「あの男はやめとけ」亡くなった夫のおかげで、不倫しなくて済んだ話【喪失感】
夫の哲也を亡くし、寂しさを埋めるように昂と関係を持ってしまった夕実。しかし、昂は複数の女性からお金を騙しとっていました。夕実たちはそんな騙されていた女性たちと協力して昂を逮捕することに成功。今回は、昂が逮捕されたその後をご紹介致します!
あらすじ
カフェでの一件の後、昂はすぐに逮捕されました。妻の佳子の協力により潜伏先が明らかになり、無事に身柄を確保されたとのこと。さらに余罪も発覚し、裁判にかけられる運びになったといいます。夕実たちも情報提供者として警察の取り調べを受け、「300万事件」はようやく終息を迎えました。
警察署を出た夕実を見て、哲也は明るく「よかったな!」と声をかけますが、夕実は暗い表情を浮かべたまま。帰宅後、部屋の隅でうずくまる彼女の姿に、哲也ははっとします。かつて昂の存在が、夕実にとって“前に進むきっかけ”だったことを思い出したのです。
「また一人ぼっちになっちゃった」「やっぱり私ってダメだね」と自嘲気味に話す夕実。涙をこらえながら「どうして私を置いていったの?」「私も連れてってくれなかったの…?」と亡き夫・哲也に問いかける夕実を、慰めようとそっと手を伸ばす哲也。
しかし、その手は夕実の体をすり抜けてしまいます。幽霊である自分には、触れることも支えることもできない――哲也はその無力さに、深い悲しみを覚えるのでした。
見どころ
昴の逮捕
潜伏先も割られて、無事に逮捕された昴。昴に騙し取られそうになった300万事件もようやく終わりを迎えると思いきや、夕実はどこか浮かない表情で……?
再びの「喪失」
事件解決に安堵する哲也とは対照的に、かつての苦しかった日々のような表情に戻ってしまった夕実。心ここにあらずといった様子で、ただうつむく彼女でした。昂という存在を失い、一人ぼっちになってしまった喪失感があったのです。
届かない手
泣き崩れる夕実に、そっと手を差し伸べる哲也。しかし、その手は彼女の体をすり抜けてしまいます。ものを動かすことが出来ても、彼女を抱きしめることも、支えることももうできません。
▽ 物が動かせても、人の心には触れられない。それが、死者の限界なのかもしれません。哲也の想いは届かず、夕実はまたひとり孤独の中に取り残されてしまいます。彼女の未来に、果たして一筋の光が差すことはあるのでしょうか――。