謎のアドバイス「〜したほうが男は喜ぶ」は無視する【恋愛にルールはいらない #13】

ファストフードならぬ、ファストデートをこなしてきました。恋活アプリで知り合った男性とふたりきりで会うことを、私はファストデートと呼んでいます。
一般的に、気になる男性とふたりで食事に行くまでには、いくつもの突破すべき関門があります。出会って、会話をして、連絡先を交換して、会わない間も少しやりとりして、どちらかが誘って……と、関係性を築きながら、少しずつ進めていく――といったところ。


「ふたりきり」までの展開が早いファストデート

すぐにふたりきりで食事に行くのではなく、まずは大勢で食事に行ってから、とワンクッションおくこともあるかもしれません。ともあれ、デートに至るまでには、相当な時間がかかるといえます。
一方、アプリで出会う男性とは、そういった手間ひまのかかるもろもろをすっ飛ばして、出会う→アプリ内で少々会話する→デート、というスピーディな展開もアリ。

私は1~2枚の写真と自己申告に基づいた各種データしか知らない相手と、アプリ内で長々と会話を続けるのが好きではありません。
テキストのやりとり、文章からにじみ出る雰囲気で、なんとなく合う・合わない感覚はわかりますが、少しでも「合いそうな気配」があるなら、実際に対面して確かめるのが効率的で合理的。

そう考えているため、マッチング後は3~4回程度のやりとりのなかで、「良ければ、一度食事でもいかがですか?」と自らたずねるようにしています。

デート相手からの謎なアドバイスに硬直した夜

そうして1件、ファストデートの予定が入りました。相手は30代後半の商社マン。1軒目のビストロでお腹を満たした後、2軒目にバーに行かないかと誘われ、男性がお気に入りだというバーへ向かいます。
カウンター席に隣り合って座り、ほどなくして男性は私のお尻を触ってきました。私のようなガタイの良い女のお尻を触るなど、酔いが回っていないとできないことだろうし、別にボトムスの上からお尻を触られるくらい、正直気にならない……。

男性の行動を完全に無視して、話すことに専念していました。すると、男性はこう言います。「こういうときは『やだぁ』とか言うほうが、男は喜ぶし、スキを出せると思うよ。園子ちゃんって、スキがない人だよね」と。

その瞬間、フリーズしました。あなた誰? 男女問題の専門家? その発言の根拠は何? というより、スキがない相手の尻を触りますか……? などいくつもの疑問が生まれると同時に、一気に心が冷え冷えとしていくのを感じたのでした。

不特定の男性像にウケる反応をする意味がわからない

「~したほうが男は喜ぶ」「女は~したほうがかわいげがある」など、妙に自信満々な顔つきで発言する人たちがいます。「そういうのはスキがないよ」「そういうのは男にウケないよ」など、人の行動を否定する人たちがいます。
それって、いったい誰が決めたのか。何を基準に言っているのか。誰のためにそう“演じる”必要があるのか。意味がまったくわかりません。
そこに出てくる「男」や「女」というのは、顔の見える特定の男性や女性ではなく、ぼんやりとした男性や女性の塊やイメージにすぎません。

私たちが考えなければならないのは、自分の目の前にいる、自分が本当に気になる相手や好きな相手です。その相手と向き合ったときに、相手を観察したり話を引き出したりした上で、相手を心から喜ばせること、笑顔にさせること、元気にさせることに注力したいもの。

あえて「不特定の男性像にウケるであろう反応」をする理由も意味もなく、ましてや、それを好きでも何でもない男性から指南されることへの拒否反応もあります。オマエハイッタイダレナンダ……? としか思えないのです。

自然体でふるまって、自分の良さをいかして

ステレオタイプな像を振りかざし、「女は~であれ」「~したほうがモテる」などの主張を押しつけようとする人の話なんて、聞き入れる必要はありません。そんな意見は不採用でいいんです。
振り返ってみてください。これまで一緒にいて、心が温まる日々を過ごした恋人や夫などのパートナーは、謎の「~したほうが男は喜ぶ」「女は~したほうがかわいげがある」説に基づいた行動をとった結果、落とした相手だったか、と。きっと、そうではないはず。

もちろん、多少「装う」ことはあったとしても、基本的には素の自分のまま接して、相手が素の自分を好きになって、愛してくれて、縁あってパートナーになったのではないでしょうか。
自分を少し良く見せたいと意識を高く持つのと、姿の見えない、実在しない「男性像」にウケると言われている態度を意図的にとるのは違います。自分の良さを殺さず、自然体でふるまうことで、自身の魅力は相手にすっと伝わります。

違和感を覚える価値観を押しつけてくる相手は、「毒」にしかなりません。その価値観に基づいた行動をする女性を求めているだけで、その枠からはみ出た個性を認めてくれることはないから。スルーして、次に進んでいくのが一番です。

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2017.09.04

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子