エマ・ワトソンに学ぶ、一流女子の賢いプレゼンテーション術
先月エマ・ワトソンが国連で行ったフェミニズムに関するスピーチが話題になっています。男女平等の実現を訴えるスピーチそのものも秀逸でしたが、私は彼女のスピーチを見て“やはりこの人はなかなかの女優さんだな”と感じました。スピーチの内容はもちろんのことながら、人前でいかに説得力を持って話すか、プレゼンテーションのお手本として参考になることがたくさん。そんな素晴らしいプレゼンテーション能力は、一般の私たちにも学校で、あるいは仕事で大いに必要なものではないでしょうか。そこで今回は、彼女のような一流女子に学ぶ、賢いプレゼンテーション術とはなにか、考えてみました。
その1:“ルックス”はもちろん大事、ただし“やり過ぎ感”は逆効果
人前で話す、というのは、その場にいるすべての人の注目を集めるということ。ですから、見た目でも好印象を持ってもらうことが大事。とくに、女性に対してはやはり聴衆の目はどうしても厳しくなりがち。異性からも同性からもかなりシビアに見られると考えたほうが良いでしょう。エマ・ワトソンは女優なのでそもそも美しいのは誰もが知るところ、そして彼女が選んだ服は、シンプルな白のワンピースに、シルバーの細ベルトという極めてシンプルなもの、エレガントではあっても華美ではない上品な装いでした。よくある女性政治家のカラフルなスーツとはじつに対照的。カラフルなのは目立つかもしれませんが、“やり過ぎ感”が気になってしまいます。プレゼンの主役はその内容であり、ファッションはあくまでその引き立て役です。ですから女性らしさを感じさせつつ、主張しすぎないシンプルエレガントこそが、プレゼンの場には最適といえます。
その2:個人的な体験を披露する
フェミニズム、環境問題、どんな崇高な話題でも正論やデータをただ並べるだけでは、聞いている人の気持ちを動かすようなプレゼンにはなりません。個人的な体験や動機、自分がどんな経験を経て、その主張を抱くようになったのか、よりプライベートなエピソードがあると、人はより関心を持ち、注意を持って聞くようになります。エマ・ワトソンは、10代のときに感じた性差に関する違和感について積極的に話し、それが今の彼女の考え方に大きく影響を与えていると言いました。自分にとってあまり好ましくない体験、苦い思い、あるいは弱み、そうしたネガティブなことも自ら開示することで、ぐっと人の心をひきつけるプレゼンにすることができます。
その3:批判するだけではなく、むしろ反対意見の人も巻き込むような姿勢でいる
フェミニズムというとどうしても女性の権利ばかりを声高に主張し、男性に対して敵意さえ示すようなイメージもあり、またそれがフェミニズムの限界ともなっているような部分がありました。しかしエマ・ワトソンは、ジェンダー(性差)問題として男性だって“男らしさ”という概念に囚われ、けっして自由なわけではないことを指摘し、だからこそ“男らしさ”、“女らしさ”という固定概念を捨て、もっと平等な男女ともに暮らしやすい世界をつくりましょうと呼びかけ、多くの賛同を得ていました。自分たちとは違う立場や、反対意見を攻撃し、批判するだけではけっして健全な共感をよぶことはないでしょう。そうではなく、“みんながハッピーになるにはどうすればいいか”という視点があってこそ、そのプレゼンは多くの人から支持される内容となるはずです。
参考記事(海外サイト):Five magical moments from Emma Watson's game-changing sexism speech, and the best reactions from the web's feminists