六花、天花、不香の花…。雪解け前に読みたい、“美しい日本語”
一年で最も寒いと言われる2月、皆様いかがお過ごしでしょう? 春が近付いて来ているとは言え、朝晩の冷え込みはまだまだ厳しいものがありますよね。道路に積もった雪もなかなか解けず、地域によってはもう一、二度降るのではないかしら。
子どもの頃はあんなにワクワクした雪も、大人になった今は外出が億劫なだけ……ちょっと切ないけれど、事実です。
今回はそんな雪にフォーカスして、今こそ声に出して読みたい、“美しい日本語”を皆様にお伝えできればと思います。雪に対してワクワクする気持ちがよみがえったり、風流で奥ゆかしい日本語の素晴らしさを実感していただければ幸いです。
雅な心で見る、雪の美しさ
私たちは普段、雪のことをどんなふうに表現しているでしょうか。ぼたん雪、ささめ雪、豪雪、雪景色、銀世界……。筆者がパッと思い付くのは、この程度です。だけどもちろん、本来それだけではありません。
例えばタイトルにもある六花(リッカ)、天花(テンカ)、不香の花(フキョウのハナ)は、言い方は違えど、同じ“雪“を表す言葉なのです。六花は、結晶が六角形であるところから。天花は、雪が天から降る花のように見えることから。不香の花は、匂いのしない花という意味で、それぞれが雪の異名だとされています。
調べてみると、雪は他にも花に例えられることが多いようです。霜花(シモバナ)は、寒い冬の朝に窓ガラスにできる氷模様のこと。風花(カザハナ)は、晴れているときに雪がちらちら舞い降る様子のことです。
昔から日本人は、美しいものや人を花に例えてきました。その中には雪も含まれていて、こうして美しい日本語に触れていると、四季や自然を愛でる心を感じることができます。
季節の移り変わりに、美しさを見出だす
意外と知らない雪の表現は、さらに数多く存在します。何気なく見る雪に、ひとつひとつ名前を当てはめていくと、なんだかいつもの雪ではないみたい。
泡雪(アワユキ)
泡のように柔らかく、消えやすい雪
餅雪(モチユキ)
解け始めて、水分を多く含んだ雪
雪明かり(ユキアかり)
積もった雪に反射して、夜も明るく見えること
雪の友(ユキのトモ)
次の雪が降るまで解けずに待つ、残り雪のこと
▽ 凍えてしまいそうなほどに寒い2月ですが、この時期特有の日本語は本当に美しいですね。そして春を待つ日本語も、同様に美しいものばかり。
風光る(カゼヒカる)
冬から春に変わるときに、吹き渡る風が光って見える様子
清香(セイコウ)
冬から春に変わるときの、澄みきっていて清々しい香りのこと
春告鳥(ハルツゲドリ)、匂い鳥(ニオイドリ)
春の匂いを纏い、春を告げる鳥=ウグイスのこと
日本人の感性の、なんと豊かなこと……。ぜひ雪解け前に一度、声に出してお読みください。
読者の皆様お一人お一人に、お気に入りの日本語は見付かりましたか?