ポジティブ思考は逆効果? ポジティブ思考からの脱却
ここ数年、自己啓発書が多く増え、そういった類いの本にはほぼ「ポジティブ思考になる」ことを勧めています。しかし、弱っている時に都合のいいポジティブ思考は発動するでしょうか? むしろ、辛くなりませんか? 実は、ポジティブ思考は逆効果になる場合もあります。
人を息苦しくさせる
苦しいときや落ち込んだとき、「もっとポジティブにならなくちゃ!」と思う人は多いでしょう。筆者も、昔は「ポジティブにならなきゃ!」と思っていました。なぜそう思っていたかというと、調子がいいときや、人生が上向きのときには、ポジティブ思考は勢いをつけてくれます。ですからその経験があると、落ち込んでも「ポジティブ思考で切り替えていこう」と考えます。
しかし、苦しいとき、悲しいとき、心がさまよっているときにはポジティブ思考に触れると逆効果でただただ辛くなるだけでした。むしろ、「ポジティブ思考と言われてもそう簡単に切り替えられないよ!」という気持ちがどんどんでてきます。
ポジティブになることは無理をしている証拠
そもそも人は後ろ向きな生き物であるのです。放っておいても前向きになれるなら、こんなにポジティブ思考を勧める本は出ません! 無理してポジティブ思考になる必要はなく、心をゆるめればいいのです。
ため息をはくことはよくない、とされていますが、落ち込んでいる時こそ長いため息を吐いてみましょう。息を吐くと緊張感が解け、心がゆるみます。
ネガティブな側面を無視しがち
ふだんポジティブな人は、ネガティブな側面を無視しがちです。自分の中にあるネガティブな部分もさることながら、他人のネガティブ思考を許さない傾向にあります。
人間と人間とが心を通い合わせるポイントは、歩み寄ることです。そのためには、ポジティブ・ネガティブの両面を受け入れることが必要です。
ポジティブ思考は誰かに押しつけられるものではなく、自発的に感じるものです。小さい頃からそのような思考癖があるならいいですが、自己啓発本を読んで無理して思考癖を変えるのは危険です。
一般的に、ポジティブ思考のほうが幸せだと考えられますが、本当に幸せかどうかは状況次第とも言えるでしょう。
ネガティブ思考もポジティブ思考も、どちらも極端なのは幸せを遠ざけてしまいます。前向きさは生きる原動力となりますが、常に「大丈夫、大丈夫」の一点張りではなく、時には悪い状況と正面から向き合って「どうしよう……」と悩むことも大事です。