女子ライター、キャリアを考える。Vol.2「兼業から専業へ」
こんにちは、ライター/編集者の池田園子です。ライターとして食べていくためのリアルについて語る本連載、第二回目では「兼業ライターから専業ライターへのキャリアチェンジ」についてお話しします。
ダメになっても修正はできる
兼業ライター時代は「Googirl」と「Pouch」の2媒体にしか執筆していなかった私。ライターとして得る月収は3~4万円ほどと、学生のアルバイト以下の稼ぎでした。それでも、どうしてもライターの仕事をしたい――そんな思いから転職して1年にも満たない会社を辞めて、フリーランスになろうと決意したのです。
とはいえ、当時はほとんど仕事がないとき。それでも大胆に(?)独立したのは、「まだ26歳になる前で若かったから」という背景が関係しているのでしょう。もしうまくいかなかったとしても(当時はそんな暗いことはあまり考えませんでしたが)、キャリアをやり直すこと、軌道修正することはできると信じていました。
独立するのは最低100万円以上貯めてから
もう一点、金銭面での不安があまりなかったことは、私の背中を押したと思います。大学時代から約3年の社会人生活で貯めたお金が400万円ほどあり、それが安心材料になっていました。
兼業から専業に切り替えるタイミングは、少なくとも100万円くらいは貯まっているときがおすすめです(心配症な私個人としては、300~400万円は貯めてから、と言いたいところですが)。やはり、ある程度お金がないと、様々なマイナスの感情が湧き出て、それに過剰にとらわれてしまいます。
せっかく好きなことを仕事にしたのに、「このまま稼げなかったらどうしよう?」と、仕事を思いきり楽しめなくなってしまう可能性も。お金の不安はできるだけ、払拭しておくべきなのです。
1か月目の月収は約10万円
独立1か月目。収入は約10万円になりました。独立前の2~3倍ですが、それでもわずか10万円。当時借りていた部屋の家賃よりも低い額でした。これでは都会での生活を維持できません。また、会社員時代より収入が減るのは「独立の成功例」とはいえません。だから、なんとかしなければ、と新しい案件探しに奔走する日々。
最初のうちは、業界の人がたくさん集まる飲み会に顔を出したり、mixiの「ライターコミュニティ」をのぞいたり、どこかに仕事が転がっていないか各所を探しました。でも、なかなかうまくいきません。「1記事100円」みたいな仕事は数多くありましたが、それは専業ライターになった自分がやるべきものではない、と私は考えていたのです。
目の前の仕事を積み重ねて実績をつくる
まずは、目の前にある仕事をコツコツやって、実績や経験を積んでいこう――そう考えました。今持っている2つの媒体で、バズる(ネット上で流行る)記事を書けば、媒体にも貢献できるし、仕事が広がるかもしれない、と。
独立して初めて自ら応募したのが「ガウマガジン」でした。Googirlで積んだ恋愛記事の執筆経験を生かせると思い、サイトにあった案内を見て、必要な情報を送りました。
編集部から届いた結果は「執筆してください」というものでした。これも、Googirlで兼業時代から長く恋愛記事を書き続けてきたおかげです。まだ駆け出し中の駆け出しでしたが、継続は力なりと感じた瞬間です。
書いた記事は必ずSNSで報告する
独立した月の後半には、さらにうれしい知らせがまいこみます。SNS上でときどきからんでいた某おもしろ系媒体の記者さんから「うちで書きませんか?」と連絡をいただいたのです。今でもそうですが、記事を書いたらSNS(TwitterとFacebook、余力があればGoogle+も)に書いた旨を投稿しているので、記者さんも私がどんな記事を書いているか、まだ書いてはいないものの、どんな記事なら書けそうか、といったことを見てくれていたのでしょう。
私もときどき読んでいた当時から人気の媒体なので、心踊ったのを覚えています。その媒体で最初に書いたのは「猫のいるコワーキングスペース」の取材記事。これまでもイケメンWeb男子など、人にフォーカスした取材はいくらかやっていましたが、「場所」に焦点を当てた取材を初めてこなし、良い経験になりました。
まとめ
・ 兼業から専業へキャリアチェンジするタイミングは、貯金が100~200万円くらいある「お金に余裕のあるとき」を選ぶ
・ まずは目の前の原稿に魂を込めて媒体や読者に貢献する意識を持てば、媒体からの仕事も増えるし、他媒体に応募するときの実績になる
・ 書いた記事はSNSで拡散し、自分がどんな仕事をしているか伝えておく
初めの頃は恋愛記事と簡単な翻訳記事をメインに、ときどきインタビュー記事を書いていた私。現在は恋愛記事はほとんど書いておらず、ITやマーケティングなどのジャンルを多く書いています。次回は「仕事の領域の広げ方」についてお伝えします。