意外に知られていない!? 妊娠初期クライシスの存在
最近では、出産を機に夫婦仲に亀裂が生じ、良好な夫婦関係が築けなくなるという「産後クライシス」なる言葉をよく耳にするようになりました。身を削って子どもを産んだ女性にその後待ち受けているものが“24時間休みなしの育児”であれば、精神的にも肉体的にも追いつめられるのも仕方がありません。それを尻目に何も変わらない夫の姿を目の当たりにしてしまえば、憎さ100倍。怒りとともに、相手への失望を止めることができなくなります。
しかしながら、このシナリオはすでに妊娠初期から始まっているのです。SNSで見られる友人たちの幸せ満開の妊娠報告にだまされてはいけません! なぜならば、妊娠初期の女性の“こころ”と“からだ”の状態は、実はそんなあま~いものではないのですから!
妊娠してみて初めて知る、「自分」という生き物
ドラマでよくある、妊娠がわかった主人公がハンカチで口をおさえながらトイレに駆け込むあのシーン。あれがすべての女性が経験することかというと、答えは「No」です。
しかしながら妊娠には「つわり」というものがつきものなのです。つわりには「食べられないつわり」と、何かを口にしていないと気持ちが悪くなる「食べつわり」があります。カップラーメンやフライドポテトなどジャンキーなものが食べたくなったり、偏食ぎみになることもあります。それに加えてどうしようもない眠気や、偏頭痛にめまい――。と、自分の体がまるで自分のコントロールできない領域に入ってしまったような感覚が女性たちを襲います。自由がきかなくなっていく自分自身の体とともに、ホルモンの影響で情緒不安定に陥ることだってしばしばあります。妊娠して初めて知る自分。「私って、こんな人間だったっけ?」と日々ころころと変わっていく自分についていけなくなることだってあります。
わかち合えない「喜び」と「辛さ」
上記のような負担は安定期に入ればだいぶ落ち着くので、ひとまず妊娠初期の我慢! しかし妊娠初期って、まだまだおなかが出ていなくて、まわりも妊婦さんという認識を持ってはくれない。そして夫も然り――。女性が味わう辛さを理解せずにだたの「怠け」と判断したり、小さな命であっても日々成長する姿に喜びを示してくれない夫の態度が、夫婦関係の悪化を招き始めます。
男性にはなかなか理解できないことはわかっていても、共感を求めるのが女性。そして特に精神的に不安定なこの時期はイライラしやすいため、ケンカを繰り返してしまうカップルも意外に多いのも事実。幸せパワー全開のイメージがある妊娠初期ですが、内情はどうやら違うようです。しかしこの苦しみも母としての第一歩ということなのかもしれませんね。