しなやかな私をつくる本 #31『Lily ――日々のカケラ――』

女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


どんな日でも、朝は必ずやってくるから

人生というのは、ときに思い通りにいって、最高にうれしい瞬間もあるけれど、ときにまったく予想外の方向へいって、はあ……と落ち込むこともあります。波のように振れ幅があるのが人生なんでしょう。

「楽しいときも苦しいときも、夢のように幸せなときも、倒れそうなほど悲しいときも、ぜんぶを飲み込んで、朝は必ずやってきます。いろんなことがあるけれど、たいじょうぶ」(158ページより引用)

そう話すのは、『Lily ――日々のカケラ――』著者で、女優の石田ゆり子さん。彼女の生の言葉はあたたかみであふれ、ときにユーモアも交えて、読み手の心をやわらかくほぐしてくれます。
健やかに、朗らかに生きているように見えて、女性ファンも多いゆり子さんが自身の生き方や考え方を綴った本書から、今日から実践したくなる事柄をいくつかご紹介します。

体の声を聞きながら、調整する

体は食べたものからできています。いまの体は半年前に食べたものが影響している、と聞いたこともあります。それだけ食事と体は密接に関わっているということ。直接体に取り入れているものだから、それもあたりまえといえば、あたりまえなのかもしれません。
日々の食事をとても大切にしているというゆり子さんは、毎朝鏡を見ながら、両手指の腹の部分で顔の皮膚を額から頬、あごと、そっと触れて、弾力や乾燥度合いなどを確かめるといいます。そうやって、なぜいまこの状態になっているのか、原因を探ります。毎日そうやって触れていると、小さな変化も見逃すことなく、異変を感じたらすぐになにかしら対処できそうです。
たとえば、「最近、動物性たんぱく質が足りていなかったな。だからいつもより乾燥がひどいのかもしれない」などと気づいたら、日頃のバランスのとれた食事に、不足していた食材を加えて、調整しているのだとか。

健やかな体をつくるために食べているもの

女優としてのキャリア33年。年齢を重ねてもかわいらしく、健康的なスタイルをキープし、透明感のある肌が美しいゆり子さんは、どんなものを食べているのでしょうか。本書ではおうちでの食生活がけっこう詳しく取り上げられています。

・豆乳は毎朝の習慣
・お肉は少量でも定期的に
・貧血予防にレバー
・卵もレギュラー食材
・サバ缶
・肌にも貧血にもいい牡蠣
・甘いものを食べたいときはヨーグルトとフルーツ、はちみつで

「今日なにを食べたか」を意識し、体にいいものを毎日いただくこと――シンプルな食習慣の積み重ねで、美しい人はできあがるのだと思います。

「基本、食事は腹8分目で止めるようにしています。また、寝る前の3時間は食べないルールを作っていますが、ときどきは破ってしまいますね(笑)。あまり厳しくせずに、食べたら動く、というふうにしています」(104ページより引用)

ストイックになりすぎるとストレスが溜まります。むしろ我慢しすぎた反動で、ドカ食いをしてしまう可能性も……。
たんぱく質と糖質、脂質、三大栄養素をバランスよくとって、自分に不足しがちな栄養素、多めに摂ったほうがいい栄養素を積極的に摂ることを心がけるのが、無理なく定着する食習慣ではないでしょうか。

微笑み顔で眠りにつく

ベッドに潜り込んで目を閉じたとき、いつもどんな表情をしていますか。ゆり子さんが笑って寝る、と綴っていたのを読んで、「あぁ、私は口角を下げたまま眠っていたな」と気づきました。

「寝ている間の表情は実はとても大切で、例えばしかめっ面で眠るとその評定が顔の筋肉の癖になり、眉間のシワが固定される原因になるそうです。それを聞いた20代のころからわたしはことあるごとに眉間を開いて微笑む癖をつけ、口角を上げてからおやすみ、またあしたね、と自分自身につぶやいて眠っているのです」(87ページより引用)

たとえ、その日がつらい日だったとしても、しんどく感じた日だったとしても、1日の終わりを心地よく締めてみる。笑顔で眠りへと入ってみる――。笑うことで自分の脳は簡単に騙せます。「なんだか楽しいな」「気持ちが回復してきた」などと思いを込めて、幸せな気持ちを取り戻しながら寝付くことができます。
年齢を重ねることを恐れずに、楽しみながら、味わいながら、どんどん「いい顔」「いい表情」の大人になっていく――石田ゆり子さんというひとりの女性からは、そんな印象を受けてなりません。

「いまの私が一番好き」「いまこの瞬間が一番楽しくて、充実している」と思って生きたいすべての女性たちにおすすめの1冊です。

▽ 前回の記事はコチラ

2018.02.16

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子