2歳の子に「『何を』怒ってるの?」と言われて…
とある平日の夜、「ママ、何を怒っているの?」と2歳11ヶ月の子に言われた。
正確に言うと、その時怒ってはいなかった。ただ「明日も幼稚園だし、早くお米研いで歯磨きして……寝せなきゃ!」と焦っていた。そのせいで語調は荒く、行動を急かすような喋り方だったと思う。
そこで「『何を』怒っているの?」ときたもんだ。ショックだったし、親としてとても恥ずかしくなった。
その後も続く「何を怒っているの?」
その後も「何を怒っているの?」という質問は何度かあった。
驚いた理由は2つあって、1つは「ちょっと声が低くなる」だけで言われること。怒るまではいかなくても、焦る、疲れる、落ち込む、反省する……声が低くなると同時に、怒っていると感じるのだ。
大人が思う以上に子どもは繊細であり、親の感情変化に敏感。乳児期に親がストレスを感じると赤ちゃんも泣くと言われていたが、たしかにその通りだ。
もう1つは、本当に怒っているときは「何を怒っているの?」と聞かれないのだ。例えば混雑している店内で、買い物カゴを電車に見立てて床に引きずりながら遊ぶ。電車に見立てたところはすごいと褒めたい気持ちでいっぱいだが、汚れるし、人にぶつかるよと叱る。こういうときは聞かない。
ちなみになにかと理由が知りたいタイプなので、「なんで?」とは聞いてくる。が、「何を怒っているの?」とは聞かない。
彼は見分けているのだ。親が「何を」怒っているのかを。
「『何を』怒っているの?」
結局彼が聞いてきたのは、「何を=子ども以外を」怒っているときだけだった。
主には「自分を」怒っているとき。例えば早く寝かせようと焦るのも、結局親の時間配分不足だ。第1次反抗期ゆえ「自分でやる!」連発やぐずリもあるが、本来はそこまで考えて時間配分すべき。
とはいえ、子どもだから予定通りにはいかないのが当たり前。仕方ないことで、子どもに責任があるわけでもない。「本来当たり前な現象を」、わざわざ怒っている場合も多い。
子どもへの怒りに、「違う対象への怒り」がプラスされていることもある。
実は多いのが、「育児に非協力な夫を」怒っている場合。ぐずる子どもに何もしてくれない夫への怒りがプラスされ、必要以上に怒ることはないだろうか?
また、「母親としての体裁が崩れること」への怒りもあるだろう。言葉で言っても理解が難しい、もしくは理解できない年齢……、特に3歳未満のぐずりや欲望を止めるのは至難の業だ。それでも周囲の目は冷たい。「母親失格の烙印」が押される恐怖も、怒りにプラスされることがある。
総じて、子どもに八つ当たりしているのだ。なんとも……情けない話だ。1番の被害者は子どもで、その後の人格形成や精神的な安定性に関わってしまう。では、どうしたらいいのだろう?
怒りの対象をゴチャ混ぜにしない
仕事も育児も家事もとなると、とにかく「忙しい」。漢字の通り、「心を亡くす」状態になってしまう。結果、怒りの対象をゴチャ混ぜにし、感情のままイライラしたり、怒ってしまう。物理的に忙しくない状況にする、時間管理術は必要だろう。夫婦で話し合い、夫の協力も必要不可欠だ。
とはいえ、急に環境は変わらない。自分で自分に、イラッとする都度「『何を』怒っているの?」と聞こうと思う。怒りの感情に呑まれているときは、冷静にもなれないものだ。それでも感情のまま、言葉に出してからでは遅い。子どもに聞かれるよりは、自分で自分に聞きたいと心から思うのだ。