托卵の何が悪いの? 不倫相手の子どもを産んだ女性の話【義父母との関係も完璧な私】
穏やかな陽光が降り注ぐ幼稚園の入園式。愛らしい娘の晴れ舞台に、美咲は満ち足りた思いでいました。「私の人生は完璧」。そう心の中で呟く美咲には、誰にも言えない秘密がありました。今回は、そんな彼女の完璧な日常の裏側を描く「托卵の何が悪いの? 不倫相手の子どもを産んだ女性の話」の中から「義父母との関係も完璧な私」をご紹介します。
あらすじ
娘の姫華が無事に入園式を終え、美咲は夫の翔太とともに帰路につきます。午後の仕事へ向かう翔太を駅で降ろし、美咲は姫華を連れて義実家へ。義母は二人の到着を温かく迎え、リビングでは和やかな時間が流れます。娘の成長を喜ぶ義母に、美咲は自身の子供の頃にそっくりだと笑顔で答えます。夕食を共にという義母の誘いを、美咲は幼稚園が始まったばかりだからと丁寧に断り、帰路につこうとしたその時、義父が帰宅。姫華は嬉しそうに駆け寄り、祖父に幼稚園の制服姿を見せるのでした。義父母との良好な関係を改めて感じ、美咲は自身の完璧な人生を確信するのです。
見どころ
完璧な入園式
娘の入園式を迎え、感極まって涙ぐむ夫の隣で、美咲は冷静にハンカチを差し出します。娘の成長を喜びながらも、どこか客観的にその状況を見つめているような美咲の表情が印象的です。彼女にとって、この入園式は完璧な人生の通過点の一つなのでしょう。
義母のさりげない質問
義実家でのお茶の時間。「ひめちゃん本当に美人さんよね。女の子は父親に似るって言うけど、誰に似たのかしら」。義母の何気ない一言に、美咲は「私に似たんですよ。私の子どもの頃にそっくりなんです」と笑顔で答えます。この時、一瞬見せる美咲の自信に満ちた表情からは、彼女の強い意志が感じられます。
義父母との良好な関係
幼稚園からの帰り際、タイミング良く帰宅した義父に、姫華は満面の笑みで駆け寄ります。孫の成長を喜ぶ義父の姿と、それを見守る美咲の心の中の「家柄も立派で、義父母との関係も良好。やっぱり私は完璧です」。このシーンからは、美咲が義実家との関係を円満に保つことに腐心している様子がうかがえます。
▽ 一見すると幸せそうで完璧な美咲の日常。しかし、義母のふとした質問や、彼女の心の中の言葉からは、どこか計算されたような印象を受けます。大切な娘や夫、そして義父母との関係も、彼女にとっては完璧な人生を築くための要素の一つなのかもしれません。この先、彼女の思い描く完璧な人生に、どのような歪みが生まれてくるのでしょうか。