「娘ってのは難しいよ」不倫に嫁いびり…娘を想い奮闘するシングルファザーの話【夫婦観音様?】
ひょんなことから、大吾と出会った少年・竜一。今回は、そんな二人の過去の温かい出会いをご紹介します。罪を犯し、誰にも頼ることができなかった竜一の心を、大吾と彼の妻・美緒の優しさがゆっくりと解きほぐしていくのでした。
あらすじ
神社の賽銭泥棒をしようとしていたところを大吾に捕まってしまった竜一。大吾に首根っこを掴まれ、すごすごと彼の家に連れて行かれる羽目に。家に着くと、大吾の妻・美緒は何も聞かずに竜一を温かく迎え入れ、手作りの食事を振る舞います。
一体、この夫婦は何を考えているのか? 警戒しながらも、空腹には勝てずがつがつと食べ始める竜一。美緒はそんな竜一に優しく声をかけ、さらに料理を勧めるのでした。
食後、意を決して自分の過去を語り始める竜一に、大吾は思いがけない提案をします。「ここで暮らしながら、宮大工の修行をしてみないか?」と。それは、孤独と絶望の中にいた竜一にとって、光のような言葉でした。
見どころ
あたたかくもてなす美緒の優しさ
夫の大吾が急に連れてきた怪しい竜一に対して、何も詮索せず、温かく手料理を振る舞う美緒。「いくらでもお替わりあるからね」という彼女の言葉には、まるで母のような優しさが溢れています。普通なら警戒するところを、無条件に受け入れる美緒の心の広さがわかるでしょう。
過去を正直に語り始める竜一
美味しい料理と温かな雰囲気に包まれ、次第に心を開き始めた竜一。「俺がどこの誰なのか、なんで何も聞かないんですか?」と自ら問いかけ、ついには自分が少年院を出てきたばかりであること、そして賽銭泥棒をしようとした理由まで打ち明けます。
竜一を救おうとする大吾の優しさ
竜一の告白に対し、大吾は感情的に怒るのではなく、観音様の話を始めます。「観音様は、まだ修行中の身でありながら、苦しんでいる人々の声に耳を傾け、どんな悪人でも救ってくださる」と。そして、「きっと観音様が俺と竜一を会わせてくれたんだ」と温かく語りかけ、自ら命を絶つようなことをしてはいけないと諭します。
▽ 誰にも頼れず、光さえ見えなかった竜一の心に、大吾と美緒の温かい優しさがじんわりと染み渡るストーリー。どんな相手も偏見なく受け入れ、重い過去にも正面から向き合う二人の姿は、竜一にとっては観音様のように見えたかもしれませんね。