納得のいくキャリアのために……一度“私がやりたいことはこれ!”という思い込みを捨てみませんか?
4月から新社会人となる人も、あるいはこれから本格的に就職活動にはいる人も、働くとは自分にとってどういうことかよく考える機会が増える時期です。誰だって納得のいくキャリアを積んでいきたいと思うはず。“こんな仕事がしたい、あんな会社で働いてみたい”という希望もあることでしょう。でもあまりにも一途に自分の“やりたい”ばかりを追求するのは、時としてリスクにもなることを覚えておきましょう。むしろ一歩引いた冷めた視点も大切なのです。
今の自分が“やりたい”と思うことだけが、絶対の正解ではない
たとえば、憧れの職業や目指したい職種などぼんやりとでも考えていることがあるとしましょう。でも憧れやイメージだけで“やりたい”と思うものは大抵、実体との間に大きなギャップがあるものです。そうしたことは実際に仕事をしてみなければ分からないかもしれませんが、とかく“やりたい”と思う気持ちが強いときほど、仕事内容を頭のなかだけで美化しがち。いくらその気持ちが強いとはいえ、それが長い目で見たとき絶対の正解ではないことを意識しておきましょう。そしてもっと自分に適した仕事に巡り合うためにも、さまざまな可能性についてもっとオープンな態度をとってみて。
“オファーが来たら、どんな役でもやる”、あえてやりたい気持ちを前面に出さないのが一流俳優たち
ちょっと視点を変えて、職業人としての俳優さんたちを考えてみましょう。映画やドラマに出演し、作品の顔として世間の脚光を浴びることも多い職業です。でも一流と言われる人たちのコメントをよく見てみると、“オファーが来たら、それに応えられるようどんな役でもやる”というスタンスがみられます。つまりあえて自分の“これがやりたい”という気持ちを抑えて、相手(クライアント)の意向に合わせて自分のスキルやワザを提供するということ。一見消極的とも思えますが、じつはプロ意識の高い人たちほど、“やりたい”だけではなく、“自分に求められているのは何か”という視点で仕事を捉えています。
これはじつは俳優だけでなく、一般の仕事についても言えることではないでしょうか。縁あって巡り合った仕事がじつは第一希望だったり、本意なものではなかったりするかもしれません。でもとりあえずそのポジションで求められている“役割”だと思って、一生懸命取り組んでみてはいかがでしょう? 自分の隠れた才能が発掘できるかもしれません。
若いときほど可能性は未知数、だからいろんなジャンルに挑んでみるほうがいい!
そもそも学校を出て数年くらいの若さでは、まだまだ自分の可能性は未知数だし、本当の適職だって自分でもわからない人がほとんどでしょう。だからこそ、自分が思ってもいなかったようなジャンルの仕事に敢えて挑戦してみるのも大いに価値のあることなのです。若さゆえに、“私がやりたい仕事はこれ”と一途に思いつめ、それがすぐには実現しないと分かると焦ってしまうこともあるでしょう。早々に転職を考えることだってあるかもしれません。でもちょっと冷静になってみて。「私にはこんな道もあるかもしれない」、「今の経験がゆくゆく大きな意味を持つものになるかもしれない」と考えて踏みとどまってみることも大切です。
夢ややりたいことに向かって一直線、ということだけが自己実現でもありません。実際には、ジグザグと進んだり、ときには大きな遠回りをしながら、ゆっくりと時間をかけて自分のほんとうに“やりたいこと”に徐々に近づいていくことも多いのです。だから焦りや、こだわり過ぎはかえってよくないことに気づいてくださいね。