絶対に終電を逃さない女さん、初の単独インタビュー【園子の部屋#10】

編集者/ライターの池田園子が、そのときどきで気になる人、話を聞きたい人に会いにいく連載企画「園子の部屋」。
第10回目は「絶対に終電を逃さない女」さん(以下、敬称略)。2017年11月、noteに書いた「絶対に終電を逃さない女が終電を逃して相席屋に行った話」(※1)がネット上で話題に。私のタイムラインにも記事が流れてきて、読みにいったのを覚えています。


「相席屋」記事がSNSで話題に

池田: 相席屋の記事、かなり拡散されてましたね。

終電を逃さない女(以下、終女): noteの管理画面で数字を見ると、そこまでPVは多くないです。ただ、あの記事を公開してから、編集者やライターのフォロワーさんが増えました。

池田: 書いた当時「これはたくさん読まれるはず」みたいな予感はありましたか?

終女: 正直、なかったです。ただ、noteに書いた他の記事と比べると、ネット受けしそうなタイトルを付けたと思います。

池田: 「サイゼリヤの天使」「骨折してもひとり」「桜の花、風に舞い上がるビニール袋を」とか、エッセイ的なタイトルが多かったですよね。「お?」と気にはなるけど、いざ読んでみないと、何が書いてあるかわからない感じの。

終女: ですね。当時は「相席屋」という店そのものも、ネットの関心度が高かったので、読まれやすい要素が揃ってたんじゃないかと。

書くのは好き。だけど、難しい

池田: 相席屋の記事がはやってから、新規の執筆依頼がけっこうきたんじゃないですか?

終女: そうですね。まず、恋愛コラムメディア「AM」から寄稿依頼をいただきました。

池田: 「安易なモテはモテ依存の始まり! 自己肯定感の高め方3選」(※2)という記事、読みました。「モテること」に執着している女性が、モテることでしか自己肯定感を保てないため、男性から恋愛・性的対象として愛されることを求めすぎて、それが途切れるのを恐れている、という言及にハッとしました。

終女: ありがとうございます。ただ、「自身の経験を交えたコラムを」という依頼を受けて書いたんですが、これが思いのほか難しかったです。私は話すのがあまり得意ではなくて、取材も難しいなと感じていますが、取材の必要がない文章も同じくらい大変でした(笑)。書くことは好きなんですけど。

勇気を出した初取材で

池田: 取材記事といえば、若者向けのニュースメディア「bizSPA!」では「発達障害で躁うつ病の26歳が、転職の末に『自分の仕事』を見つけるまで」(※3)など、働き方やお金にまつわる取材記事をいろいろ書かれていますね。

終女: 「bizSPA!」で書くようになって初めて取材をしました。取材経験がないから自信がなかったんですが、編集者さんに背中を押されて、一度くらいやってみよう、と。最初は社労士のかたにインタビューしましたね。

池田: ぶっちゃけ、取材は楽しいですか?

終女: 知らないことを知ることができる、という点では楽しいです。ただ、緊張して、話すのが遅くなってしまうのは反省点です(笑)。

池田: 場数を踏めば慣れると思いますよ。

欲しいのは安定

終女: ただ、私「ライターとして食べていきたい!」みたいな強い欲求はないんです。

池田: 12月、noteに「別に好きなことで生きていきたいわけじゃない」という記事を書いていましたね。「大学時代にしたバイト6つ中4つはクビになり、残り2つは数日で辞めていて、働くこと自体が向いてない」とか「ライターに向いていないと感じることもあるけど、他に向いている仕事があるとも思えないので、続けている」とか、すごく興味深く読みました。

終女: やりたいこととか、夢があまりないんです。それよりは「安定」を優先したい。

池田: どうしてですか?

終女: いろいろあって今はフリーライターをやっていますが、メンタルもフィジカルも強くはないので、安定した収入がないとダメになるタイプだとわかってるんです。だから、フリーランスじゃなくて、会社員として生きていくほうが、幸せなのかなって。「消去法の人生」を送ってるんです。

ツイートは作り込まない主義

池田: もし就職したら、ライター業は細々とでも続けますか?

終女: たまに書く、くらいはするかもしれませんが、やめたとしても悔いはない……ってことはないですね。ここ半年くらいで、いろいろな媒体から執筆依頼をいただくようになったり、編集者やライターの方に飲みに誘ってもらったり、ということが増えたため、完全にやめるのはもったいないな、という気持ちもあります。

池田: すっぱりやめる、と決めなくて細く長く続けてみてもいいんじゃないでしょうか。Twitterは絶対に続けてほしいですけどね。終女さんのツイート、ときどき共感するものがあって、グッとささったときにいいね! してます(笑)。狙っていない感じでありながら、共感している人がたくさんいるのを見て、Twitterが上手だなと感じてます。

終女: 「バズるツイート」を狙いすぎるのが好きじゃなくて、作り込みすぎないようには意識しています。それがむしろブランディングになるのかな、って。

池田: ナマ感があるツイートだなぁと思います。

終女: それでも推敲はけっこうしてますね。言いたいことがまとまってるか、文章としておかしくないかを確かめる目的ですけど。

池田: 終女さんといえば記事もですが、やっぱりTwitterに出している“視点”も面白い。今後、働き方が変わっても変わらなくても、Twitterには居続けてくださいね。今日はありがとうございました!

▽ ゲスト/絶対に終電を逃さない女さん

早大在学時(4年)からライターとして活動。飾らない素の自分を出したツイートが人気。Twitter(@YPFiGtH)フォロワーは8000超。パートナーに求める条件は「精神的・経済的に自立していること」。

▽(※1)「絶対に終電を逃さない女が終電を逃して相席屋に行った話」
(※2)「安易なモテはモテ依存の始まり! 自己肯定感の高め方3選」
(※3)「発達障害で躁うつ病の26歳が、転職の末に『自分の仕事』を見つけるまで」
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2019.01.30

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子