弁護士が教える、離婚と子どもの名字の関係
4月の入園・入学シーズンをひかえてよくご質問いただく、お子さんの名字と離婚の関係について、ご説明いたします!
具宇(ぐう)花子さんが、結婚して我有(がある)花子さんになった後、離婚をしたケースを例にします。花子さんが親権者になっている、1人息子我有(がある)太郎くんの名字はどうなる!?
私「具宇(ぐう)花子に戻ります!」の場合
花子さんが旧姓である具宇(ぐう)さんに戻ることを選択した場合、1人息子の太郎くんの名字をどうするかの問題が出てきます。
太郎くんが、「ボク、我有(がある)のままがいい!」と言っている場合……なにもしないで大丈夫です。正確には、なにもしない場合、太郎くんは別れた旦那さまの戸籍に入っている状態です。つまり、我有(がある)太郎くんのままです。太郎くんが、「ボク、具宇(ぐう)がいい!」と言っている場合、裁判所に行っていただき、「子の氏の変更」許可の申立てという手続きをする必要があります。
申立書は裁判所に用意されていますし、インターネットでダウンロードもできます。かかるお金は800円と切手代金です。変更を許可してもらったあと、市役所の戸籍課に行くことになります。
私「我有(がある)花子のままで行きます!」の場合
花子さんが結婚後の名字である我有(がある)花子さんのままでいくことを選択した場合、1人息子の太郎くんの名字自体は、我有(がある)であることで問題はありません。
ただ離婚後の戸籍を見ると、なにもしなければ、太郎くんの戸籍は別れた旦那さまの戸籍に入ったままの状態です。親権者の戸籍に自動的に移動するわけではありません。別れた旦那さまの戸籍から我有(がある)花子さんの戸籍に太郎くんを移動するには、上記と同様、「子の氏の変更」の手続きを経て、市役所の戸籍課に行かなければなりません。同じ我有(がある)という名字ではありますが、戸籍の問題となると別になるので、頭のスミに入れておいてください。
学校側の配慮もあります
離婚による名字の変更にタイミングは、お子さんとよく話合っていただく必要があります。「あと数か月で卒業だから、なんとかならないかな……」「入学とのタイミングが……」などなど、悩みが出てくるケースもあるかもしれません。
このようなとき、学校にも相談をしてみるのは1つの方法です。学校側のご厚意で、名字の変更のタイミングをうまく調整していただけることがあるのです。当然ながら、学校ごとの判断になるので、学校にうまく「相談」「お願い」をしてくださいね。
いかがでしたか? 「子の氏の変更」許可申立て……ときくとなにやら難しそうですが、裁判所に申立書があり、親切な書き方の例も用意されています。役所の戸籍課の方も詳しいので、相談をしてみることもオススメです。