sex研究部Vol.5 ラブセラピスト・Naomiさん

周りの人にはなんとなく聞きづらい、女性の性やセックスに関するテーマ。大事な話ですがネットで調べて済ませていませんか? 専門家の話からセックスをひもとく企画第5弾は、ラブセラピストのNaomiさん。これまで女性の性・セックス・恋愛に関するテーマで、数々のセミナー開催やコラム執筆を行ってきたNaomiさんに、悩める女性たちへアドバイスをいただきました。

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アラサーで離婚を経験

21歳で大企業勤務の男性と結婚し、専業主婦として暮らし始めたNaomiさん。その間、セックスレスや不妊治療などさまざまな出来事があり、順風満帆に見えたはずの結婚生活は6年半で破綻を迎えます。「実家から出たい。自立したい。お金持ちの男性と結婚したい、という勢いもあったのだと思います(笑)」と当時を振り返ります。離婚後は家賃5万円の物件に住み、収入にも困窮する生活をしていたとき、思いきって飛び込んだのが風俗の世界でした。

「風俗の仕事を通じて男性と関わるなかで、いくつもの気づきがありました。たとえばなぜ結婚生活が上手くいかなかったのか、男と女はどんなところが違っているのかなど、見えてくるものがあったのです。たとえば、妻が夫を批判する夫婦は上手くいきません。女性のなかにはよかれと思って、夫に出世してほしいがために『~すればもっと上にいけるんじゃない』とか『~すればもっと稼げるんじゃない』など、ズバズバと言ってしまう人もいます。ある種の母性なのかもしれませんが(苦笑)。でも、男性側は批判されているうちに、卑屈な気持ちを抱き始め、仕事に悪影響が出てきてしまうことも……。また、やがて妻側が夫から女として見られなくなる可能性もあります」

その結果、男性は家に帰ってこなくなったり、プロの女性たちにのめり込んだりと、変わっていってしまうといいます。

褒めて上手く転がす

「風俗時代に学んだのは『男性を褒める』ことでした。決して男性を責めてはダメで、まずは褒めることが大事です。たとえば自宅でお皿を洗うシーンを想像してみてください。共働き夫婦の場合でも、妻が後片付けを担当するケースが多いです。でも『たまにはあなたも洗ってよ?』といった言い方だと、夫は『いつも洗ってくれないよね』と責められているような気持ちになります」

これを「疲れてお皿洗いできないから、明日でもいい?」というように、言い方を変えてみてほしいのです、とNaomiさん。

「“可愛げ”が大事です。たとえそのときは手伝ってくれなくても、何度か口にしたり『今日はお皿洗いをやってくれるとうれしいな』みたいな言い方に変えたりすると、夫も動いてくれやすくなります。かわいくおねだりをされると手伝おうかな、という気になりますし、さらに『綺麗に片付けてくれてありがとう』などと褒められると達成感をおぼえて、手伝ってくれる機会が増える可能性もあります」

はるか昔から男性脳は「命令に従う」しくみでできているのだとか。また、褒めてもらえないシステム下においては、動こうとしない性質だともいわれます。若くて美人で知性的で……と一見完璧な女性と付き合っている男性でも、褒めてくれない女性、可愛げのない女性とは結婚を決意しない、とNaomiさんは語ります。
「相手を攻めたり、張り合ったり、バカにしたりすると、男性は心が繊細なので傷つきます。これを言うと男性から怒られるかもしれませんが、女性のほうが男性より頭がいいんです(笑)。親交のある会社社長も『頼んでいないことまで気を回して動いてくれるのはいつも女性。やっぱり優秀です』とおっしゃることも。マルチタスクができるのも女性です。男性に気分よく働いてもらうためにも、“上手く転がす”ことを意識するのが賢いと思います」

セックス中はキャストとゲスト双方の気持ちが必要

風俗の仕事に就いたことで、性・セックス観にも変化があったNaomiさん。最初の結婚をした頃、セックスは嫌なもの・隠すべきもの・女性は受け身で、男性が頑張るものといった認識があったと語ります。一方、風俗の仕事を経験してからは、女性も男性をリードすべきだと考えるようになったのだそう。
「男性は自然に興奮できるわけではありません。もちろん100%タイプの女性であれば、裸を見ただけで興奮するでしょう。でも、私たち女性も男性を興奮させるための努力をすることが必要です。それを考えると、セックスレスになるカップル・夫婦には、女性にも原因があるとわかります。女性自身がセックスを楽しむことも大事です。男性は『彼女は気持ちいいのかな』『このやり方で満足しているのかな』などと、絶えず不安を抱えているもの。リアクションを通じて意思を伝えなければわかってもらえません」

女性がセックスを楽しむコツについて、Naomiさんはふたりの大人から聞いた名言を元に紹介してくれました。
「昔、大先輩から風俗=『大人の遊園地』と言われてハッとしたんです。遊園地って楽しいところだよねぇ、と自分で納得しました。つまり、私遊園地のキャストとして、ゲストであるお客さまを楽しませないといけないな、と気づいたんです。『楽しませたい!』と思えば、気持ちを切り替えることもできます。ここまでは風俗時代の話ですが、カップル間・夫婦間に応用するなら、ゲストとキャストの間を行ったり来たりすることがポイントなのかと。相手に喜んでもらえる方法を探って実行しつつ、自分でも『●●をしてほしいな』とお願いしたり、『●●をしてみない?』と提案してみたり。そうすることで代わり映えしないセックスとは無縁になるのではないかと思うんです」

さらに、Naomiさんは「伝え方」についても注意を促します。「あなた」が主語になるYouメッセージは危険で、「私」が主語になるIメッセージは相手を傷つけずに済むといいます。「あなたはどうしてそんな手の動かし方をするの?」と言うより、「私はそんな手の動かし方は好きじゃないな」と言うのとでは、相手が受ける印象がまったく異なります。言い方ひとつでお互いが気持ちよく過ごせるようになるのです。

将来後悔しない生き方を選んでほしい

最後に読者にメッセージを寄せてもらいました。
「『人生をどう変えていくか』をテーマにセミナーを主催することもありますが、“人生”には仕事はもちろん、結婚や性・セックスなど、あらゆる事柄が含まれています。5~10年後に後悔しない生活を選べる女性が増えていけばいいなと考えているんです。それは決して仕事で無理をする生活ではありません。結婚や妊娠・出産・子育てでライフステージが変わりやすい女性にとって、オフィスに行かなくてもいい働き方が究極の理想だと思います。男性と同じような働き方をすると、どうしても体を壊してしまいますから。プライベートも大事にできる働き方を研究している最中です」

そんなNaomiさんは昨年、現在の旦那さまと出会って半年で電撃婚をしたそう。現在はオン・オフをバランスよく過ごしています。
「1回目の結婚と同じようにはならないだろう、と思っていました。でも、彼は『35歳になるまでは結婚は考えられない』というような人で。ただ、私はライフプランを決めていて、この歳までには結婚したいという願望がありました。だからこそ『●歳のうちに結婚したい』とハッキリ告げて。対する彼は「Naomiちゃんのことは好きだけど、まだ31歳だし結婚は躊躇してしまう……」と漏らしたんです。私としては再婚のタイムリミットを決めていたので『35歳まで結婚する気がないなら、私、次の方を探します』と話したんです。淡い期待をしていても、結婚には結びつかないケースはいくらでもあります。人の気持は変えられないので、自分の要求はきちんと伝えるべき。もし別れることになったとしても、それはそれで仕方がありません。『彼が結婚に向けて動いてくれない』と悩む女性は少なくありませんが、男性にだけに決断してもらうことを期待せず、一時的に勇気を持って気持ちを伝えてみてほしいですね」。

Naomiさん

ラブセラピスト。風俗店で働いた経験をもとに、一般女性や風俗業に携わる女性に対し、性に関する悩みやセックスを楽しむ方法について啓蒙している。自宅で彼や旦那さんにできる、心身がほぐれ性的な気持ちも高まる「ラブマッサージ」の考案者でもある。そのほか、性・セックスをテーマにしたセミナーの主宰も行う。来年スクールとして開講予定の、性の知識やトラブル解決法を身につけた、性に関するセラピスト「ラブセラピスト」養成カリキュラムを制作中。

2014.11.13

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子