しなやかな私をつくる本 #30『ややこしい自分とうまく付き合う方法』
女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。
自分のことを「ややこしい」と思ってしまう人へ
生きづらい、と感じたことはありますか?「物事が思い通りにいかない」「自分はできない人間」「他の人と比べて劣っている」などと落ち込むと、自己肯定感が低くなり、生きるのが苦しくなることも。本当はがんばっているにもかかわらず。
「ありのままの自分を受け入れるのは、決して自分を甘やかすことではありません。凹凸した個性を持つありのままの自分を認め、褒めたり応援したりしてみる。そうすれば、あなたのややこしさは少しずつほぐれていくことでしょう」(6ページより引用)
そう話すのは、『「ややこしい自分」とうまく付き合う方法』(幻冬舎)著者で、精神科医・神楽坂ストレスクリニック院長の上田容子さん。
医師として、心の悩みを抱える人たちと向き合う上田さんは近年、自分のことを「ややこしい性格なんです」と話す人が増えていると、実感しているのだそう。ここでの「ややこしい」とは、「めんどうくさい」「こじれている」といった意味を持ちます。本書には、ややこしい自分と向き合い、受け入れ、自分で自分の人生を応援し、輝かせる方法が書かれています。
そのなかから、今日からでも実践でき、心がラクになるアイデアをよりすぐってご紹介します。
ややこしい人が抱える考え方のクセをチェック
ややこしい人には、大きく9つの「考え方のクセ」があると上田さんは話します。簡単にまとめてみると、以下のようなクセです。
すべてのクセを持っているとは限りませんが、思い当たるフシがないか考えてみてください。
・ 曖昧さや余白を残したグレーの状態を嫌い、白黒をはっきりさせようとする
・ 「~すべき」発想で、自分を追い込んでしまう
・ わずかな事実を材料に、物事を一般化しようとする
・ 根拠がなくても決めつけてしまう
・ 「失敗すると思っていた」と否定的な予測にとらわれるあまり、それを現実化させてしまう
・ 否定的な感情に基づいて悪い結論を導き出す
・ 自分に直接関係のないことでも責任を感じてしまう
・ 自己主張を抑えながらも褒められたい願望が強い
・ 一方で自分に自信がなく、褒められても自虐的に振る舞ってしまう
これらから導き出される共通項は、物事をネガティブに受けとめ、とらえてしまうこと。「とらえ方」さえ変えれば、生きやすさは次第に変わっていくといえます。
ネガティブなループから抜け出すとらえ方
つい否定的に考えて、マイナスなループに入ってしまう人たちへ上田さんが提案するのは、以下の4つのとらえ方です。
・ さらにひどい状況を想像して、そうならなかった今を幸運だと思う
・ 過去に物事がうまくいったときのことを思い出す
・ そうなってしまった原因は自分以外にある可能性を探す
・ 間違いや失敗を今後につながるステップだと思う
とはいえ、ネガティブな考え方が習慣になっていると、上の4つをすぐに実行するのは難しいかもしれません。そんなときに使えるのが、状況と感情を切り離して考えること。起きてしまったことや現在の状態とそれに対して自分が感じている思い、気持ちはまったく別のもの、関係のないこと、という風に切り分けるのです。
それらを一緒くたにするからややこしくなります。「自分が悪いんだ」「自分に非があるんだ」と思い込むことになり、幸せな結果にはつながりません。
「ポジティブ思考」クセを身につけるワーク
ポジティブなとらえ方を新しい習慣にするのと同時に、自分自身を見つめ、心をいたわるワークをやってみるのもおすすめです。本書で取り上げられているものをいくつかご紹介します。
ひとつは、「自分史」をつくってみること。自分史という言葉の通り、今まで自分が歩んできた歴史を振り返り、書き出してみるだけです。目的は、自分自身のややこしさをつくった原因となるエピソードを突きとめて把握すること。なぜ自分の価値観が今のように形成されたか考えることが大事だと、上田さんは話します。
ふたつめは、自分の良いところ、好きなところをリストアップする「肯定ノート」を書いてみること。減点主義ではなく加点主義で書き出すのがポイントです。マイナス、ネガティブ方向へいってしまいがちなクセを矯正する一助にもなることでしょう。
心と体は密接につながっている。だから両方からケアをする
本書の後半で、上田さんはマッサージや鍼灸・ヨガ・瞑想・プラセンタ注射・漢方薬・呼吸法など、心に好影響を与える体のケアを勧めています。
「いったん生み出されたややこしさを促進する要因も存在します。その1つが、体にのしかかるストレスです。(中略)精神と肉体は一体のものである、という考え方を示す『心身一如』という言葉があります。一体であるがゆえに、ダイレクトに影響を与え合うのが心と体」(74ページより引用)
つまり、心を元気にし、ポジティブな状態を取り戻したい場合は、体を元気づけるアプローチが効果的だということ。心と体、双方をほぐし、やわらかくするケアを日常的に行い、健康的な心身を育てていけたら理想的ですよね。
自分自身のケアを後回しにしがちな、いつもがんばっている女性たちに手にとってほしい一冊です。