恋愛にルールはいらない #6「“男性ウケする女性”を演じる意味はゼロ」

「嘘を吐くのには才能がいる」――先日観た昔の映画『スモーク』に、そんなセリフが出てきて、たしかになぁと共感しました。
一時的に偽るだけではなく、中長期にわたって偽り続けるとなると、なおさらでしょう。その場合、単なる嘘ではなく、詐欺師のような「巧みな嘘」が必要になるはずですから。
恋愛シーンにおいて、嘘を吐く人(広い意味で)は少なくありません。本当の自分を隠すなんて、厄介だし面倒な細工でしかないな、と個人的には思うのですが。


「女性らしい趣味」を書かされる、婚活中の女性

先日、結婚相談所に申し込み、婚活をスタートした女友だちからこんな話を聞きました。

「ボクササイズやキャンプみたいな、アクティブなことが好きだから、“趣味”の欄にそのまま書いたら、担当者から『料理や読書など女性らしい趣味を書いたほうが、男性ウケはいいと思いますが……』って言われて、仕方なくそう書いた。でも、違和感があるんだよね」

つっこみどころがありすぎです。「女性らしい」ってなに? 「男性ウケ」ってなに? 女性らしく見せていないと、パートナーとは出会えませんよ――そんなふうに脅しているようなものです。料理や読書よりも、ボクササイズやキャンプのほうが好みなら、趣味の欄に「料理、読書」と書くのは真実ではありません。

嘘を吐く側も、吐かれる側も、幸せじゃない

自分を偽ることは、相手に偽りの自分を見せること。はたして、それでいいのでしょうか。
「趣味:料理、読書」の表記に共感し、相手がお見合いを申し込んできたとします。実際にお見合いに到り、何度かデートを重ね、運良く交際に到ったとしましょう。でも、それから長い付き合いのなかで、ずっと自分を偽っていけますか? という話です。真の自分とは違う自分を、半永久的に演じ続けるのは、あまりにも気苦労が多すぎる。純粋に、疲れませんか?
あとで「じつは……」とカミングアウトするのも、そこに期待(?)していた相手がかわいそう。被害妄想の強い相手なら、「騙された!」と感じるかもしれません。嘘を吐く側も嘘を吐かれる側も、どちらにもメリットはなくて、リスクがあるだけ。両者ともに幸せではないのです。

偽らない自分でいると、負の感情を抱くことが減る

あたりまえのことですが、最初から本当の自分を出しておくほうが、過ちや衝突、悲しみなど、負の感情はなくなるのに、と思わずにはいられません。
私の趣味のひとつに「プロレス観戦」があります。これはどこに・誰に対してもオープンにしていますが、それで損をしたことは一度もありません。「プロレス!?」と色眼鏡で見てきたり、「え~、なんか意外な趣味!」となんともいえないコメントを寄せてきたりする人はいて、都度苦笑するしかないものの、そのくらいです。
自分の趣味を、世間一般にいう「女性らしい趣味」で偽らなくても、なんの不都合もありません。むしろ「プロレスのどういうところが楽しいの?」「なぜはまったの?」と興味を持ってくれる相手も。でも、それ以上に嬉しいのは、(1)素の自分でいられること、(2)自分に接近してくる相手が自然と絞り込まれること、の2点です。

自分らしく生きる人は、幸せへの近道を歩いている

自分らしく生きれば、面倒なことにもならない

(1)素の自分でいられること、については、自分を偽らないことで、自分らしく生きられるので、変に気を遣ったり、疲れたりすることもありません。
嘘を吐いていないため、あとでなにかが破綻したり、取り繕ったりすることも一切なし。面倒なことにならないのです。

素の私合いそうな相手だけが引き寄せられる

(2)自分に接近してくる相手が自然と絞り込まれること、については、あらかじめ素の自分を示しておくことで、素の私を「対象外」とする相手は、はなから私に近寄ってきません。
たとえば、プロレス観戦に違和感を持つ相手は、最初から私に近づいてこない、ということです。一方、その趣味に多少なりとも興味関心や親しみを感じる相手は、私に近づいてきます。
最初から、なんとなく感性が近そうな相手、ウマが合いそうな相手だけが、こちらに引き寄せられてくる。これってとても合理的。偽らない自分でいるほうが、最短ルートで幸せになれるのです。

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2017.01.27

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子