【趣味と私と人生と】vol.2 相撲はカッコよくて、かわいくて、面白いんです(林ふみの)

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2018.06.05.Tue

心から「楽しい」「最高」と感じられる趣味があると、人生はより面白く、彩り豊かなものになります。趣味という名の美しい沼に浸かっている人たちを紹介していく連載【趣味と私と人生と】。
第2回目は『好角家 愛敬紗英 今日の一番』などの相撲マンガを発表している、マンガ家の林ふみのさんに登場いただきます。

今増えている「相撲女子」が主人公

▽ 林さんが目下かわいくて仕方がない輝関(高田川部屋所属)コレクション。毎年自力と友達の力でストックを増やしています。「いつか輝関だけで色紙フォルダを棚いっぱいにしてみたい!」と思っているそう。

近年、「スー女」(相撲好きな女性)なんて言葉も生まれ、相撲観戦を楽しむ女性が増えています。スー女台頭以前、10年以上前に「相撲という沼に浸かりました」と話すのは、相撲マンガを多く描いている、マンガ家の林ふみのさん。
林さんの作品『好角家 愛敬紗英 今日の一番』は相撲を愛するOL、愛敬紗英が主人公。相撲ビギナーが読むと相撲の知識を増やすことができます。少し相撲の知識がある人にとっては、「このモデルはあのお相撲さんだな」とキャラと実在のお相撲さんを重ねて楽しめます。

「子どものころ、実家で祖父母と同居していたこともあって、テレビで相撲中継がいつも流れていたんです。その影響で、大人になっても何気なく見続けていました」

というように、幼いときから相撲が身近にあった林さん。
ぐっとハマることになった転機は、「元祖ブログ力士」と言われる元普天王関が2005年にブログを開設後、力士の間でブログがブームになったときでした。

推し力士は琴奨菊関

今でこそTwitterやInstagramなどのSNSで、プライベートな情報を発信するお相撲さんは出てきましたが、当時はブログが貴重な情報源だったのです。

「お相撲さんには硬派なイメージがあったので、ブログでかわいらしい一面を見ると、そのギャップがたまらないんですよね」

田中さんの推し力士・琴奨菊関は最高位が大関という、相撲界で人気も実力も高いお相撲さんのひとりです。2018年夏場所では番付(お相撲さんの地位や序列)を下げて、前頭という地位にいます。

「長年、琴奨菊関を見ていて、不憫だなと思うこともありました。強くて実力もあるのに、人気はいまひとつで……。人が良いわりに、土俵上で怒っている様子がつい出ちゃう不器用な感じも、個人的には魅力だと感じています」

相撲観戦、「三段目上位」も面白い

▽ 定番の各場所の番付表

お相撲の世界では、十両という番付より上の力士を「関取」といいます。関取になると給料や手当がもらえるようになり、身の回りの世話をする付け人がついたり、紋付き袴を着られるようになったりと、待遇が変わります。「一人前の力士」として認められる地位でもあります。
まずは十両という地位を目指してがんばるお相撲さんたち。各地位には定員があり、上からピラミッド型の世界になっているので、誰もがそこに到達できるわけではありません。序ノ口、序二段、三段目、幕下と勝ち上がって、ようやく十両の座を掴み取れるわけです。

「個人的には、三段目上位にいるお相撲さんたちの取り組みがとても楽しいです。叩き上げでやってきて、ようやく幕下に上がれるかどうかという人たちと、学生時代に相撲で高成績を残して入門してきた人たちが戦い、幕内とは違う必死感があるからです。三段目上位になると、『この人はいずれ関取になれるんじゃないか』というお相撲さんもいるので、長期的に見るとなお楽しいと思います」

相撲を見て「やめなければ次がある」と勇気をもらう

▽ 観戦時の取組表。勝った力士に丸をつけて決まり手を書き込んだり、注目していたり大一番だった取組を赤で囲んだり、花道を下がるときの礼が素晴らしかった力士にチェックを入れたり。

2018年夏時点で、お相撲さんの数は685人。三段目という地位に上がるのも簡単なことではないといえます。三段目よりひとつ上の地位・幕下も同様に面白い、と林さん。

「幕下上位は、下から上がってきた人たちと関取の座から陥落してきた人たちが戦います。元関取の意地を見せられるか、大学を卒業してデビューしたばかりのルーキーが勝ち上がるか……そういう戦いを見るのも楽しいです」

「もともと何か嫌なこと、つらいことがあっても、あまり引きずらないタイプでしたが、相撲を見ている影響なのか、“やめなければ次があるさ”という意識が高まりました」

と話す林さん。

「最高位が関脇だった豪風関も、幕内から十両に陥落したときに、引退危機がありました。でも、やめなかったから、今こうして相撲を見せてもらっています」

7月は名古屋場所へ

7月には林さんの地元名古屋で、「名古屋場所」が開催されます。15日間の場所中、チケットがとれるなら2~3回は足を運ぶのだとか。

「名古屋場所は会場1階に食堂があって、お相撲さんと共用なんです。自分が食べている横でお相撲さんがごはんを食べていることも! なのでお相撲好きな方は、名古屋場所へ来て、食堂でお相撲さんに声をかけるのも楽しみなんです。
ローストビーフ丼を食べていたあるお相撲さんに、『あれ、その量だけで足りるの?』と聞いているお客さんがいて、『これ、おやつなんです』と答えているシーンを見たことがあります(笑)。開催地によっていろいろな楽しみ方がありますよ」

相撲という一生楽しめる趣味と出会い、その趣味を仕事にもしている林さん。

「お相撲さんにはとにかくケガをしないで、戦ってほしい。その上でいい一番(一戦)を見せてくだされば、と思っています」

この言葉からは、相撲への愛があふれていました。

▽ 林ふみのさん

マンガ家。相撲を愛好する名古屋民。推し力士は琴奨菊関。2018年2月より『異世界ちゃんこ~横綱目前に召喚されたんだが~』を竹書房のWebマンガサイト『まんがライフSTORIA´』にて連載スタート。相撲好きOLの日常を描いた『好角家 愛敬紗英 今日の一番』も好評。

▽ 前回の記事はコチラ
林ふみのTwitter

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。
写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子