「お前の娘、俺がもらってやるよ」勘違いおじさんの恐怖の婚活事情【親の苦労子知らず】

自分のことを客観視できず、いつまでも若いつもりでいる人というのは男女問わず存在します。今年51歳になる工藤誠もその一人で、以前女性から現実を突きつけられたにも関わらず、懲りずに20代の女性を追い求めているようです。これだけでも既にホラー要素満載ですが、50代の誠の恐ろしさはさらにパワーアップしているようで……。今回は、そんな勘違いおじさんの婚活事情をお届けします。

あらすじ

相変わらず実家暮らしの51歳・誠。母親が朝食の準備をする傍ら、スマホを弄りながら「結婚しちゃうかもなぁ」とニヤつきます。母親は体調が悪く疲れ切っている様子ですが、誠は全く気にも留めません。それどころか、夕食がいらないと一方的に告げ、母親の心配をよそに上機嫌で出かけて行きます。
通勤中、自分のことをイケオジだと勘違いしている誠は、マッチングアプリで知り合った20代の女性・瀬奈からのメッセージにますます気分を高めます。可愛い自撮り写真を見て、「悪くない」とご満悦。 一方、パートに向かう誠の母は、疲労困憊で足取りも重い様子。夫は息子のことを全く相手にせず、頼ることもできません。そんな中、母親は胸の痛みに襲われ、ついに倒れてしまいます。

見どころ

痛みに耐えながらも息子のために

階段を上るだけで息切れし、胸を押さえる母親。それでも、眠っている息子のために朝食を用意しようとします。「起きて　誠 仕事に行く時間よ」と優しい声で起こす姿からは、息子のことを大切に思っていることが伝わってきます。自身の体調が優れない中でも、家族のために動こうとする母親の姿は胸に響くのではないでしょうか。

無神経な言葉と母親の悲痛な表情

朝食の席で、母親が支度をしている横でスマホを弄りながら「そうだ　今日夕飯いらないから」「俺もついに結婚しちゃうかもなぁ」と一方的に話す誠。母親は「…そう」「…」と、彼の言葉に気のない返事をするのが精一杯です。不意に胸の痛みに顔をしかめる母親と、そんな母親を全く気にせずニヤつく誠の対比が、母親の心痛を際立たせています。「喋ってないで早くして」「早くご飯」と急かす誠の言葉は、母親への配慮が全く感じられず、読者の怒りを誘うかもしれません。

限界を迎える母親の独白

パートへ向かう道すがら、「いつまでこんな生活が続くのかしら…」「このまま何も変わらなければ 本当に家族3人で心中するしか…」と、追い詰められた心境を吐露する母親。重い足取りと憔悴した表情が、彼女の疲労と絶望を物語っています。さらに、「ほんと　いつの間にか私もすっかりおばあさんね」という言葉には、自身の老いを感じながらも、息子のことで苦悩する切ない心情が滲み出ています。

自分のことしか考えず、母親の苦労を顧みないまま、ついに20代女性とのデートの約束を取り付けた誠。しかしその裏で、彼の母親は深刻な事態に陥ってしまいます。果たして、この後に待ち受けるのは、喜劇か、それとも悲劇か。読者の皆様も、固唾をのんで見守らずにはいられないでしょう。