現代人の意外なトラップ! “ポジティブ病”に陥っていませんか?

2015.03.14

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春の新生活に向け、新しい自分になろうとキャリアアップ本や自己啓発書などを読んでみる機会も多いことでしょう。そこにはとにかく “ポジティブであれ”というメッツセージが色濃く打ち出されているはず。物事がうまくいかないときも“諦めない”、“いつかいい方向に変わると信じる”、“成功像をつねにイメージしていればいつか現実になる”といったアドバイスが書かれていることでしょう。
たしかに生きていくには、ネガティブで暗い気持ちでいるより、ポジティブで前向きなほうが上手く世間を渡っていけるような気になります。でも本当にその通りなのでしょうか、私たちはこの“ポジティブ思考崇拝”をそのまま鵜呑みにしてよいのでしょうか? 今回はそれをちょっと変わった視点から考えてみました。

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なぜ“ポジティブ思考”がこんなにもてはやされるのだろう??

ビジネス書などでも基調となっているこのポジティブ思考、そもそもはアメリカの心理学の分野で深く取り上げられていたジャンルのひとつでした。これにビジネス業界が飛びついたのです。90年代ごろから各国の経済状況もきびしくなり、フツーに働いているだけでは業績が伸びなくなってきました。一個人の努力や才能だけではどうしようもないことも増えてきたのです。そんなとき、

「さあ、もっと目標を高く持とう、頑張れば今の努力はかならず報われるはずだ」

「今よりもう少し頑張って成果を上げれば、かならず同期のなかで一歩ぬきんでた存在になれるだろう」

「今は業績が悪くてつらい時かもしれない、でもこの時期を抜ければかならず上向きになる」

といったメッセージを働いている人たちに送れば、彼らは“今のままじゃだめだ、もっともっと頑張らなければ”という心理になることでしょう。ビジネス界からの支援を受け、セミナー、講演会、書籍販売はいずれも大好評、世知辛い世の中だからこそ、“ボジティブ思考崇拝”は大いに受け入れられたとも言えます。

SNSなどでの私生活発信も、“ポジティブ思考”に輪をかけている

さらに近年ではSNSで、個人でもプライベートや自分の考えを世の中にむけて発信する機会が大いに増えました。そうなるとやはり、“他人からの注目”が気になるのは当然のこと。
そうなると後ろ向きな発言やネガティブな態度はどうしても控えめになります。注目を浴びたいなら、やはりいつも溌剌と、明るく、前向きで……そのほうが不特定多数から好印象を持ってもらえることでしょう。“リア充”を演じてしまう心理も、これと関係があります。プライベートはひたすら家に引きこもってマンガとネット三昧な日々なんて、ちっとも“ポジティブ”じゃない! たくさん友だちがいて、素敵なお店でご飯を食べて、オシャレして……といったほうがずっと“ポジティブ”に見えるし、そうした自分を“発信”したい、するべきだと感じませんか?

夢や理想、成功体験を一直線に求め続けるよりも……

ところが“ポジティブ思考”だけを信じるのはキケン、危うい、と考える人たちもいます。そもそも“ポジティブ思考”では、夢、目標、理想、成功体験を目指すことがよしとされ、それを達成できなかったり、実現できないことは“失敗”とみなされがちです。でも人生をよーく考えてみれば、頑張ってもうまくいかないこと、努力しても報われないことのほうがはるかに多いのは皆さんもご存知のことではないでしょうか。
不安、失敗、悲しみ、一見ネガティブと思われるこうした体験は、どんな人生にも必ずついてまわります。物事の明るい側面ばかりに価値を置き、こうした“ネガティブさ”から目を背けることは非現実的だし、かえって人生に対する不満感を大きくするというのです。
また現実的でない夢や理想を追い求めつづけ、今目の前にあるリアルな人生を楽しもうとしないのは、かえってみじめな人生になるばかりだという意見も……。何事も“ポジティブ”を目指そうとすればするほど、自分に満足できなかったり、不満を募らせたり……。そんなトラップに陥らないよう気をつけましょう。

2015.03.14

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記事を書いたのはこの人

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Written by Waxy

南半球オーストラリアから世の動きを眺めています。 ガーデニング好きで、イチゴ栽培が特にお気に入り。