sex研究部Vol.4『つけちゃうぞ! 大人の保健体育』著者・菊池美佳子さん
周りの人にはなんとなく聞きづらい、女性の性やセックスに関するテーマ。大事な話ですがネットで調べて済ませていませんか? 専門家の話からセックスをひもとく企画第4弾は、『つけちゃうぞ!大人の保健体育』著者の菊池美佳子さん。これまで女性の性・セックス・恋愛に関するテーマで、数々の人気コラムを書いてきた菊池さんに、悩める女性たちへアドバイスをいただきました。
「不法侵入男子」に気をつけて
『つけちゃうぞ! 大人の保健体育』はタイトルの通り、コンドームに関する基礎知識から着け方、応用編まで広く解説した1冊。主なターゲットは性経験が少なめな男性だとか。
「当初は私ではなく、私と同じく男性向けのアダルト記事を専門とする女性ライターさんが執筆する予定でしたが、彼女のスケジュールが合わず、急きょ代打として書くことになりました(笑)」と菊池さん。
これまで、あらゆるメディアで「(セックスに)コンドームは必要不可欠」「コンドームなしのセックスはあり得ない」と啓蒙し続けてきたことから、よい機会だと思って引き受けたと振り返ります。
でも、着けない男性っていますか? 過去に筆者が関係を持った男性たちは、全員着ける派(筆者から「着けて」と言うと、着けてくれた男性も含む)でしたが……。
「着けようとしない男性は結構いますよ。しれっと挿れてくる人もいます。それこそ“不法侵入”のように(笑)。人の家に入るのにノックくらいしてよね、と私は思うのですが。独自・周辺調査によると、その手のタイプはアソコがスマートサイズであることがほとんど。スマートサイズだからこそしれっと挿入できちゃうのかもしれません(笑)」
また、女性側から「着けて」と頼んでもゴネる男性もいるのだとか。
「『俺、着けない派だから~』とよくわからない主張で対抗してくる男性もいます。それどこの政党? 誰派閥? と私はツッコんじゃいますけどね(笑)。着けたくない理由は『コンドームを着けると感度が鈍るから』が多いですが、わずか0.02ミリ程度の薄さで感度が鈍るだなんて、ハッキリ言って気のせいだと思います」
それでもやはり、コンドームを着けずにセックスをする男女は少なくありません。
「着けないでセックスすると、行為中に『もし望まない妊娠をしてしまったら……』と考えてしまいますよね。それでは快感に集中できないのではないかと思います。セックスの後も次の生理が来るまで、漠然とした不安を抱えながら生活するなんて、馬鹿馬鹿しいですよね。ナマでのセックスは望まぬ妊娠に限らず、性感染症の不安も隣り合わせだと意識してほしいです」
交際前セックスは「男性に飽きられる」材料にはならない
2009年から性・セックスに関するコラムを書き始めたのに伴い、現代女性の性・セックス観を見つめてきた菊池さん。その変遷をどう見てきたのでしょうか。
「表面的には『女性も性に対して貪欲になってきた』と思われがちですが、それはあくまでもごく一部の女性ですね。今も昔も相変わらず人気が高いのは、顔が見えてキスできることで愛情が感じられるという理由で正常位ですし、交際に発展する前に身体の関係を持つのを敬遠する女性のほうが圧倒的多数。保守派と革新派に二極化しているのではと感じています」
一般的によく寄せられるのは「付き合う前に関係を持ってしまうと、男性に飽きられてしまうのでは」との悩み。わかるような、わからないような……。
「『男性側がセックスという目的を達成するから飽きられる』と主張する女性もいますが、魅力的な女性であれば、交際前にセックスをしても飽きられることはないと思います。先延ばしにするよりも、その場を楽しくする努力をしたほうがよいのではないでしょうか。男性に聞いても『交際前に身体の関係を持っても“軽い女性”だとは思わない』と話す人が多いですよ。飽きられると心配するよりは、飽きさせない工夫をすることのほうが、何倍も大切なことだと思います」
さらに菊池さんは「相手の顔色を窺い過ぎるあまり、過度に思い悩んでしまうのでは」と指摘します。
「まず一番に自分はどうしたいのかを考えれば、突破口が見えてくるのではないでしょうか。相手のことを好きなら『抱かれたい』と感じるはず。想像で悩み過ぎてはダメです。『先にセックスしたら飽きられるかも』というのは、あくまでも『予想』ですよね。未来透視ができる予言者ではないのですから……(笑)。まずは自分の意志の赴くままにセックスをして、その後のことは改めて考えればいい。付き合いが深くなれば、セックスレス期が来るかもしれませんし、求められるうちが花だと思って、今のうちにセックスしておこうと考えるほうが前向きです」
セックスレス解消で必要なのはユーモア
先ほど出た往年のテーマ「セックスレス」。マンネリ化したカップルはその解決策を知りたがりますが、何に気をつけるとよいのでしょうか。
「成人映画の某・男性監督が『セックスレス解消法はない』と話していましたが、私自身それがかなり腑に落ちたんです。一方、レス解消法として “アロマを焚く”女性が多いように見受けられますが、まったく効果はないと感じています。確かに『この部屋、いい香りがするなぁ』といった感想は持たれるでしょうけど……」
他にも「セックスをするシチュエーションを変える」「かわいく誘ってみる」といった方法も度々紹介されますが、菊池さんとしてはあまりおすすめできないそう。
「それよりは『私、浮気しちゃうかもよ?』と冗談っぽく脅したり、『最近、◯◯◯◯◯見てないなー』と彼の股間を凝視したりしてみては? 必ずユーモアを交えてくださいね。極端な例ですが、私の友人は裸踊りをしてパートナーにレス解消を申し出たそうです(笑)」
まずは言葉で訴えることが大事です。悶々としていても伝わりません。
「でも相手のことが大好きなら、セックスがなくても気にならないと思うんです。私自身、1年以上セックスをしなくても、100%満足していたパートナーもいましたし。レスを声高に叫ぶ女性は、実はレス以外のところに不満を感じているのかもしれません。虫歯と同じく、レスにならないためには“予防”が必要。具体的には“3回に1回は拒んだほうがいい”といった妙な計算を捨てたり、一緒に入浴するとしても電気は消すなど恥じらいを大事にする、といったところでしょうか」
さらに「そもそもセックスを楽しむ人はレスにならないはず」と心強いコメントも。最後にGoogirl読者女性へのメッセージをいただきました。
「『自分の意志の赴くままにセックスを楽しむ」にも、やはりコンドームは必要不可欠。『コンドーム着けて』の一言が言える女性になってほしいですし、今は女性もコンドームを携帯すべき時代だと思っています。確かに女性としては、男性にコンドームを用意していてほしいものですが、その願いが叶わないケースもあります。“備えあれば憂いなし”の精神で、堂々とコンドームを持っておきましょう。牛丼屋やラーメン屋にはひとりで入れちゃう女性が、『コンドームの購入は恥ずかしい』なんてちょっと変ですよね(笑)。私はコンドームをレジに持って行くのは誇らしいことだと思っています。『セックスのパートナーがいますよ』ってことですし、コンドームの価格帯を知っておくことも大事です。どうしても恥ずかしい場合は、Amazonなどネット通販でも買えますし。また、コンドームを着けようとしない男性に対し、私は『(着けてくれなきゃ)チ○コ蹴るよ』とユーモア満点に言っちゃいます(笑)。ナマ挿入を受け入れたところで、自分自身に一体どんなメリットがあるのかを考えれば、自ずと『着けて』と言えるはず。『惚れたオトコのために、ナマ挿入を受け入れちゃう健気な私……』と、“悲劇のヒロイン”状態に酔いしれないでくださいね。何度も繰り返しますが、ユーモアが大事ですよ」
菊池美佳子さんの推し本
『EX大衆』など男性向け読み物
「女性向けの読み物や映像が多く出回っている昨今ですが、私はあえて“男性向け”の読み物や映像をおすすめします。20~30代向けの『EX大衆』みたいな雑誌でも構いません。なぜここまでグラビアページが多いのかなど、男性の生態を考えるきっかけになると思います。女性向けの読み物で得た知識から、“男性は視覚で性的興奮を得るもの”だと頭ではわかっていても、実際目にしていないとイマイチピンとこないはず。論より証拠、です」
▽菊池美佳子さん
20代でさまざまなナイトワークを経験、男女の性愛について身をもって学ぶ。引退後は文筆業・占星術師・タロット占い師に転身。月刊誌・スポーツ新聞 ・ウェブでの連載を数多く持つ。『指名ナンバーワン嬢が明かすテレフォンセックス裏物語』(幻冬舎アウトロー文庫)、『Sの妹 Mの彼女 はじめてのSM入門』(遊タイム出版)など、著書多数。ブログ;コラムニスト菊池美佳子 Official Blog、Twitter;@calpismilk