愛妻家で有名な社長が、地味な女社員と不倫していた!?【「愛されている」という驕り】
「人に愛されている」という感覚は、自分ではなかなか気づきにくいものです。しかし、ひとたびそれを認識してしまうと、どこまでも深く信じ込んでしまうことがあります。特に、これまであまり愛された経験がない人ほど、その傾向は顕著かもしれません。今回は、そんな「愛されている」という確信が、やがて驕りへと変わっていく妻・由紀菜の視点からの話をご紹介いたします。
あらすじ
昔から人によく嫌われていた由紀菜は、宮田に愛されていることを「勝利」と捉え、その愛情に驕りを抱いていました。夫婦喧嘩で宮田から「愛がない」と言われ混乱する由紀菜は、宮田と小野の親密な様子を見て嫉妬心を募らせ、宮田に冷たく当たります。しかし、宮田は彼女の誘いを冷たく断り、由紀菜はこれまで愛されていると信じ込んできた確信が崩れ去ることに絶望するのでした。
見どころ
由紀菜の過去と「愛されている」という確信
昔から人によく嫌われていたという由紀菜。そんな彼女を嫌わず、献身的に尽くしてくれた宮田からのプロポーズと指輪を受け取った時、由紀菜は「ああ、私は愛されてる」と確信します。そして、「昔、陰口を叩いてたあいつらよりずっと私は愛されてる」と、過去への復讐とも取れるような黒い笑みを浮かべます。このシーンは、由紀菜が宮田の愛情を、自身の過去の傷を埋めるための「証明」として捉え、それが傲慢さへと繋がっていることを示しています。
由紀菜の「愛されている」という驕り
宮田から「愛がない」「いい加減気づけ」と言われたことに混乱し、「今までどれだけ冷たく当たっても嫌わなかったじゃない。それってつまりそういうことでしょ!?私のすべてが好きなんだよね!?」と自問自答する由紀菜。彼女が宮田の愛情を無条件で絶対的なものと信じ込み、その愛情に「驕り」を抱いていることを示しています。彼女が宮田の気持ちを理解しようとせず、自分の行動を顧みない原因がここにあります。
宮田の「こらしめ」と由紀菜の絶望
由紀菜が余裕綽々に宮田に声をかけ、結婚記念日のお出かけを提案したにもかかわらず、宮田は由紀菜に背を向けながら「予定があるんだ」「俺ら急いでるから」と冷たく断ります。この宮田の態度は、これまでの由紀菜の言動に対する「こらしめ」の意図が込められています。由紀菜は目を見開いて固まり、宮田に嫌われたことに軽く絶望します。このシーンは、由紀菜が初めて「愛されていない」という現実に直面し、これまでの「驕り」が打ち砕かれる瞬間を描いています。宮田が由紀菜の背後で「今までの俺の気持ち、少しはわかったか」とつぶやく夫の姿が、その意図を示しています。
▽愛されることへの渇望から生まれた驕りが、やがて愛を蝕んでいく様を繊細に描き出しています。由紀菜が味わった絶望は、彼女にとって自身の行いを見つめ直す大きなきっかけとなったことでしょう。