失恋したら、読んでみる? 共感度120パーセント! 連作短編「ふられ」小説『くまちゃん』が泣ける!
突然ですがGoogirlをご覧の皆様、「失恋」ってつらいですよね……。世界が終わったかのように、景色がモノクロームに見え始め、もう明日から生きていけない、ごはんも食べられない、仕事も学校も行きたくない! と、地獄に落とされたかのような気持ちになりますよね……。まあ、時間が経つとお腹もすくし、外に出かけられるようにもなるのですが、心にポッカリ開いた穴は、なかなか埋まることがないのも事実。
今回は、失恋をした時にぜひ読んで頂きたい『くまちゃん』(角田光代/新潮文庫)という本をご紹介いたします。本書は連作短編集なのですが、登場人物がみんなふられますので「私も絶対大丈夫!」と、少しだけ前向きになれるかもしれません。
『くまちゃん』(角田光代/新潮文庫)
『くまちゃん』は、主人公が入れ替わっていく、連作短編「ふられ」小説です。第一話で主人公をふった彼が、第二話ではふられる側に周り、その彼をふった彼女が、第三話の主人公となりまたふられ……と、主人公となった人が、全員見事にふられるお話です。ちなみに、第一話でふられる女の子の彼が着ていた服の絵柄が「くまちゃん」です(笑)。
このお話は、人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近した「ゆりえ」や、舞台女優の夢を捨て、有名画家との結婚を虎視眈々と狙う「希麻子」たちが登場します。登場するのは、20代の前半から30代半ばまでの大人たちですが、み~んな、これまでの「ぱっとしない毎日」を、誰かと交際することによって一変させようとしていました。その結果「あと一歩で上手く行きそう!」という事態になっても、最後にはあっけなく終わってしまうのです……。
わたしだけじゃ、ないのかも?
このお話を読むと、誰も彼もがうまくいかない恋愛を経験して、苦しんでいるということがよくわかります。「私のこの苦しい気持ちは、誰にもわかってもらえない。もう一生、立ち直れない」 失恋した直後はそんなふうに思ってしまいがちだけど、そんなことは絶対なくて、私たちはまた新しい恋に何度だって立ち向かっていけるのだなあ……ということもわかります。
そしてもう一つ。つまらない毎日を本当の意味で楽しくできるのは、結局は恋人ではなく、自分しだいなのだな……と、教えてくれる物語のようにも思えました。読んでいてとても切ないお話ですが、今までの恋愛を糧にして、自分の求めている幸せをちゃんと考え直して、頑張ろうと思えるはず。よかったら、読んでみて下さいね。