「忙しい」が口癖になっていませんか? 現代人がハマっているマインド・トラップ(心の罠)とは?
いつも忙しくて、なかなかゆっくりする時間がない……。何もかも忘れて頭をからっぽにし、リラックスしたのはいつだったか、思い出すことすらできない……。そんなことありませんか? じつは“忙しい”は現代病どころか生活の奥深くに住みつき、私たちはその事実を立ち止まってよく考える余裕すらなくしているようです。
“忙しい”はステータスシンボルに……
「今週はずっと○時間しか寝れなかった」「ずっと忙しくて、なかなか連絡できなくてごめんね」……よくそんな言葉を聞きませんか? そう、人はいかに自分が忙しいか、必要とされているか、アピールするのが大好きです。Facebookなどでも“リア充”と言われるように、リアルライフが充実している=忙しいということを誇らしげに語っていますよね。
かつて忙しい人というのは生活に余裕がないというネガティブなイメージがありましたが、今では誰もが“忙しさ”をアピールし、いわば一種の“ステータスシンボル”となっている感があります。忙しければ、忙しいほどクールでかっこいい。だからみんな“忙しさ”を競い合っています。ほんとうはもっとスローに生きていいはずなのに、そんなの格好悪い、人として価値が低い、そんな風にすら思われがちです。だから人は本来以上に“忙しい”ほうへ自らを駆り立てていくようになります。
忙しさのあまりストレスが溜まると、脳は縮まる??
でははたして“忙しい”のは人間にとっていいことなのでしょうか? たしかにある程度毎日やることがあって、それをこなしていくことは大切でしょう。でも忙しくてご飯も余裕を持って食べられない、1日の睡眠が4時間くらいが当たり前というような生活が続くと、体にとって過度のストレスとなり、それは脳にも影響を与えることが分かってきています。
脳の前頭前皮質はストレスによって引き起こされるネガティブな感情(怒り、恐れ、攻撃性)を制御し、落ち着かせる役割を担っているのですが、ストレスが絶え間なく負荷を与え、やるべきことを全て終わらせることができないと感じると、その機能を“シャットダウン”させてしまうことが脳科学の研究で明らかになっています。突然“キレる”という精神状態も、前頭前皮質がその役割を放棄してしまったとき起こると考えられるでしょう。そう考えると、“忙しい”状態が続くのはむしろ非常に危険なことだと思えます。
忙しさの呪縛から、自分を解放しよう
“週末の予定が何もないのがこわい”、“ひまな人だと思われたくない”という理由から自らを“忙しい”生活に駆り立てている人はもっと生活のテンポはゆっくりでいいのだと気づきましょう。そして仕事や育児で本当に毎日忙しくて、心の余裕が持てないという人は、自分のため、そして家族のためにもどこかで“自分リセットタイム”を設けるべきです。育児をすべて自分の手でこなそうとせず、親や夫にも助けてもらう、仕事が忙しくてどうしようもないという人も、長時間働き続けるのではなく、休み時間を半ば強制的にでもいれてメリハリをつけるなど工夫しましょう。
なかには心のさみしさを埋め合わせるために、“忙しい”フリをしている人もいますが、そんなときはどうすればもっと幸せを感じられるようになるのか、じっくり自分と向き合ってみることをおすすめします。
忙しさによるマインド・トラップに嵌らないよう、気をつけて下さいね!