海外でもやっぱり難しい……妊娠出産で女性がキャリアで直面する根深い問題
“女性が輝く日本”と言われても、輝きを実感している女性は果たしてどれくらいいるのでしょうか。女性のキャリアを長い目で見た場合、やはり妊娠出産は大きなネックとなるのは相変わらずのようです。もちろん産休や育休支援の充実を図る企業もたくさんありますが、“制度はあっても、事実上利用できない、あるいはするのが難しい”という声もあります。
まだ結婚していない人も、これから妊娠することを考えている人にとっても、この問題はよく考えていたほうが良さそう。夫の協力も得ながら、どんなふうに子育てしつつキャリア形成をしていきたいのか、自分にとってのベストな道を模索していく必要があります。
女性進出が進んでいると思われる海外でも……
さて海外に目を転じてみると、ワーキングマザーが多く、女性の社会進出がすすんでいるように思えるオーストラリアでも、現実はけっしてバラ色とは言えないようです。ある統計によれば、妊娠女性のおよそ半数が“マタハラ”を経験したという報告も……。妊娠前まではバリバリと働いていたのに、妊娠が発覚した途端、さまざまなかたちでのプレッシャーを感じてしまうのは、日本と変わりないようです。
よくあるのは女性が妊娠すると仕事での評価において、ネガティブな視線を向けられること。たとえば……
・“チームワーク”として仲間と働こうという意識が低い
・仕事対する熱心さに欠け、上を目指そうという気概に欠ける
というように、妊娠したというだけで“もう仕事に対する情熱はないのだ”というような色眼鏡で見られてしまうことがあるようです。あからさまにこうした評価をされることはなくても、いったん上司やボスがこうした印象を持ってしまったら、それを覆すのはとても難しいこと。
そうした背景もあるなかで、男性と同等以上の仕事をし、なおかつ評価されるのはほぼ不可能と言ってもいいくらいなのではないでしょうか。このような意識が人々に根強く残っている限り、女性が堂々と産休や育休をとり、満を持して職場に復帰するというのは夢物語のような気がしてきます。
職場復帰をしても壁がたくさん
大変なのは妊娠中だけではありません。産休を終え職場復帰した女性たちのうちおよそ3分の1が、なんらかの差別に直面したという調査結果もオーストラリア人権委員会から報告されています。給与ダウン、部署変更、あるいは解雇を示唆されるようなことも……。
出産前の働き方がどんなに高評価で、本人にやる気があっても、職場で手のひらを返したような冷遇をされれば、やがて“仕事をもっと続けよう”というモチベーションも大いに下がってしまいます。
法律でこうした待遇は禁止されていても、実際には多くの女性たちが遭遇し、そして仕事を諦めたり、職場を去ったりしています。訴訟まで起こす人は少ないので、不満や憤りもなかなか目に見える形となって表れることはありません。
“働くママを応援します”と言うのは簡単ですが、実体を伴った支援をほんとうにしているかどうかはまた別問題。日本もオーストラリアも、女性にとってのライフ・ワーク・バランスをどのように理想的に実現するか、ということはまだまだ課題が多く残っているようです。