「あんたどこまでバカなの?」略奪婚後、また不倫し妊娠した女の話【新しい命にかけて…】

元奥さんの京香から600万円という多額の慰謝料を毎月払っていくことになった俊と藍子。実家と疎遠になった藍子とは対照的に、俊は慰謝料を背負いながらも実家と変わらぬ関係を維持しています。子どもができれば、きっとみんな許してくれるはず……そんな希望を抱く藍子でしたが……?今回は、子どもを巡る夫婦のすれ違いと、藍子の募る不満が描かれる話をご紹介いたします。
あらすじ

結婚後半年が経ち、子どもが欲しくても妊娠できない藍子。妊娠検査薬が陰性でため息をつく藍子に、俊は「子どもは授かりもの」「簡単にできない」と慰めます。藍子が不妊治療を提案すると、俊は「元奥さんともぎくしゃくしたきっかけだから」と拒否し、「藍子とはそんな風になりたくない」と告げます。藍子は自分が間違ったことを言ったのかと慌てますが、俊は「俺たち仲いいし、不妊治療なんかしなくてもそのうちできるよ」と楽観視。映画を見ようとする俊の隣で、藍子は「そのうちっていつ?今、子どもが欲しいのに…」「前の奥さんを引き合いに出すなんてずるい」と、不満を募らせるのでした。
見どころ
藍子の募る焦りと俊の楽観的な慰め

結婚後半年が経ち、妊娠検査薬が陰性だったことにため息をつく藍子。「今は避妊もしてないし、正直すぐできると思ってた」という藍子が子どもを望む気持ちが強く、焦りを感じていることを示しています。しかし、俊は「子どもは授かりもの」「命なんだからそんなに簡単にできない」と、能天気な慰めをするばかり。この夫婦の間の温度差が、藍子の抱える孤独感を際立たせています。
俊の「不妊治療嫌悪」と自己中心性

藍子が不妊治療を提案すると、俊は「あんまりそういう話はしたくないかも」「それがきっかけで、元奥さんともぎくしゃくし始めたから」「俺、藍子とはそんな風になりたくない」と、不妊治療への強い嫌悪感と、自己中心的な理由でそれを拒否します。この俊の言葉は、彼が自身の過去の経験を正当化し、現在の藍子の気持ちや願いを顧みない無責任な夫であることを明確に示しており、強い不快感を与えます。
藍子の「もやもや」と俊の「ずるさ」

俊の「そのうちできるよ!それまで恋人同士みたいな関係で楽しめばいいじゃん」という言葉に、藍子は「……そうだね」と笑顔を作りますが、内心では「そのうちっていつ?今、子どもが欲しいから言ってるのに……」「前の奥さんのことを引き合いに出すなんて…ずるくない?」と、拭いきれない「もやもや」と俊への不信感を募らせます。俊が「前の奥さんのことを引き合いに出す」ことで、藍子の良心に訴えかけ、自身の不妊治療への拒否を正当化しようとする「ずるさ」が描かれており、藍子への同情を抱かせます。
▽ 避妊はしていないのに、なかなか妊娠できないと落ち込む藍子。不妊治療は一人の意思では難しいこと、お互いの意思の尊重の上にあることの難しさを感じさせるものでしたね。