「本当に感謝しています」出産を助けた患者さんに偶然再会…感謝された元助産師さんの話
妊娠や出産は命がけ。妻がお腹の中で一生懸命赤ちゃんを育てているのに、夫が理解してくれないタイプだと困りますよね。実際に交際中は素敵な彼氏だと思っていたのに、妊娠をきっかけに幻滅してしまうこともあるようです。助産師さんは、出産サポートを通してそんな複雑な問題を抱えるカップルの様子を目の当たりにすることも少なくないのだとか。今回は、かつて横暴な夫に悩まされていた担当の患者さんに偶然再会し、感謝された助産師さんの話をご紹介します。
ある地方の産科クリニックで助産師をしている渡辺は、妊娠中の柏木静香の担当になります。しかし静香は自分勝手な夫・直哉に振り回されてばかり……。この日も静香の定期健診に来ていた直哉は、機嫌が悪くなり帰ってしまいました。直哉がパチンコに行ってしまったため静香は徒歩で2時間かけて帰宅しましたが、義母からいびられる始末。
その上直哉からは「男に母乳はあげるな」、義母からは「子どもは自分が育てる」と言われてしまいます。そんなある日、予定日より早く陣痛が来た静香。直哉に車を出してほしいとお願いするも、二日酔いだから自分で行けと怒鳴られてしまいます。
仕方なく静香は雨の中車を走らせ病院に到着しますが、回旋異常が起きていてなかなか出産が進みません。昼寝を終えて病院に来た直哉は出産が順調に進んでいないと知り、今度は渡辺に暴言を吐きます。そんな中、静香は無事元気な男の子を出産します。
赤ちゃんにはじめての授乳をする静香ですが、その姿を見た直哉が「何してんだよ!! そいつ男だぞ!!」と怒鳴りはじめました。いままでは直哉の言いなりだった静香ですが、離婚を切り出し面会も拒否したところ、直哉と義両親、静香の父親が病室の前で騒ぎはじめました。日頃夫から暴言を吐かれていた静香の母親は、夫に「娘の教育もまともにできないなんて何の価値もない女だ」と言われてしまいます。
静香と母親はふたりきりで話し、静香は直哉と離婚、母親も夫と離婚することを決意、ふたりは祖母の家に逃げるため予定より早く退院しました。妊娠中から産後まで静香の味方だった渡辺ですが、その後は保育園で看護師として働きはじめます。そして静香と渡辺が、保育園で偶然の再会を果たしました。
偶然再会する静香と渡辺さん
「私は本当に感謝しています」
静香の退院後から接点がなかったふたりですが、偶然再会することができました。静香と息子、そして静香の母も元気だと知り安堵する渡辺さんなのでした。静香の言う通り渡辺さんが担当じゃなかったら、直哉とも別れられなかったかもしれません。いつかふたりが助産師として一緒に働く未来があったら素敵ですね。
※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。