親だって人間ですから！　反抗期の子どもに反撃してみた話【夢中になれるもの、見つけた！】

「自分の部屋さえあれば成績が上がる！」――反抗期真っ只中の息子・圭二は、父親の武にそう言い放ちます。そして、武は圭二を祖母・恵美子の家に預けるという、ある意味での“反撃”に出るのです。広い家で一人、気ままな冬休みを過ごせることに、圭二は内心ちょっとだけ喜んでいる様子。しかし、本当にそれで良いのでしょうか？今回は、そんな親子の間で繰り広げられる人間ドラマ、「親だって人間ですから！　反抗期の子どもに反撃してみた話」の中から息子・圭二が夢中になれるものが見つかった話をご紹介します。

あらすじ

冬休みに入り、祖母・恵美子の家に預けられた圭二。広い家で一人、ゲームをしたりお菓子を食べたりと、自由を満喫している様子です。普段は何かと口うるさい母親や、いつもいる兄の存在を気にすることなく、自分の好きなように過ごせることに嬉しさを感じています。しかし、一人きりの静かな部屋で過ごすうちに、次第に何か物足りなさを感じるようになります。夜になり、恵美子と二人で食卓を囲みます。苦手な煮魚も、恵美子に気遣って「おいしい」と言う圭二。そんな中、恵美子がふと「誰かと食べるごはんは美味しいわね」と呟きます。その言葉をきっかけに、圭二は恵美子に一人暮らしは寂しくないのかと尋ねます。すると恵美子は、以前圭二たちがここに引っ越してくる話があったことを明かします。しかし、圭二が「友達と離れるのは嫌だ！」と強く反対したため、立ち消えになったというのです。その話を聞いた圭二は、今の団地での暮らしは自分のわがままが原因だったことを思い出し、少し自責の念を感じ始めます。そんな圭二に、恵美子は優しく編み物を教えます。近所の蘭ちゃんにあげるという可愛いあみぐるみを見た圭二は興味津々。不器用ながらも作ろうとするうちに、だんだん夢中になっていきます。
そして、大晦日。恵美子と二人、こたつで温かなあみぐるみを作る時間を過ごす中で、圭二は年明けに家に帰ることを恵美子に伝えます。恵美子に感謝の気持ちを伝え、少し顔がすっきりした圭二の手には、依子のために編んだウサギのマスコットがありました。

見どころ

静けさの中で気づく“自分の居場所”の大切さ

ゲームやお菓子を楽しみ、「最高だ！」と感じていた圭二ですが、ふと部屋に満ちる静寂に包まれ、物足りなさを感じ始めます。圭二の表情からも、彼の心の変化が伝わってきます。普段はうるさく感じる家族の存在が、この静けさの中で、どれほど大切だったのかを実感させる重要なシーンです。

6年前の真実と、祖母の温かい眼差し

恵美子との会話の中で、6年前、家族でこの家に引っ越す話があったにもかかわらず、自分が「友達と離れたくない」と駄々をこねたために、今の団地暮らしになったという真実を知る圭二。「！」という一言と、思い出したような表情のこのシーンは、彼にとって大きな衝撃だったでしょう。それに対し、恵美子は「まだ小さかったからね」と優しく微笑みます。この祖母の温かい眼差しが、圭二の自責の念を和らげ、前に進むひとつのきっかけを与えているように感じます。

夢中になれるものとの出会いと、帰宅への決意

依子の好きなキャラクターであるマヌウサのあみぐるみを作ろうとするうちに、少しずつ編み物の楽しさに目覚めていく圭二。「やってみる」と毛糸を手に取るこのシーンの、少しためらいながらも新しいことに挑戦しようとする彼の表情が印象的です。
そして、大晦日に恵美子に「年明けたら家に帰るよ」と伝えるシーン。手には依子のために編んだウサギのマスコットがあり、何かやり遂げたような、すっきりとした表情をしています。このあみぐるみ作りを通して、彼は家族とのつながりを再認識し、家に戻るという自分の決断をしっかりと固めたのでしょう。

▽ 恵美子との時間の中で、家族の温かさを再認識し、今の暮らしが自分の選択によるものだったと知った圭二。編み物という新たな楽しみを見つけ、依子への思いを込めたあみぐるみを完成させたことで、彼は家へと帰る決意をします。この短い期間に、圭二は自分と向き合い、家族との関係を改めて考えることができたのではないでしょうか。反抗期にありがちな自分の意見だけを主張するのではなく、他人の気持ちや過去の出来事を理解することで、一歩成長した圭二の姿に、温かい気持ちになるはずです。