わたしらしい起業のかたち Vol.13 サロンオーナー 中野ゆうこさん~ターニングポイントは30歳。サロン内外で女性の美の可能性を広げていきたい~

編集者/ライターの池田園子が、週末起業家や個人事業主、経営者など、さまざまなスタイルで起業している女性にインタビューする連載です。

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自分自身の興味関心、好きなこと、極めたいこと……これらは日々さまざまな経験を積むなかで、だんだんと変わっていってあたりまえ。同時に、目標や夢も形を変える。
たとえば、まったく未経験の分野であっても、なにかの出来事を機に、それをやってみたいと思うこともあります。

美容矯正サロン「petit」のオーナーセラピストとして独立した中野ゆうこさんも、そのなかのひとりです。仕事を通じて人生を楽しんでいる中野さんは、紆余曲折を経て、現在の“天職”ともいえる仕事を手にしました。中野さんの起業ストーリーをお届けします。

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迷走期を経て――衝撃の接客・サービスにふれて人生が変わった

Q. 大阪・心斎橋に、小顔と美ボディを叶える美容矯正サロン「petit」をオープンされるまでのご経歴を教えてください

A. 高校卒業後、地元の九州から関西へ出て、服飾専門学校へ進学しました。ファッションを作るよりも、魅せるほうに興味を持つようになり、卒業後はモデル・レースクイーン事務所へ所属。美意識の高い女性たちと出会うなかで、美容への興味が高まりました。

「一生ものの仕事」をするために、手に職をつけようと働きながら美容学校通いを始め、最初は自宅サロンからスタートしました。

ただ、サロンで働いた経験がなかったこともあり、軸が定まらず迷走していた時期でした。いろいろなセミナーに参加したり、資格取得に励んだり、新しい技術をとり入れてみたり……。でも、正直うまくいかなかった。

そんななか、友人が京都に開設したトレーニングスタジオを訪れたことが、私の運命を変えました。とにかく素晴らしい接客とサービスで、来店されるお客様もとびきりの笑顔で。満足度の高さを象徴しているかのようでした。

彼女のもとで、私自身に足りないものを学ばせてもらいたいと思い、「弟子にしてください」とお願いして、働かせてもらうことになりました。

ターニングポイントは30歳。「自分に挑戦したい」気持ちの芽生え

Q. petitよりも前に、自宅サロンをスモールスタートしたものの、うまくいかなかったんですね。そこでめげるのではなく、謙虚に一から学び直そう、と。その後の状況はどう変わっていったんでしょうか?

A. スタジオが拡大するタイミングで、東京発の人気小顔サロンの関西1号店を、スタジオ内に併設オープンすることになりました。そこのオープニングスタッフとなり、スタッフに助けられ、お客様にも恵まれて次第にお店も軌道に乗って……店長を任されるように。

関西2号店となる大阪出店のさいには、関西エリアマネージャーとして、立ち上げからスタッフ育成までを任せていただきました。転機がやってきたのは30歳のときです。「挑戦したい」「自分の技術で勝負したい」という思いから独立を決心。そのきっかけを与えてくれたのは前出の友人でした。

彼女のもとで働いた時期があったからこそ、私は仕事の楽しさや厳しさ、やりがいを知れたと思っています。出会いやご縁を大切にし、人生一度きりだからと、いつでも前向きに挑戦する彼女からいい刺激をもらっています。

独立の相談をしたときも、笑顔で「今のあなたなら大丈夫」と背中を押してくれ、心斎橋にpetitをオープンしたんです。最初は不安もありましたが、選んだ道を後悔することがないよう、できることをできるだけの力でコツコツと続けてきて今にいたります。

どんなに忙しくても毎日が楽しい。お客様の喜ぶ姿が自分の幸せに

Q. 古巣からも応援されながらの独立。現在、サロンオーナーとして活動しながら感じている喜び・やりがいは?

A. 独立して事業をやるとなると、すべてが自分次第。だからこそ、決して「楽」ではありませんが、自分の思いを形にしたり、独自のキャリアを積めたりすることに、大きなやりがいを感じています。毎日が楽しいです。

一番うれしいことは、お客様の感動や喜びが自分にダイレクトに届くことでしょうか。施術後にメールや口コミで感動や喜びを伝えてくださるお客様も多く、どんなに忙しくても、「楽しい」気持ちの方が勝っています。

結婚や妊娠・出産のご報告をいただいたり、卒業・入学式、社会人生活スタートなど、お客様の大切な人生の節目にたずさわれたりすることも、幸せを感じる瞬間のひとつです。

お客様ひとりひとりに合わせた接客・技術を日々進化させている

Q. 数あるサロンのなかでお客様に愛され、リピートされるサロンになるよう、中野さんが心がけていることは?

A. サロンワークはルーティンのように思われることもありますが、実はそうではありません。お客様ひとりひとりに対し、接客も技術のアプローチもまったく違うからです。

技術の仕上がりはもちろんのこと、お客様が変化や効果を実感し、感動していただけたかどうかがとても大切なので、試行錯誤を繰り返す毎日。

日々同じようなことをしているように見えても知識を増やし、技術力を高め、あらゆる形で発信することを心がけ、細かい部分でアップデートし続けています。

関西という土地柄でいうと、やはりトーク力の高いお客様が多いので、話術と人間力をつけるために、毎日ネタ探しにも奮闘しています(笑)。

また、当然のことながら応援してくださるお客様や見守ってくださる方々……大切な人たちへ感謝の気持ちを忘れず、きちんと思いを伝えることを心がけています。

美バスト作りを意識すると顔や体もきれいになる、と知ってほしい

Q. 中野さんといえば、サロンオーナーとは別に、美しいバスト作りの伝道師「オッパニスト」としての顔もお持ちです。具体的にどんな活動をしているんでしょうか?

A. そもそも「オッパニスト」は、女性の美しさを“バスト”という観点から考え、情報発信したり、技術としてお届けしたりと、美バストに関して幅広い活動をする目的で名付けた名称です。

これまで女性専門サロンとして、小顔・体の美容矯正のメニューをおもに提供してきました。その過程のなかで、バストのお悩みを相談される方も多くいらっしゃいました。

相談にのったり、自身でも考えたりするなかで、バストを意識することで顔や体の悩みにもアプローチできると気づき、美容矯正とボディトリートメントを組み合わせたオリジナルバストメニュー「極乳・リアルマーメイドトリートメント」を考案。

バストから広がる女性美の可能性を感じ、サロンになかなか足を運べない方にも、美意識向上につながる発信ができたらと考えています。

現在は、これまで学んだブラジャーや美胸を作るフィッテング法の知識を生かし、ブログにはイメージキャラクターを用いた4コマ漫画をアップ。YouTube動画では、「オッパニスト育成講座」を配信しています。

今年に入ってからは、「大人の美バスト作り」をテーマにしたコラム執筆のお仕事もいただき、オッパニストとしての活動の幅がさらに広がっています。

サロン内外で女性の美の可能性を広げていきたい

Q. 最後に、これから実現したいことや目標を教えてください

A. 小さなことをコツコツと――そんな気持ちでサロン名を「petit」とつけました。小さなことをコツコツ積み重ね、お客様ひとりひとりと信頼関係を築き、ありがたいことに満員御礼。予約がとりづらい日も多くなりました。

ただ、私ひとりの力では限界があるので、もっとお客様の声に寄り添い、ひとりでも多くの女性を笑顔にすることを目標に、お客様個々の魅力をひき出す力を持ったスタッフを育成し、店舗拡大を実現したいと思っています。

サロンワーク以外でも、美の可能性を広げていきたいです。皆に平等に与えられ、いつかは失われるのが若さです。この仕事を通じて、女性には若さ以上に素晴らしい価値があることに気づかされました。

それはひとりひとり違うもので、磨けば磨くほど、年齢を重ねるにつれて輝きを増していく。すべての女性たちが、美の追求の先にある笑顔や内面からの輝き、自信を手に入れて、胸を張って生きてほしい。

これまで自分のつちかってきたスキルを生かし、美しくなることの楽しさや素晴らしさを、あらゆる方法で伝え続けていきたいと思っています。

▽ 中野ゆうこさん

大阪・心斎橋の小顔と美ボディを叶える美容矯正サロン「petit」オーナー。
「いくつになってもオンナを楽しむ」をテーマに、オリジナルメソッド「極乳・リアルマーメイドトリートメント」を考案。
乳を極め美を導く「オッパニスト」としても絶賛活動中。

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2017.06.06

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子