昭和の育児名著「私は二歳』がなかなか面白い! 2歳児のほんとうの姿とは??

2014.05.16

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初めての子育ては誰だって戸惑うものです、そんなとき先輩ママからアドバイスをもらったり、定評のある育児書を読んだりして参考になることも多いでしょう。でもありきたりなものではつまらないという方に、少し変わった育児本をご紹介しましょう。


『私は二歳』(岩波新書 松田道雄著)

なんと初版1961年という昭和全盛時代に書かれた本です。小児科医が2歳の男の子の気持ちを代弁するユニークな語り口が魅力。たしかに古いだけに時代背景も大きく異なるのですが、それでも初めての育児に振り回される親、子どもの病気への心配などは今とまったく変わらないのだなと気づかされます。また言葉も発達してくる2歳児がどんなふうに世界を認識しているのか、ということも教えてくれます。よく“魔の2歳児”と呼ばれたり、最初の反抗期がある時期といわれたり、育児の壁につき当たりやすいときだと思いますが、“こどもの気持ちが分からない!”とパニックになる前にこの本を手にとってみてはいかがでしょうか。

『私は二歳』を読んで学ぶ、2歳児の奥深い世界

子どもは親の感情に驚くほど敏感

本書では姑ママが姑と同居することで悩むシーンがありますが、2歳とはいえ子どもはその変化、母親の気持ちの機微をかなり敏感に感じとっているようです。それは親からは分かりにくいかもしれません。でも声のトーン、その場の空気感から子どもは親の気分をするどく嗅ぎとっています。それは“まだ子どもだから”と軽く見逃していいものではありません。夫婦のケンカ、姑への不満、しっかり察知されてますよ!

2歳には2歳なりのリクツがある

2歳は新しい言葉をどんどん吸収し、世界を広げていく一方で、まだまだ精神的には赤ちゃんと大差ないところもあったりして混沌とした存在。親が“魔”と感じるのもそうした部分にあるのでしょう。ですが、モノを考え、感じる能力は大きく発達しています。親から見ると、意味のない動作、ワガママにしか思えない行為の裏にも彼らなりのリクツがあります。
たとえば……

・指しゃぶり
「子どもは孤独になると自分で自分を愛撫したくなるのだ。指しゃぶりは指と舌がおたがいに愛撫しあっているのだ」(本書より)
▽ 2歳児ながらなんとも言葉遣いが大人っぽくってドキッとしますね……。
ほかにも

・女の子の髪をつかむ
「あの柔らかい髪をつかんだ瞬間に金属性の音がする(女の子が驚いて悲鳴を上げることを指しています)というのは、ブザーのボタンを押すみたいでたいへんおもしろい」(本書より)

などなど。
子どもの気持ちを分かろうとしてもどうして大人目線では理解できないことも、本書の語りを通じて、子どものものの見方や感じ方に触れることができます。

本書は50年以上も前に書かれているので、子どもの口調もどこか古めかしいのですがそれがまた可愛らしく感じます。また昭和の子育てを垣間見るつもりで読んでみても面白いでしょう。夫婦の在り方も随分変わったような、変わっていないような不思議な感じがします。ただ、いつの時代も嫁と母親の間に立つお父さんの苦労だけは今も昔も変わらないようです。

古い本ながらアマゾンでは購入可能、また近所の図書館をチェックしてみてもよいでしょう。昭和の名著からいろんなヒントを受けとってみて下さい。

『私は二歳』(岩波新書 松田道雄著)

2014.05.16

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記事を書いたのはこの人

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Written by Waxy

南半球オーストラリアから世の動きを眺めています。 ガーデニング好きで、イチゴ栽培が特にお気に入り。