優しい子に育つためには「他人に迷惑をかけること」が必要
我が子に「優しい子になってほしい」と願うのと同時に、「人に迷惑をかける子にはしたくない」と思っていませんか? 多くの人が抱く願望ですが、実際は矛盾していて無理があります。
人間は、他人に迷惑をかけた経験がないと、優しい子には育ちません。むしろ人に迷惑をかけない子は、自己中心的になりやすいのです。一見矛盾しているようですが、その理由をご紹介します。
優しさは「持ちつ持たれつ」で徐々に身に付くもの
「生まれつき優しい人間」というのは、残念ながらいません。歯磨きやご飯の食べ方を学ぶのと同じように、子どもは他人から優しくしてもらうことで、「人に優しくする心」が芽生え、「人に優しくする方法」を学ぶのです。
では、「他人から優しくされる状況」ってどんなときでしょうか? ほとんどが、何かしら迷惑をかけているときですよね。実は大人でも、同じようなことはあります。
たとえば、恋愛相談を受けたことがある女友達・A子がいたとしましょう。一度相談を受けたA子には、自分からもちょくちょく恋愛相談をしやすいですよね。自分がカレと大ゲンカし、A子にカフェで何時間も悩みを聞いてもらった、なんてこともあるでしょう。逆にA子がカレと別れ、A子の話を夜通し飲みながらじっくり聞く、なんてこともあります。
このように他人から優しくされることで、自分の「人に優しくできる心」が広がる経験は、大人にもあるでしょう。優しくしてもらうことで何が嬉しいか、何が最適か分かり、「相手への思いやりや気遣い、とるべき態度、かけるべき言葉、気持ちの推し量り方、ただ話を聞くことの大切さ……」などの技術を身につけることができるのです。
迷惑をかけない子は自己中になりやすい
逆に迷惑をかけない子は、優しくされる経験が不足しがち。優しくされなければ、まず「優しくしようという発想」さえ浮かびません。相手の気持ちを思いやる心も少なく、かけるべき言葉なども分からず、逆に傷付けてしまうことさえあるでしょう。それどころか、他人から迷惑をかけられることを面倒に思うように。より自己中心的になりやすいのです。
迷惑は学びの機会ととらえる
迷惑をかける経験は、長い目で見れば「人に優しくする方法を学ぶ機会」ともいえます。親として躾をするものの、子ども相手のことですから、迷惑はかけても大丈夫です。
もちろん中には、悪意のある態度や言葉をかける人も多いです。とはいえ悪意のある人が100%ではなく、「それくらい気にしないで」と声をかけてくれたり、うまく子どもの気をそらして遊んでくれる育児上手な方に出会うこともあります。そういったいろんな人に出会うことも、子どもには勉強です。
もちろんママとしては周囲に「すみません!」と謝る機会も増えますが、外では謝ることが1番の親の仕事。優しい子になってほしいと思ったら、迷惑を恐れず、人との関わりを増やしてあげていってくださいね。