「もう彼女妊娠させて逃げたらダメだよ？」中学生で妊娠した人の話【この子に会いたい】

まだ学生同士にもかかわらず、妊娠してしまった人もいます。このような場合、多くは女性だけに大きな負担がかかります。今回は、そんな若すぎる妊娠が引き起こす現実を描いた話をご紹介いたします。

あらすじ

恭平の母・靖子に責任を押し付けられ、10万円と菓子を置いて帰られてしまった後、智美は「母親失格」だと自嘲します。そんな智美に、杏奈は「ごめんなさい」と謝りますが、智美は「まさかこんなことになるなんて」と、娘の妊娠に絶望していました。 後日、産婦人科でエコーを受ける杏奈。医師から「赤ちゃん、元気に育ってますよ」と言われても、杏奈は放心状態です。しかし、医師が4Dエコーを勧めると、モニターに立体的に映し出された胎児が、まるで杏奈を励ますかのようにニコッと笑います。その瞬間、杏奈の目から涙があふれ、「ほんと…可愛い…」と微笑みます。医師の「赤ちゃんもママの気持ちがわかる」という言葉に、杏奈は初めてお腹の子を愛おしく思い、この子に会いたいと強く願うのでした。

見どころ

智美の絶望と自己肯定感の崩壊

靖子の無慈悲な言葉を受け、智美は「何も言い返せなかった」「母親失格」だと自嘲します。シングルマザーとして必死に働いて杏奈を育ててきた智美にとって、娘の妊娠に気づけなかったこと、そして相手の親から責められたことは、彼女の自己肯定感を根底から揺るがす出来事でした。うなだれる智美の姿は、彼女が抱える深い絶望と、親としての責任感に苛まれていることを示しています。

4Dエコーが映し出す「愛しい命」

泣き腫らした目でエコーモニターを見ていた杏奈に、医師は4Dエコーを勧めます。すると、モニターに立体的に映し出された胎児が、まるで杏奈を励ますかのようにニコッと笑います。その瞬間、「え…笑った…？」「ほんと…可愛い……」と、杏奈の目から涙があふれ、口元には微笑みが浮かびます。このシーンは、これまで恐怖の対象でしかなかったお腹の子が、具体的な「命」として杏奈の心に触れ、愛情が芽生える感動的な瞬間を描いています。

杏奈の心の変化と「唯一の味方」

医師の「こんなに小さくてもちゃんとママの気持ちがわかるのよ」という言葉に、杏奈はたまらず涙を流します。「このとき初めてお腹の子のことを愛しく思いました」「唯一の味方になってくれているみたいで…」「この子に会いたいと強く思ったのです」という杏奈は、心境が大きく変化し、お腹の子への深い愛情と、共に生きる覚悟が芽生えたことを示しています。このシーンは、絶望の淵にいた杏奈に、新たな希望と生きる意味を与える、重要なシーンです。

▽ 娘の妊娠に戸惑い、自分を責める母親と、現実を受け入れられずにいた杏奈。しかし、4Dエコーで動く赤ちゃんを目の当たりにし、その小さな命が自分を励ますように笑ったことで、杏奈の心境は劇的に変化しました。恐怖の対象でしかなかったお腹の赤ちゃんが、かけがえのない「唯一の味方」へと変わり、「この子に会いたい」と強く願うまでに至ります。母親である杏奈が、逆にまだ生まれていない子どもに守られていると感じる瞬間は、まさに親子の絆の深さ、そして生命の尊さを教えてくれます。