「忙しいわりにはたいしたことしてない」症候群になっていませんか?
毎日とにかく忙しくて仕方ない……と思いながら過ごしてる人は多いと思います。ではそんな多忙な日々は充実しているかときかれたら、いかがですか?? 「忙しいわりには、たいしたことをしていない」症候群が最近増えているといいますが、それはいったいどんなことなのでしょう?
その「忙しさ」、はたして本当に必要でしょうか?
仕事に勉強、家事や育児など、もちろんやるべきことは誰にでもあります。でもそれ以外にも時間をとられていることがあるはず。誰にでもありがちなのが、ネットやスマホなどでついつい「時間つぶし」をしてしまうこと。とくにソーシャルネットワーク(SNS)の存在は圧倒的です。
10分おきにチェックしないと気が済まないというのはもはや中毒症状のようですが、それでもちょっと時間があったら、のぞいてしまう、あるいはどうでもいいようなことを投稿してしまう、というのがもはや習慣化している人は多いのではないでしょうか。夜遅く帰宅して、早く寝るべきなのに、SNSやネットでついつい1~2時間ほど過ごしてしまうという人もたくさんいることでしょう。そんな時間がじつは生活のあちらこちらに散らばっていたりしませんか?
「何もしない」状態が必要不可欠
そんな日々のなかでつねに「忙しい」と感じていることが、はたして精神衛生上好ましいのかというと、そうとはいえません。いつも何がしかの集中力が必要とされ、かたときも気持ちをゆるめる時間がないと、脳が 「情報のオーバーロード」状態となってしまいます。その結果、思考力・集中力・判断力・創造力などがいちじるしく低下し、なにをやるにしても効率や精度が落ちてしまうというきわめてのぞましくない状態となってしまうというのです。
これは脳科学の分野によっても指摘されていることで、脳がその能力をじゅうぶんに発揮するためには、「何もしない」状態が必要不可欠であると考えられてもいます。あまりにも忙しすぎて脳への「インプット」が多すぎると、経験からなにかの意味を引き出そうとする能力が抑えられてしまう、とも専門家のアンドリュー・スマート氏は指摘しています。
忙しければ忙しいほどたいしたことができない
つまり私たちが忙しくなればなるほど脳の働きはにぶり、かえっていたずらに時間を消費してしまうということ。そのためにますますやることが増えたり、思うように作業を終えられなくてイライラしてしまうという悪循環におちいってしまう可能性が高いというわけです。これはなんとももったいないことですよね。
あえて「何もしない」時間をつくってみよう!
以上のことから、ひとつ確実にいえることがあります。それは「何にもしない」時間こそ、充実した生活のためにも欠かせないということです。忙しさに慣れてしまっている私たちは「何もしない」ことが苦手、あるいは苦痛に思えるほどになってしまっているかもしれません。
もしそうだとしたらいわば精神のリハビリとも考えて、強制的に「何もしない時間」を生活に組み込む必要がありそうです。だって脳にとって理想的な状態を作るためにも「何もしない」時間が大切なのですから。
最初は1日10分でもかまいません。何もしないで心と脳を休める時間を作り、毎日続けてみましょう。いっけんムダな時間のように思えるかもしれませんが、じつはそのムダこそが人を人たらしめている脳にとって、欠かせないことだとしたら、なんとも不思議なことだと思いませんか?
▽ 参考記事(海外サイト): 「Psychologies UK edition」9月号p.34