わたしらしい起業のかたち Vol.16 料理研究家 小山 有希さん ~おいしい食事は笑顔を運び、体だけでなく心も豊かにする~

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2017.08.30.Wed

編集者/ライターの池田園子が、週末起業家や個人事業主、経営者など、さまざまなスタイルで起業している女性にインタビューする連載です。

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新しいことを始めるのに、年齢やそれまでのキャリアは関係ない――起業した女性に話を聞いていると、つくづくそう感じます。やる気と熱意があって、タイミングがうまくかみ合えば、いつだってチャレンジできるのだと。
料理研究家として活躍する小山有希さんもそのひとりです。大学時代に目指していたのは、料理とはつながりがなさそうな職業、公認会計士。
自身の結婚・出産を期に、「自分も楽しく、そして家族もハッピーになれることは何か」を考えたとき、家族の笑顔や健康につながる料理の道に進みたい気持ちが芽生えたのだそう。
娘さんが幼いときのエピソードも、料理研究家への道を後押しするきっかけとなりました。卵アレルギーのあるお友達のママが、「お友達と一緒に市販のおやつが食べられないのを見るとかわいそうで……」と打ち明けてくれたことがありました。
その後、小山さんは卵抜きのバナナケーキを作ります。皆で一緒に食べているとき、そこにいた全員と同じおやつをおいしそうに食べる我が子を見て、とても喜んでくれたママ友の笑顔が強く心に残ったといいます。
「料理は家族や食卓を共にする大切な人たちの体を作るもの。皆にとって、少しでも体によい食事やおやつを作りたかったんです。また、自分の作った料理で、周りが笑顔になるお手伝いができたら、とも思いました」と振り返る小山さんの起業ストーリーをお届けします。

数々の現場を通じて、自分のスキルを磨く経験をたくさん積んだ

Q. 料理研究家として活動し始めた頃、どんな仕事が入ってきていましたか?

A. 料理研究家の基本的な仕事は、テーマやターゲット層、季節などに沿ったレシピを作成し、撮影当日に料理を作る、というものです。活動するようになって初めていただいた仕事は、雑誌のレシピ作成および料理でした。
昔は、お話をいただいて2日後(スケジュールがタイト!)に撮影だったり、プロセスカット(手順の写真)を撮りながら1日に24品程度作ったりしたことも。朝からずっと立ちっぱなしで休憩もなく、ひたすら料理を作り続けていました。
ハードながらも自分の糧になる経験をたくさん積んできたからこそ、今ではどんな依頼でもこなせるようになったと思います。

経験を積んで挑戦し続けると、仕事の幅がどんどん広がった

Q. 駆け出しの頃から、経験が増えていくにつれて、仕事の内容はどう変わっていきましたか?

A. その後はだんだんと、雑誌に限らずいろいろなメディアからお声がけいただくようになりました。テレビ出演や新聞での取材、Webでの連載、書籍の出版などを通して、自分のやりたいことを表現できるようになりましたね。
例えば、DHCオリーブチャンネルの料理ページは4年ほど続いている連載です。美や健康にまつわるテーマを自分で決めて、それに沿った季節感のあるレシピを作成したり、料理から写真撮影、記事執筆など、すべてをお任せいただいくこともあります。
最近ではレシピ動画の撮影もさせていただいています。撮り方が静止画とは違うため、試行錯誤しながらも、見てくださる方にわかりやすい動画になるよう心がけています。

大盛況のパン教室は、生徒ひとりひとりに配慮した、こまやかなサポート体制をした

Q. 以前、レシピ作成を中心とした活動以外に、「料理研究家小山有希のパン教室」(現在はお休み)も主宰されていました。教室を開いたきっかけはなんですか?

A. 添加物が多く含まれた市販のパンではなく、体に良い素材を使ったおいしいパンを、楽しみながら作りたい方たちのお手伝いをしたくて教室を開きました。
教室主宰前は、友達や知人を中心にパン作りをレクチャーしていました。パン生地がだんだんと膨らんでいく様子や焼きあがったときの香ばしい香り、上手に焼きあがった後で生まれる感動……友人たちが毎回喜ぶ姿をダイレクトに見られて、私も本当にうれしかったんですよね。

Q. 教室のこだわりや特徴についても教えてください

A. 教室でとくにこだわったのは、やはり素材ですね。また、体に優しくておいしいパンを家庭でも失敗なく作っていただけるよう、私が体得してきた技術やポイントを余すことなくお伝えしたり、オリジナルレシピや手順書を用意したり、教室内だけではなくメールでサポートさせていただくことも。
コース終了時には修了証書をご用意したほか、生徒さんひとりひとりが達成感を味わえるような工夫も凝らしました。

Q. とてもこまやかな配慮をされていましたね。レッスンの種類もいろいろあったのでしょうか?

A. はい。一般的なコースレッスンのほか、季節のパンや生徒さんからのご要望にもお応えできるようなワンデイレッスン、忙しい方でも通常の半分のお時間で手軽に作っていただけるような1時間のレッスンも提供していました。
パンの種類でいうと、イーストを使ったパンだけではなく、さまざまな酵母を使用したパンや、自家製天然酵母の起こし方や酵母を使った自家製天然酵母パンのレッスンなども行っていました。
また、発酵・焼成している間は、生徒さんの体調や季節に合ったハーブティーをお入れして、私が作ったパンと一緒に召し上がっていただくことも。教室では、パン作りをマスターしていただくだけでなく、日常の忙しさは一旦脇に置いて、少しでもリラックスして楽しんでいただける時間にしようと心がけていましたね。

長年、第一線で活躍し続けるヒケツは、相手の気持ちを想像して動くこと

Q. 料理研究家の方はたくさんいらっしゃるなか、小山さんがたくさんオファーをいただける理由、長く活躍し続けられる理由はなんだとお考えですか?

A. オファーをいただけることは、本当にありがたいと常に感謝しています。声をかけていただける理由はわかりませんが、仕事をさせていただく上で自分自身が気をつけているのは、スピード感です。
ご要望に合ったレシピを丁寧に作成するのはもちろんですが、締め切りのある仕事なので、私が少しでも早く動けば、それだけ先方様に待っていただく時間が短くなり、そのぶん次の仕事に素早く取りかかることができるため、スピード感を大切にしています。
誰にとっても時間は有限です。そのため、あたりまえのことですが、優先順位を決めて今やるべきことにフォーカスし、やらなければならないことを真っ先にやるよう心がけています。

自作のレシピを参考にした人の食卓で、笑顔が生まれると料理研究家冥利に尽きる

Q. 料理研究家として活動するなかで感じる一番の喜び、やりがいはなんですか?

A. 私が作成したレシピを基に作った食事を、ご家族や大切な方とご一緒に召し上がっていただく食卓で笑顔が生まれるのが、何よりうれしいことですね。おいしい食事は笑顔を運び、体だけでなく心も豊かにしてくれます。おいしいものを食べて怒り出す人はいませんから。
また、食事は体を作る基となりますが、薬とは違って体調にすぐ反映されることはありません。でも徐々に体質が変わってきたり、体調が良くなったり……緩やかであっても、何らかの変化は感じられるもの。食を通して、体調を整えるお手伝いができることも、やりがいのひとつです。
また、仕事の現場で、自分とは違う職業の方たちとお会いできるのも魅力です。エディターさんにライターさん、カメラマンさん、スタイリストさんなど、素晴らしいスキルを持った方々と出会い、日々勉強させていただいています。

迷ったらやってみる。その繰り返しで行動力と決断力が磨かれた

Q. 独立していると、時に大変なこと、困難に感じることもあると思います。どうやって乗り越えてきましたか?

A. 本当にありがたいことに、好きなことを仕事にできているので、大変だと思うことはないですね。ただ最初の頃は、すべてのことを自分ひとりで決断することの難しさを抱えて悩んだ時期も。
そんなとき、「迷ったらやれ! 迷っているからといって、先延ばしにするのはやらないのと同じ」という言葉を頭に置いて、ここまで突き進んできました。それでもどうしても迷ったときは、夫に話を聞いてもらうと、いつも救われました。
彼のアドバイスはとても的確なんです。ただ、「ぼくの考えはこう。でも、最終的な決断は君が自分でするんだよ」というスタンスなので、おかげで決断力はついたと思います。

作り手の負担にならない、手軽に作れておいしい料理を生み出し続けたい

Q. 最後に、将来的に料理を通じて実現したいこと、新たに挑戦したいことを教えてください

A. おいしく食べて、健康にかつ美しくなれるような料理をこれからも広めていきたいです。健康体を作るのは毎日の食事です。病気になってから薬を飲むよりも、病気にならないよう、普段の食事に気をつけて、健康な体を作ることが大切だと思っています。
また、体の内側からきれいを導いたり、若々しさを保てたりするような料理も紹介し続けていきたいです。どんな料理でも、「近所のスーパーで手に入りやすい食材や旨みや栄養価が高い旬の食材を使用し、なるべく簡単に作れること」が私のモットーです。
そしていずれは、他の国の方々に対しても、日本料理の素晴らしさを広める活動ができたらと夢見ています。

▽ 小山有希(こやま ゆき)さん

代々料理人の家系に生まれ、幼少期から料理に親しみ、主に日本料理の基礎を学ぶ。「おいしく食べて、健康に美しく」「医食同源」をモットーとしたレシピを得意とし、栄養バランスはもちろん、味にも見た目の美しさにも定評がある。テレビ出演のほか、健康や美をテーマとした書籍・雑誌・Webサイトのレシピ考案・監修など幅広く活躍。
薬膳アドバイザー・ハーブコーディネーター・食育アドバイザー・パン講師。著書に『こうや豆腐&粉豆腐で健康・長生きレシピ』(日東書院本社)『おなかすっきり! やせて健康になる 豆乳ヨーグルト』(日本文芸社)がある。

▽ ブログ:料理研究家 小山有希の健康レシピ
公式ホームページ
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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。
写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子