卒業生が「いい会社だよ」と言う会社にしたい【新米社長日記 #2】

2020年2月から、プレスラボという会社の社長をしている池田園子です。編集業を営む弊社のメンバーは7人。取締役と育休中のメンバーを除くと、稼働しているのは私を含めて5人です。しかもうち2人は4月入社の新人。
とてもコンパクトなチームですが、このチームで仕事をしていくために、意識して整えたことがあります。それは2年前に作られていた「ルールブック」です。


自由な社風を表す「ルールブック」

ルールブックは育休中のメンバーが中心となって作ってくれたもので、出社の義務もなく、自分の仕事さえやっていればいいという、プレスラボの自由な社風を感じさせる内容。ルールと入っているけど、ガチガチのルールではなく、「これどうだったかな?」というようなときに参照したい情報、というのが適切かもしれません。
就業規則を作っていないというのも、ルールブックが存在する理由です。労働基準法では「常時10人以上の労働者を使用する事業所」は就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出る必要があると定められています。でも、私の会社はメンバーが10人を超えたことがありません。
だから就業規則は存在しないのです。とはいえ、ルール的なものが何もないと、メンバーが仕事をしていく上で困るし、雇用する側も困る可能性がある。そこでルールブックが作られたようです。

リモートワークだけど帰属意識を忘れないでほしい理由

ルールブックの冒頭には、「ルールブック制作の目的」が書かれていました。大きくはこちらの3つです(少し変更して端的に書いています)。

・独自のルールを定め、それに基づき行動することによって、安心感を得られるようにするため
・入社してきた人がこのルールブックを読むことで、会社への理解を深められるようにするため
・無用なトラブルを事前に防止し、みんなの権利を守り、不安を取り除くため

私はここに「互いに離れて働いていても適度な帰属意識(プレスラボというホームがある)を持ち……」という文言を加えました。理由はふたつあります。ひとつはルールブックの調整をし始めた3月中旬から、コロナウイルスの問題が大きくなっていて、元々リモートワークの会社なのに、メンバー同士会う機会がますますなくなるだろう、と考えたからです。
もうひとつは、帰属意識がまったくないのも良くないと思ったからです。各メンバーがお客さまと直接やりとりをするので、言ってしまえばひとりひとりが営業マンのようなもの。「自分はプレスラボの顔なんだ」と意識することで、会社のブランドを大事にしたコミュニケーションをしてくれるはずです。

人間関係に永遠はないから、“卒業”後も活躍してほしい

今回、ミッション・ビジョン・バリューも追記しました。それぞれ簡単に言うと【ミッション=社会で果たすべき使命】【ビジョン=中長期的な目標】【バリュー=組織の共通の価値観】です。
ミッションは「お客様のパートナーとして、編集の力で課題解決をサポートし、事業の成長の一助となる」
ビジョンは「メンバーがプレスラボでの実務経験から、別の環境に飛び出したときにも活かせるハードスキル・ソフトスキルを得ることを目標とし、限られたメンバーで年商1億円を目指す」
バリューは「仕事と人に対し、素直・誠実に向き合うこと/他者への想像力を磨き、絶やさないこと/自分の頭で考えて、今のベストを尽くすこと」

環境や仕組み作りも社長の大事な仕事

考え抜いた結果、このようにしました。どれも組織の在り方を考えて作ったものですが、同時にメンバーの今後にも思いを馳せて作っています。仕事、恋愛、家族……あらゆる人間関係は流動的です。
「永遠」なんてない、と言っても大袈裟ではないと思います。だからこそ、プレスラボという会社を好きでいてくれるメンバーであっても、いつかは何かをきっかけに飛び立っていくでしょう。それぞれの人生には転機があります。そのときに別の場所でも活躍できるソフトスキル、ハードスキルを獲得して、卒業していってほしいのです。
社長の仕事のひとつに、メンバーが自律的に育つための環境、働きやすい仕組み作りもあると私は考えています。お別れは寂しいけど、追いかけない。恋愛が終わるときと同じです(笑)。この考え方が正解かなんてわかりませんが、「前に働いてたプレスラボっていい会社だよ」とか「プレスラボっていいメンバーを輩出してるよね」と言われる未来を頭に描いています。

2020.06.25

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子