専業主婦に憧れる女子たちへ vol.2 ~専業主婦はニート? ランチ三昧?~

Vol.1では、筆者がなぜ専業主婦になったのかについて書きました。
今回は、実際にどのように生活が変わったか、そして世間で言われる専業主婦に対するさまざまなイメージについて、筆者の経験からの見解を述べていきます。


専業主婦はニート?

いざ、いまどき珍しい「寿退職」をして家庭に入ってみると、それまでとはまったく違う生活が始まりました。朝起きて、簡単に朝食の準備をし、お弁当を詰めて、夫を送り出す。ひとりになると洗濯や掃除をすませて軽く昼食をとり、最低限の身支度を整えてスーパーマーケットや銀行、役所など外での用事をすませて帰宅。アイロンがけをしながら自分用の夕食と翌日のお弁当の下ごしらえをし、夕食後はのんびり過ごして就寝。平日は基本的にそれの繰り返しです。

主婦もまた仕事

仕事を辞めたと友人に話すと「いいなー、楽でしょ」「暇すぎじゃない? 昼間何するの?」と必ず言われ、ネットには「専業主婦はニート」「三食昼寝つきでうらやましい」しまいには「だからぶくぶく太る」などと書かれています。でも自分が実際経験してみて、専業主婦がニートだとは思いません。たしかに外で働いていたころよりスケジュールの自由が利きますし、食事もきちんととれ、夜ゆっくりすごす時間もとれます。
ノルマや締切に追われませんから精神的にも楽です。でも、衣食住を整えるのを一手に引き受けているわけですし、家事はやり始めるときりがなく、雑用というのは意外にあれこれでてくるもの。主婦はいわば一家の「何でも屋」ですから、知人の結婚祝いや出産祝いの手配、両家実家への気づかい、ありとあらゆる支払いや、公的書類の整理、家電の修理の手配に立会い……あげればきりがありません。
当たり前のように家の中がまわっているのは、“主婦の働きの賜物”です。実際、研究機関が主婦の労働を金銭に換算してみると、年収400万円ほどだったとのこと。
外で働くことと家庭で働くことは大変さの質が違うだけであって、主婦もまた仕事です。

「優雅なランチに習いごと三昧」という幻想

冒頭のアンケートへの回答にもありましたが、専業主婦というと「優雅にお友達とランチして、習いごとをして、ショッピング」というイメージを抱く女子もいるようです。
残念ですが、それは幻想です。正確にいうと、大半の家庭では幻想です。一部の富裕層では実現可能でしょうが、一般的に高収入といわれる年収1,000万円の家庭でも厳しいでしょう。夫ひとりの収入でふたりが暮らすのですから、当然ながら共働きの家庭に比べて家計は苦しくなります。税金や社会保険の負担も、一般的な収入の家庭では、共働き世帯より片働き世帯の方が大きいです。貯蓄もしっかりしておく必要があります(理由は後述します)。

妻が連日優雅にランチをして習いごとをしてショッピングを楽しむどころか、独身時代より被服費や美容代、交際費などをおさえないといけないケースがほとんどでしょう。
また、そもそも財布を握れなければ妻が自由に使えるお金自体ほとんどない、という場合もあります。夫が収入のなかから一部を生活費として妻にわたす、というスタイルの場合、妻の自由になるお金は生活費の余りだけ。ですから、生活費の額にもよりますが、一般的な家庭であれば余剰額もある程度の範囲の額でしょう。
専業主婦になるということは、時間の余裕ができるかわりに、経済的な工夫が必要になるということです。

Vol.3へ続く

2015.06.03

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記事を書いたのはこの人

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Written by 吉原由梨(ヨシハラ ユリ)

東大法学部卒業後、外資OL、秘書職を経て、現在は都内で夫と二人暮らしのフリーライター。30代初級者。 趣味は読書、グルメ、美容と健康の研究、マッサージ巡り、人間観察etc. 自身の経験や思索、あとは好奇心の赴くまま、幅広いジャンルのコラムを書いていきます。 Twitter:@yuriyoshihara ブログ:http://yuriyoshihara.blog.jp 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子