仕事の完璧主義はかえってマイナス? 私たちが気をつけるべきこととは?
「日本人は勤勉で働き者」――というイメージがありますが、たしかに長時間労働にもめげず、まじめに仕事をしようという人が多いようです。もちろんそれ自体はすばらしいことですが、仕事でも「完璧さ」を追求するのはかえってリスクが高いという意見もあるのです。
仕事で「完璧主義者」になると、どんなリスクやデメリットがあるの??
理想や目標が高く、それに向かって努力を惜しまない「完璧主義者」。そんな人たちは仕事でも高いパフォーマンスを見せ、望ましい結果を出すと思われがちでした。でもヨーク・セントのジョン大学(英)の研究者たちによれば、そんな完璧主義はかえってリスクが高く、“大きな損害をもたらす”ことにもなりかねないと指摘しています。
ではリスクが高いとは、どんなことなのでしょうか。
すべてを完璧にこなそうというプレッシャーから燃えつき症候群になりやすい
完璧主義者の人は、自分自身にたいしても“与えられた仕事を完璧にこなし、高い成果を出さねば”というプレッシャーを感じ、そのために努力しようとします。しかしそのぶん、ストレスも抱えやすく、小さなミスや失敗でも致命傷のように感じてしまう傾向にあります。
細かい部分でも完璧さを追求するあまり、生産性や効率がさがる
仕事の精度を高めるというのはよいでしょう。ですがあらゆる面で100点満点レベルを達成しようとするあまり、細かい部分にまで時間をとられてしまいます。その結果、かえって生産性や効率が悪化するというのも、完璧主義者のデメリットのひとつです。
仕事には無限の時間が与えられているわけではありません。ときには期限を守ることが最優先だったり、クライアントや上司が現時点で求めているレベルはそこまで高くないのかもしれません。また状況が急変したり、不確実な事態が起こったときに、うまく対応することができないパターンもよくあります。こうなると全体として仕事のパフォーマンスや評価は大きくさがってしまうことに……。
生産性や効率を犠牲にしてまで、完璧さを追求することが職場全体にとってどんな影響を与えるのか、よく考える必要があります。
仕事も腹八分
よく“腹八分”といいますが、仕事でもじつは8割くらいまできちんとやっておけば間にあうということがたくさんあります。完璧主義のあまり、あらゆることに手を抜かず、すべて完璧に成し遂げることばかりに力をそそいでしまうと、
・時間がかかりすぎて、納期や期限に間にあわない
・ちょっとしたミスにも大きく落ちこんで立ちなおれなくなる
・心身ともに疲れはててしまい、ストレスや疲労から立ちなおれなくなる
とさまざまなデメリットが生じて、長期的に見てパフォーマンス力がさがってしまう場合もあるのです。もちろん芸術家や職人といったとりわけ専門的なスキルを要し、一分のスキも許されないというようなケースもあるでしょう。でもはたして自分の仕事で、そこまでの完璧主義が要求されているのか――。客観的に考えてみることも大切です。
まとめ
仕事でもっと評価されるべきは、非現実的で一分のミスの余地もない完璧さではなく、熱意や柔軟性・継続性だと、バース大学(英)のトーマス・カラン博士も指摘しています。“まじめで勤勉”、そう言われている私たち日本人も、デメリットの多い完璧主義に陥らず、柔軟に、そして臨機応変に仕事をこなせるスキルが大切なのではないでしょうか。
▽ 参考記事(海外サイト):Is being a perfectionist RUINING your career? Striving for excellence leads to burnout, study warns