弁護士が教える! 裁判傍聴のイロハ
裁判傍聴に関心、ありますか? 法廷もののドラマから始まって、傍聴ブログや傍聴コミックエッセイなど、一般の方にもなじみやすい形で情報は入ってくるものの、実際に裁判所に行くのはハードルが高いかもしれません。
傍聴は自由にできるから、ご自由に……と言われても、困ってしまいますよね。そこで傍聴初体験のアナタに送る、裁判傍聴のイロハ!
傍聴しに行ってみよう!
裁判所はお住まいの地域に点在しています。近くの裁判所に行ってみるのもいいですが、県庁所在地にあるような大きな裁判所に出向いていただきますと、いろいろな裁判を種類豊富に見られます。
小さい裁判所ですと、せっかく傍聴に行っても法廷が閉まっている時間帯があります。裁判所に入っていただきますと大きめの裁判所であれば、開廷表というその日開かれる裁判のリストが入口付近に用意されています。そのリストを見て、傍聴してみたい裁判を決めていただくのがオススメ。
どのような事件を選ぶべき?
1: 刑事事件
刑事事件とはわかりやすく言えば、悪いことをしたと思われる人を裁判にかけて本当に悪いことをしたのか、本当は悪いことをしていないのかを決めて、悪いことをしている場合にはどのような罰を与えるべきか決める手続きです。
いわゆる刑事モノの、法廷シーンをイメージしてください。裁判官・検察官・弁護人・被告人などを法廷で見ることになります。その中でも、初心者の方には裁判の時間が1時間程度予定されていて、罪名が比較的軽そうに見えるものを選んでいただくのが、オススメです。一部ではなく全体的な裁判の手続きが見られます。重大な裁判は、何日も何日もかけて裁判をしているので、途中から見てもわからないことが多いのです。
2: 民事事件
民事事件とは、お金を払ってください! とか、離婚したいです! とか、人と人の関係についてモメごとが生じた時に裁判所の判断を求める事件です。
民事事件は、裁判官と弁護士しか法廷にいないことが多いです。またせっかく傍聴をしていても、何をやっているかほとんどわからず(「はい」とか「お受けいたします」とか片言しか言っていないことも多いです)、見ていてあまりピンと来ない可能性が高いです。
民事事件を傍聴される場合には、裁判時間が2時間以上予定されている手続き(証拠調べ)をのぞいてみてはいかがでしょうか。「尋問」といわれる法廷シーンでのやりとりを傍聴することができますので、少しイメージができるかもしれかせん。
気をつけておきたいマナー1……事件関係者がいます
よほど有名な裁判でない限り、傍聴席は空いています。でも空いているからといってはしゃいではいけません! 「裁判関係者がいることが多い」のです。
事件を起こした人の親族であったり、被害にわわれた方本人や、その家族……単なる好奇心で傍聴席にいるわけではない方がいるということを覚えておいてください。
気をつけておきたいマナー2……意外と見られています
裁判官は傍聴席まで注意を行き届かせる必要がある立場です。つまり、裁判官はチラッと傍聴席にどんな人がいるか、確認をしているんですね。一度、傍聴席で大いびきだった傍聴人が、裁判官にしかられていたことがありました。
弁護士も、傍聴席にどのような人が来ているかは、依頼者のためにつねに確認をしています。
いかがでしたか? テレビでは毎日いろいろな事件が報道されていますが、「ふ~ん?」と思うだけで、その事件がその後どう進んでいくのか、あまりイメージができないと思います。
傍聴をしてみると、事件のその後……を垣間見ることができます。世の中ってこう流れているんだな……という教養のひとつとして裁判傍聴、いかがでしょうか?