「もったいない」が奪う子どもの機会損失と好奇心の芽

2014.01.04

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育児でお金がかかるのは、何もオムツ、オモチャ、教育費……などに限ったことではない。大人からみれば「もったいないこと」でも、子どもにとっては立派な「遊び」。食べ物で遊ぶ、水の出しっぱなし、ティッシュを出し続ける……皆さんも経験したことがあるのではないだろうか?
しつけの観点からいえば、「もったいない」と注意するのが、一見正解かと思われる。筆者もファイナンシャル・プランナーであるせいか、ケチな方。「あ~もたいない! 光熱費がぁぁぁ……」なんてすぐに思う。
しかし、ふと考える。しつけからいえば注意するのは正解でも、教育から見れば正解とはいえないのではないだろうか?

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何でも遊びに変える子どもたち

思春期は「箸が転がっても笑う年頃」なんて言われているが、幼児期も同じだ。例えば多くの子どもが「水」好き。蛇口から水が流れる様を見るだけでも、面白いらしい。少しでも水が飛ぶものなら、大はしゃぎ。真剣にコップに水を汲んだり、流したり、分けたり、飛ばしては大笑いしている。
これはコップに限ったことでなく、ティッシュペーパー、電気、食べ物……と多岐に渡る。何でも遊びに変えられるのは、子どもの長所だなと思う。
ところが今は、ほとんどの物にお金がかかる時代。昔とは違い、水でさえタダではない。子どもが遊ぶ物の多くは、「もったいない」ものなのだ。日本人特有の「もったいない」と思う精神を、子どもに教えたいとも思う。だから親は注意する。「もったいないよ!」と。

「もったいない」が奪う子どもの機会損失と好奇心の芽

ところが、これは一概に正解とは言えない。教育の面から見れば、むしろ不正解な部分もある。
例えば前述の「水」は、液体だ。水を流すとどうなるか、水滴はどう飛ぶか、どれくらいの量を汲むとどれくらいの重さになるか、温度はどうか……などは、水でなければ学びえないことだ(もちろんほかの液体でも可能だが、同じくお金がかかる。地域によってはすぐ近くに川や海がない場所もある)。
これを禁止してしまうと、水に関して学べない。遊び(学び)の機会損失になる。
また、せっかく芽生えた水への好奇心が摘み取られてしまう。これは「かわいそう」に関しても同じことが言える。よく子どもは平気で虫を殺したり、解剖したりする。大人からみれば可哀想だが、子どもは単純に「こうしたらどうなるか」に興味があるのだ。全て止めてしまえば、好奇心をも摘み取ってしまう。

両立する方法は?

とはいえ、「もったいない」を教えることも大切だ。あくまでゴールは「もったいない」の理解。それまでの過程で、うまく「もったいない」と「学びの機会&好奇心」を両立させる方法はないだろうか?
年齢ごとに、比重を変えていくのがベストだろう。筆者の子は、3歳になったところ。水の出しっぱなしに「もったいない」と言うことはあるものの、やっぱり水で遊ぶ。「もったいない状況だ」と認識はしているが、本当に理解や実感をしているわけではないのだ。
小さい頃ほど優先すべきは、「機会&好奇心」だろう。好奇心がフレッシュで大きい一方、もったいないを理解するにはまだまだ早い(というか無理だ)。親が「この量なら遊んでいい」と思った分だけ与え、思い切り遊ばせてあげよう。

2歳半~は、「もったいない」という言葉を認識し始める。ただ「何をすれば『もったいない』と言われるか」という認識に留まり、理解や実感には遠い。状況理解のために言葉を出してもいいが、求めるには早い。まだ遊びに比重を置きたい。

4~5歳ごろになれば、徐々に理解しだす。この頃には「もったいない」の比重を多くしてもいいだろう。ただ完璧に理解させるのにはまだ早い。子どもだもの、もったいないことをしてしまう時もあると大らかにに見よう。大人も同じだが、「絶対にダメ!」と決め付けるのは無理だ。

もちろん親の根気も必要だし、バランスをとるのも難しい。そして相変わらず、蛇口から出てくる水への対処は難しい。ある程度遊ばせたら、「これ以上はもったいない」と言う。もしくは遊んでいい日を決める。これしかないと思うのだが、どうだろうか?

2014.01.04

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記事を書いたのはこの人

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Written by 宮野茉莉子

84年生まれの哲学ライター。東京女子大学哲学科卒業。野村證券を退職後、2011年よりライターへ。主に生き方や働き方について、哲学を交えた本質を探る記事を執筆。他、子育て、夫婦、FPとしてマネーなど、6媒体で執筆中。愛雑誌は『PRESIDENT』。現在一男児子育て中。 Facebook→https://www.facebook.com/miyano0928 blog→http://blog.livedoor.jp/miyano0928/