しなやかな私をつくる本#29『3秒で心をつかみ10分で信頼させる聞き方・話し方』
女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。
コミュニケーションは能力ではなく技術。誰でもうまくなれる
もっと話し上手になりたい。聞き上手になりたい。あのとき、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。もっといい対応ができたはずなのに――。
初対面の人、苦手なタイプの人、話しやすい人、緊張してしまう人……いろいろな相手とコミュニケーションをとるなかで、失敗することもあればうまくいくこともあります。
とはいえ、できれば心地よくコミュニケーションをとりたい、というのが多くの人の本音ではないでしょうか。
「コミュニケーションに、特別な才能は必要ありません。ちょっとした意識や工夫で、誰でも身につけることができる『技術』です」(1ページより引用)
そう話すのは、『3秒で心をつかみ10分で信頼させる聞き方・話し方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)著者で、日本テレビ報道記者兼キャスターの小西美穂さん。
PART1: 初対面の人の心を3秒でつかむ方法
PART2: 聞く力の磨き方
PART3: 話す力の磨き方
上記の3章で構成された本書のPART2~3から、今日からでも実践できることをご紹介します。
うなずくときは控えめに、ていねいに
人の話を聞くとき、うなずかない人はいないと思います。ただ、うなずきにも良いものとそうでないものとがあります。小西さんは、
「よいうなずきとは、誠実さが伝わる、控えめなうなずきだと思います」(85ページより引用)
……と綴っています。逆に、控えめではないうなずきは、簡単に言うと過剰なうなずき。
例えば、うなずきの回数や頻度が多いと、話を丁寧に聞いていない印象を受けます。「雑」なうなずきに見えるのです。コツは、
「複数回うなずくのではなく、話が一区切り終わったところで、相手の目を見て、大きく、ゆっくりと1回。相手の言葉を飲み込む感じです」(85ページより引用)
誰かの話を聞いているときの自分のうなずきを振り返ってみると、思いのほか、微妙なうなずきをしているかもしれません。意識的にゆっくり、ていねいに、を目指すことが大事です。
相手のジェスチャーを見逃さない
会話中、相手が身振り手振りを交えて話すことがあります。
「“ジェスチャーつきの話”は、会話が盛り上がるここいちばんのチャンス」(147ページより引用)
……と小西さん。つまり相手がジェスチャーを交えたら、相手をより真剣に観察することが重要。ここでは具体的なエピソードが挙げられています。小西さんがゴルフ界のレジェンド、青木功さんへインタビューをした際、青木さんが指先を動かした瞬間がありました。それに関わる質問をしたことで、青木さんは自身の哲学を詳しく語り、会話が広がっていったというのです。
身振り手振りが出るのは、相手が自分の言葉でしっかり伝えたい、と思っている証し。一生懸命説明しようとするけれど難しい。思いが高まって、動きにつながるというわけです。会話が広がるきっかけになるジェスチャーを見逃さず、話し手の思いを汲み取って切り込んでみてください。
会話に相手の名前を入れる
小西さんが「話し上手」だと思う人には、いくつかの共通点があるといいます。うちひとつは「相手の名前を呼ぶ」という点。相手の名前を呼ぶ、なんて簡単なことじゃないの? と思う方は多いかもしれません。でも、思い返してみてください。会話中に目の前の相手の名前を呼ぶ人は、意外と多くないかも……と実感するのではないでしょうか。
だからこそ、名前を呼びかけられると、「名前を覚えてくれている」「大切に思われている気がする」など、うれしく感じるもの。名前を呼ぶことで、会話中に相手へのリスペクトを含めることができます。特に初対面の相手に対しては、相手もうれしくなり、自分自身も相手の名前を記憶することにつながります。
話が長くなりそうなときは、最初に言いたいことを持ってくる
一文はなるべく短く、はっきり話す――これは基本かもしれません。ただ、一番言いたいことをはじめに言う、というのは、時に見落としがちな要素ではないでしょうか。
小西さんが常々気をつけている、というのが、
「コンパクトはインパクト」(227ページより引用)
例えば、危険な生物について話す場合。最初の発言は「○○は危険です」。その後、その生物が危険な理由に入ります。「(○○が危険な)理由は○つあります」と予告するのも親切。話し上手=話がわかりやすい、ともいえます。伝えたいことを開口3秒で伝えるには、最も言いたいことから切り出し、短い文で伝えることがポイントになるのです。
心地よいコミュニケーションができる人は聞き上手でもあり、話し上手でもあります。話すのも聞くのも、生まれつきの能力ではなく、トレーニング次第でいかようにも上達します。
仕事の場でも、家族や友人、恋人などと話す場でも、人間関係を気持ちよいものにしたい女性たちに手にとってほしい一冊です。