ワタシノシゴト。第2回 株式会社ビズリーチ 田澤玲子さん

「人と人、人とモノをつないで、みんなの笑顔を増やし続けたい」

会社員、起業家、フリーランス……さまざまな働き方を選んでいる女子たちに、仕事を通じてライフスタイルを掘り下げる連載企画。自分に合ったキャリアを探る働き女子にとって「こんな働き方もあるんだ」と参考になるストーリーをお届けします。第2回は「ビズリーチ」で広報担当として働く田澤玲子さんにお話を伺いました。

広報のすべてを余すことなく教えてくれた上司との出会い

田澤さんといえば、バリバリの広報ウーマンといったイメージですが、社会人になりたての頃のエピソードを教えてください。

田澤:外資系広告代理店で4年ほどPRの仕事をしていました。当時30代だった女性上司に、プレスリリースや企画書の作り方まで、さまざまなことを教えてもらいながら、ステップアップしたいと走り続けた時期でしたね。「私のアタマの中のことを全部持っていってね」「20代のうちに力をつけて、30代からは『自分ならコレ』という得意なことを持とう」など、女性が長く仕事を続けるにあたって大切なことを教えてもらいました。

その後、転職されたきっかけは何でしたか。

田澤:それまで外資系企業のPRを担当していたこともあり、世界最大の婚活サイト「マッチ・ドットコム」が2005年に日本に上陸したとき、マーケティングマネジャーとしてジョインしました。昔から仕事をする上で「人と人とをつないで幸せを作ること」を大切にしているのですが、「パートナーがほしい」と思っている人にマッチ・ドットコムを知ってもらいたいと思ったんです。マッチ・ドットコムを使うことで、幸せになる方がたくさんいたので。自分がPRに携わったサービスや商品のことを知らない人たちに知ってもらい、使ってもらうことで、みんながハッピーになるのが理想なんです。

思当時仕掛けた施策のうち、とくに思い出に残っているものは何ですか。

田澤:マッチ・ドットコムが各国で、巨大なプラスチックの球体「Match.com LOVE バブル」を用意して男性に入ってもらい、その中で受け取ったアプローチメールから、好みの女性をひとり選んでメールを送ってもらうという施策を行っていました。その「日本版」を展開したら面白いと思ったのです。そこで、2005年当時独身だった石田純一さんに事前に会員になっていただき、渋谷109前で日本版Match.com LOVE バブルを実演しました。ほかに例のないユニークなイベントだったこともあり、多くのマスコミの方に来ていただきました。また、そのPRイベントの記事を読んだお客さまが、実際にマッチ・ドットコムを利用して成婚したという報告を受け、その事例を直接ご本人に取材させていただくという幸せな出来事もありました。

ビズリーチへの入社は友人との何気ない話がきっかけだった

関わる人を幸せにする施策ですね。その後、事業会社を経て現職についた経緯は何でしたか。

田澤:かねてから友人だった、現在は弊社のシンガポール支社で働く佐藤と2008年に食事をした際に、ビズリーチというサービスを2人で始めると聞いたのがきっかけです。ビズリーチの具体的な構想を聞いているうちにとても面白いと思ったので「記者発表会を開いたらいいのでは?」と提案したんです。私は面白いものに出会うと、自分の仕事とは関係なくてもつい提案してしまう癖があるのです(笑)。でも、一緒に準備をしている代表(ビズリーチ代表取締役・南壮一郎)は「まだ誰も知らない小さな会社の記者発表会なんてしてもほとんど誰も来ないだろうから意味がないし、そもそも予算もない」といった考えだったらしく、佐藤から「南に説明しに来てほしい」とお願いされたんです。そこで、当時はほかの会社のオフィスで机1つを間借りしていた事務所へ、南に話をしに行ったことが始まりでした。

南さんのご著書『ともに戦える「仲間」のつくり方』でもふれられていましたね。

田澤:はい。私はそのとき「記者発表会をしたほうがよい理由」を伝えに行っただけのつもりでしたが、1時間ほど話した後に、南からいきなり「一緒にやりましょう。やり方がまったくわからないので教えてください」と握手を求められ、本当にびっくりしたのを覚えています(笑)。そのときはほかの会社に勤めていましたし、まさかその後ビズリーチに入社するなんて1ミリも想像していませんでした。でも、困っている人がいると、放っておけない性分なんですよね。その後は土曜日にオフィスへ行き、記者発表会の準備をお手伝いするようになりました。そうするうちにだんだん楽しくなってきて。

記者発表会の反響はいかがでしたか。

田澤:ビズリーチがグランドオープンしたのが、リーマン・ショック直後の2009年4月でした。何かよいアイディアがないかとリサーチをする中で、ニューヨークで話題になっていた「ピンクスリップパーティー」という解雇されてしまったビジネスプロフェッショナルとヘッドハンターとをつなぐ転職活動パーティをみつけて、日本で実現したら話題になるのではないか、と思ったんです。そこで、記者発表会では日本版ピンクスリップパーティーを開催しました。驚いたことに約70人ものメディアの方々に来ていただき、立ち見が出るほど大盛況で、海外メディアにも取り上げられるなど、スタートとしては大成功でした。

その後、ビズリーチに入社。創業メンバーが10人もいなかった頃ですよね。

田澤:不安はありませんでした。むしろ、とても楽しかったです。ひとつの共通したゴールに向かって、仲間全員がそれぞれの専門性を活かして進んでいける信頼できるチームで。当時は「1人1部署」のような形で6人だったで、南が「60度ずつ任せた!」と言っていました。

そんなベンチャー企業がいまや200人もの大所帯になったと。

田澤:年々倍増しています。とくに昨年は105人も新たな仲間が増えました。ビズリーチから分社化したルクサも入れると全部で300人です。毎年、年末に納会があって最後にみんなで輪を作ってテーマソングを歌うのですが「300人の輪ってこんなに大きいんだな」と驚きました(笑)。毎年2倍成長を続ける弊社の目指す世界観が皆さんに伝わるよう、メンバーみんなでサービスを創り上げていきたいと思っています。

「サービスを使うと生活がどう変わるか」を伝えたい

現在、広報担当者は田澤さんのほかにいらっしゃいますか。

田澤:一昨年までは私1人だったのですが、昨年1月に1人、10月に1人増え、3人体制になりました。ビズリーチとルクサの両方の広報を担当しています。また、私が元上司に教えてもらったときのように、私の頭の中身を全部もっていってもらおうと、2人のメンバーに広報として必要な知識や経験をすべて伝え、身につけてもらえるよう心がけていますね。

インターネットサービスの広報をするにあたり、意識するのはどのようなことでしょうか。

田澤:インターネットサービスは基本的にパソコンやスマホなどで実際に触ってもらわない限り、どんなものなのかなかなか伝わりにくいです。でも、人が使うものだからこそ、それを使った方の生活、もっというと人生がどう変化したのかイメージしやすい伝え方を意識しています。たとえばビズリーチでは、人材を採用したい企業と転職したい人がマッチングするイベントや、転職に成功した方の取材を行っています。ビズリーチを使っていただくことで、選択肢や可能性が最大化するという魅力を伝えていきたいです。

広報の仕事をしていて、最もやりがいを感じる瞬間はどんなときでしょうか。

田澤:一番は周りの人、サービスを使ってくださる人が笑顔になってくれること。その間にはメディアを通じてサービスを取り上げてもらい、皆さんに知らせたいサービスと、サービスを知りたい人とをつなぐという過程があります。メディアに紹介していただくこと、それを仲間たちに喜んでもらえることもやり甲斐のひとつです。記者発表会を開催した当日、みんなで仕事終わりにカラオケボックスに集まって、テレビに映った会見の様子を見て、打ち上げがてら乾杯をするのも幸せな時間。弊社は日本一広報に協力的な仲間が揃う会社です。みんな自分の仕事がどんなに忙しくても快く力を貸してくれて、それがそのぶん形になっている実感があります。

今後、ビズリーチやルクサ以外では、どういったサービスを展開していく予定ですか。

田澤:近年アメリカを中心に、教育(Education)とIT技術(Technology)を融合させた、オンラインでの新しい教育の形として「EdTech(エドテック)」が急成長し、日本でも注目を集めるようになりました。この背景を受けて、弊社でも学習アプリ「zuknow」でEdTech業界に参入しました。TOEICやTOEFLなどの英語検定、資格試験対策などに効果的な暗記帳を中心に、大人から子どもまで学習ノウハウを共有し、学び合えるスマホアプリです。自分で学習コンテンツを作るだけでなく、他の方が作った無料コンテンツ1万個や公式コンテンツを使った学習もできますよ。1月21日にリリースし、今後はさらなる新機能の充実を図っていきます。

最後に、今後の目標を教えてください。

田澤:毎日の積み重ねが一番大切だと思っているので、将来の目標はあまり思い描いていません。今日1日でどれだけの笑顔が見られるか、ということをいつも考えています。私のモットーは「みんなのチアリーダー」で、ずっとみんなのチアリーダーのような存在でありたいです。それから、お世話になった元上司への恩返しの気持ちを込めて、私でお役に立てることがあれば、私が教えてもらったことをできるだけお伝えしていきたいなと思っています。

田澤玲子
2000年に大学卒業後、ヨーロッパ最大の広告代理店グループ、パブリシス・グループ日本法人のPR部門でさまざまな外資系企業を担当。2005年、世界最大の婚活サイト「マッチ・ドットコム」(本社:米国)日本上陸の際のマーケティングマネジャーとして、日本のメディアにネット婚活を広め、日本に婚活ブームの先駆けをつくる。事業会社の広報担当を経て、2009年より管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」などインターネット事業を運営する株式会社ビズリーチに入社し、広報マネージャーを務める。2010年より、ビズリーチから分社化してセレクト・アウトレット型ECサイト「LUXA(ルクサ)」を運営する株式会社ルクサの広報担当を兼任。

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2014.01.28

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記事を書いたのはこの人

池田 園子(いけだ そのこ)

Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子

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