する時間と、音楽教室の仕事とふたつの仕事を交互に行うことで、互いに良い刺激になっています」

この先やってみたいのは、自分が欲しい素材を自分で作ること。今使っているデザインアクリル自体、1枚として同一のものがない、一期一会の出会いではありますが、自分の理想の色や模様の素材を使えば、より理想的なアクセサリーができると久保さんは話します。さらに、全国に販売店を増やし、地元岡山まで販路を拡大して恩返ししたい、とも。

「アクセサリー作りの仕事をするようになって初めて、自分の人生を生きているというか、自分が心からやりたいことをできている実感がある」

そう語る久保さんの表情はイキイキとしていました。新たな挑戦が商品に落とし込まれるのも、筆者の地元でもある岡山にもotoniwaのアクセサリーが広がるのも、そう遠い日ではないようなので、今後の展開が楽しみです。

▽ 久保麻紀さん

岡山県倉敷市出身。ESPミュージカルアカデミー、シンガーソングライターコース卒。シンガーソングライターの活動で培われた感性と表現力を活かしものづくりを始め、2016年にアクセサリーブランド「otoniwa」を立ち上げる。ブランド名にはルーツである「音楽」を含めた。2018/10/1~10/14にエキュート品川で、11/10~11/11にDesign Festa vol.48で出店。

▽ 前回の記事はコチラ
▽ Twitter: @mk_otoniwa
▽ Instagram: @mk_otoniwa
▽ ホームページ: 『otoniwa』
『FLYING POSTMAN PRESS』
『Design Festa』
『エキュート品川』

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。
写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子