“優しい子”に育てたいなら「ハリー・ポッター」を読ませなさい!?
世界中の子どもだけでなく大人も虜にしたファンタジー映画『ハリー・ポッター』シリーズ。今年はユニバーサル・スタジオに大規模なアトラクションができるなど、人気はますます盛り上がりを見せています。そんなポッターシリーズに関するとっても興味深い研究結果が明らかになりました。今回はその驚きの結果をご紹介します。
ハリー・ポッターシリーズを子どもに読ませると、子どもが寛容に育つ
『Journal of Applied Psychology』に発表された研究によれば、ハリー・ポッターシリーズを読み、主人公に強く感情移入する子ども達は移民や難民、同性愛等社会的に非難されがちなマイノリティ・グループの人々に対してより寛容になることが明らかになりました。調査はイタリアの高校生に「ハリー・ポッターシリーズをどれぐらい読んだか」、「主人公のハリーか、その敵ヴォルデモートどちらに同感を抱いたか」を尋ね、その後、同性愛者に対する全く別のアンケートに答えてもらうというもの。その結果、ハリー・ポッターシリーズを多く読んでいた生徒ほど、同性愛者に対してポジティブな感情を抱く傾向があったんだとか。
また同じチームが小学生を対象に行った別の調査では、まず移民に対する考え方のアンケートをとり、その後半数はハリー・ポッターを、残りの半数は別の本の内容を6週間に渡り話し合ってもらうというもの。その後もう一度子ども達に移民に対するアンケートをとったところ、ハリー・ポッターを読んで、差別や寛容さについて話し合ったグループでは、偏見を抱くような意見が大幅に減り、移民に対して共感するようになったんだとか(ただし、彼らがハリーに強く共感していた場合に限るようです)。
どうして「ハリー・ポッター」??
ハリー・ポッターの本や映画を見たことがある方ならご存知の通り、シリーズを通して大きなテーマとなっているのが“偏見”。ハリーは人間と魔法使いから生まれた“半純血”。魔法使いの父と、魔法使いの母から生まれたピュアな血統だけが力を持つべきだ! という差別主義者からすれば、そもそも認められない存在です。その他にも作品中には「ゴブリン」「屋敷しもべ妖精」など地位が低く、奴隷のように扱われているキャラクターがたくさん出てきます。ハリー・ポッターの全シリーズを通して、主人公であるハリーはそんなキャラクター達と友人になり、お互いの違いを理解し感謝する姿が描かれています。そんな心優しい主人公に強く共感していくうちに、子ども達の「他人に対する寛容さ」が育っていくのだと研究者達は考えているようです。
本を読んだら必ず子どもと話す習慣を
子ども達は作品と現実の世界と比較して、最も受け取りやすいメッセージから勝手に自分の信念を作り上げてしまうのだそうです。つまり、「暴力で解決できる」「差別をしても構わない」などのメッセージを強く発信している作品を子どもが見た時に、なんの疑いもなく受け入れられてしまう可能性も十分にあるということ。子ども達が間違ったメッセージを作り上げてしまわないように、子どもが見る映画やテレビ番組、本をママやパパがしっかりとチェックして「そこから何を感じたか」を子どもと話し合ってみることが大切になりそうです。
参考記事(海外サイト):Reading Harry Potter Books Can Make Kids More Tolerant