本当の男女平等はいつ?? 海外の女性リーダーたちがぶつかるダブルスタンダードとは??
筆者の住んでいるオーストラリア、前の首相は初の女性首相ジュリア・ギラード氏でした。女性でも国のトップに立てるなんて素晴らしい!! と感じるかもしれませんが、現実はそれほど甘いものではありません。一見女性の社会進出が進んでいるようでも、女性がキャリアを積んでいくことはそれほど容易なものではないのです。
初の女性首相ジュリア・ギラードへの風当たり……
オーストラリア初の女性首相ということで、メディアでも注目を浴びた彼女ですが、“女性”ということをネタにメディアで辛辣な書かれ方をされていたこともありました。たとえば、自宅のキッチンで撮影した写真には、「女性のキッチンとしては殺風景すぎる、フルーツ1つ見当たらない」というコメントがのせられたことも……(男性政治家だったら、キッチンが殺風景だからって批判されることはないですよね)。
さらに、 「Childless(子どもがいない)」という形容詞がつけられることもしばしば。子どもの有無と政治家としての素質は全く無関係だと思うのですが、男性政治家に対してこんな表現をすることはまず考えられません。そもそも仕事のシーンで“子どもの有無”を問われるなんて、なんだか立派なセクハラなような気がしませんか??
こうした見方が出てくるのは、「女性はかくあるべき」という偏見が根強いからのような気がします。「女性なんだから、キッチンで料理くらいするべきだ」、「女性は子どもを産んでこそ一人前」、はっきりと声高に言われることはなくても、そんな意識がまだまだあるからこそ、こんな意見が出てくるのではないでしょうか。そして“デキる女性”への風当たりはやっぱり強いのだと感じます。
“はっきりと自己主張する”男性なら美徳、女性だとネガティブイメージに
意見を述べるべきシーンで断固はっきりと自己主張する、おなじ行動でも男性だと「あいつは大胆で頼もしい」、女性だと「気が強くて、イヤミな女」、そう評価が分かれてしまうのが悲しい現実。キャリアシーンでも動かしがたいダブルスタンダードが存在するという指摘があります。
そういったレッテルを貼られるのが怖くて、本来は主張すべきところなのに、黙ってしまう、あるいは他人の意見に流されてしまう……、そんなジレンマを抱えやすいのが女性だといいます。そのいい例が給料交渉での男女差です。ある海外の調査では、男性は自分の実績をやや誇張表現してでも給料アップを求める傾向にあるが、女性はむしろその逆。自分の成果を堂々と主張し、それに見合うだけの給料アップを求めることが苦手で、現実に妥協しがち、その結果多くの女性がチャンスを逃すことになり、男女の賃金格差はなかなか改善されないと分析されています。
これはふつうの女性たちだけの話ではありません。FacebookのCOO(最高執行責任者)というトップクラスの地位にあるシェリル・サンドバーグさんも、こうしたダブルスタンダードを身をもって実感しているひとり。こんな偏見に負けず、もっと女性がリーダーシップを発揮するべきよ、とエールを送っています。彼女はこんなアドバイスも。
「もし気の強い女と言われたら、優雅に微笑んで“いいえ、リーダーシップスキルが高いんです”と返せばいいんです」
そう、むやみに抗うのではなく、笑顔と多少の皮肉で答える、これこそが、男女のダブル・スタンダードを無くしていく一番の道といえるでしょう。