うまくいってると思ったのに…妻に離婚を言い渡された話【娘から見た父親】
「もしかして、うちの父親もこんな感じだったのかな…」そう思わずにはいられない、娘の莉奈から見た父親・圭介の姿。麻里さんにとってはモラハラ夫だった圭介ですが、娘に対しても愛情不足だった彼の言動が、痛いほど伝わってきます。今回は、そんな父娘の関係にスポットを当てていきましょう。
あらすじ
離婚の話し合いが進む中、莉奈は麻里の実家で穏やかな時間を過ごしていました。ふと、幼い頃の父親との記憶が蘇ります。小さい頃は好きだったはずの父親が、いつしか自分の都合の良い時だけに関わってくる身勝手な存在になったこと。母親に対するひどい態度も目に焼き付いています。
過去の出来事を思い返すうち、莉奈の中で父親への嫌悪感が募っていきます。勉強を教えると言ってはすぐに飽きたり、一方的に塾を決めたり、送迎もせず塾代も途中で支払わなくなったり。そんな父親に対し、「勝手な男」という言葉しか思い浮かびません。
大好きな母親を苦しめる父親と離れて暮らせる日が近づき、莉奈は心から安堵します。そして視点は再び麻里へ。彼女は、圭介が時々買ってくるコンビニスイーツに感じていた小さな不満を思い出すのでした。
見どころ
娘から見た父親
幼い頃の莉奈にとって、父親は「時々遊んでくれる人」。しかし、圭介が娘に向き合うのは、あくまで自分の気が向いた時だけでした。「あーはいはい、あっちに行ってろ」とテレビに夢中な様子は、娘の小さな声に耳を傾けようとしない彼の自己中心的な一面を表しています。
娘に無関心な父親
勉強を教えると言ってはすぐに飽きたり、ろくに相談もせずCMで見た塾を一方的に勧めてきたり。送迎が必要だと分かっていながら何もしないばかりか、塾代まで出し渋る始末。莉奈はそんな父親の身勝手さに、幼いながらも気づき、心を閉ざしていきます。「どうせまた適当なことを言って、すぐに飽きるに決まってる」。そう悟ってしまうほど、父親の行動は一貫性がなく、娘の気持ちを置き去りにしていたのです。
母親への態度
母親である麻里さんへのひどい態度も、莉奈が父親を嫌う大きな理由の一つです。大好きな母親を馬鹿にするような言動は、幼い莉奈の心に深く刻まれました。「勝手な男」という言葉には、父親に対する莉奈の長年の複雑な感情が凝縮されています。
▽ 麻里さんと圭介の離婚がついに現実味を帯び、莉奈は心底喜びます。長年苦しんできた母親が、あの父親と離れて暮らせるようになる。それは莉奈にとって、何よりも嬉しいことでした。そして物語は再び麻里さんの視点へ。彼女は、圭介が時折買ってくる割引シールの貼られたコンビニスイーツを思い出すのでした。それは、彼なりの「プレゼント」だったのかもしれませんが、そこにもまた、彼の自己満足な優しさが垣間見えるようです。