しなやかな私をつくる本 #22『大人のための美容本』

女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


歳を重ねるにつれて生じる変化をいかしたい

歳を重ねるにつれて、少しずつ変化していく顔や体。20代でも30代でも40代でも、毎日鏡と向き合う私たちの誰もが、日々刻々と変わっていく自分を実感しているはず。変化自体は望ましいものだったり、がっかりするものだったりといろいろですが、不自然にあらがうことなく、変化を「進化」として受け入れていかせたら理想的だなと思いませんか。
アンチエイジングの対策をしすぎるのではなく、エイジングしていく自分を美しく見せたい、いつまでもナチュラルなきれいであり続けたい……そんな思いを持つ人におすすめなのが、美容家・神崎恵さんの新著『大人のための美容本~10年後も自分の顔を好きでいるために』です。

かわいげを残しながらも、凛々しい大人の女でありたい

これまでは、どちらかというと「甘さ」や「かわいさ」を打ち出した著書が多かった神崎さんですが、本書はそれらとは印象を異にします。「はじめに」につづられた言葉からも、それは明らか。無理に飾ろうとしない、等身大の神崎さんの姿を見ることができます。

「『美しい』イコール『若さ』だけではない。重みが出てくる表面に対して、心はぐっと軽やかになっていく。(中略)加えることではなく、削ぎ落とすことで、見た目も内面も清々しく心地いい女になれる。自分の変化のサインを見逃さないこと。これが大人の女には、なによりも重要なことではないかと思う」(9ページより)

今の神崎さんが目指すのは、かわいげを保ちながらも、「凛々しい女」であること。自分に欠けているピースをメイクやファッションで補う、いわゆる足し算する作戦は、大人になると重たくなっていきます。それが「圧」や「押しの強さ」につながっていたとしたら……イヤですよね。

大人になればなるほど軽やかに、余計なものを削ぎ落とし、自分らしい美しさでありたい。そう願う女性たちにとってバイブルとなりそうな本書から、今日から実践したい内容をいくつかよりすぐってご紹介します。

「顔が痩せない」よう努力する

今も昔も、多くの女性には「痩せたい願望」があります。痩せたらきれいになる、痩せたら人生が変わる、と信じている女性も少なくありません。でも、大人になって痩せると、老けた印象になったり、不健康に見えたり、寂しげな顔になったりと、メリットはないのです。

とくに、顔が痩せると老け見えが加速。さらに、口角に不自然な縦ジワができる原因にもなる、と言われます。
神崎さん自身は顔が痩せないよう、ダイエットや運動をやりすぎないようにしているといいます。顔の丸みは女性らしさを象徴するものとして活かす。そう意識しているわけです。

一方で「丸みがたるみにつながるのもまた事実」(28ページより)と警鐘を鳴らしてもいます。たるみも老化を感じさせ、きれいには見えないため、ハリや弾力を与える効果が期待できるエイジングコスメでケアしたり、就寝時は仰向けを徹底したりと、細かいことを心がけているよう。
顔痩せしない対策、そして顔の丸みや曲線を素敵に見せる対策、少しずつ始めてみませんか。

くずれぎわも美しいメイクを目指す

生きている限り、私たちはメイクという装いを楽しみ続けるのだろうと思います。メイクできれいになり、自信を持てるようになるのは幸せなこと。
一方で、メイクには難しさもあります。実年齢に合わせてメイクをアップデートしていかなければ、不自然な印象を作ってしまうことも。

たとえケアをしていても、年齢を重ねた肌は光を反射する「キメ」が粗くなり、乱れていく傾向にあります。もちろんキメを整える努力は必要ですが、神崎さんが大人のメイク、肌作りで重視するのは、「くずれぎわもキレイ」であること。

「肌は24時間新陳代謝する以上、くずれないメイクは存在しない。でも、重ねすぎなければ、くずれてきても目立たないし、指でなじませるだけでリカバリーもすぐにできる。落ちないメイクを考えるのではなく、『くずれたときに、いかにキレイに立て直せるか』が大人のメイクに一番大切なこと」(85ページより)

大事なのはファンデーションやパウダーを重ねすぎないこと。厚塗りすればするほど、塗って数時間は完璧に見えても、1日の後半になると落ちやすくなり、アラが出てきてしまうもの。
「アラを隠そう」とするのではなく、素を感じさせる肌作りが基本。そのためにも、肌という土台、根本のケアこそ手をかけたい、と思わされます。

ウエストのくびれを取り戻す

20代の頃と比べて、ウエストから腰回りにかけて脂肪がつきやすくなった、痩せにくくなったと実感しているという神崎さん。

「かなり手ごわい」と表現する腰周りの肉に関する言及は、美しいスタイルを保っているように見える神崎さんでも悩んでいるの……? と意外にも思えるほど。
「ウエストのくびれをもう一度育てたい」と一念発起し、さまざまなことを試した結果、神崎さんが効果を感じているのはマッサージだといいます。

「正しいマッサージは筋力を高め、代謝を促し、結合組織の力を復活させることができる」(198ページより)

筋トレで腹筋を浮き上がらせるのもひとつの方法ですが、同時にマッサージも必要なTo doなのでしょう。そして、もうひとつはピラティスで教わったという筋膜リリース。

「インナーマッスルを鍛えながら姿勢を矯正。続けるうちに骨格や筋肉のバランスが整い、内臓の働きもアップするので、柔らかな曲線をつくりたいわたしにぴったりと合ってくれた」(199ページ)

最後はとっておきのケアも紹介されています。腹部に力を入れた状態で足を肩幅に開き、膝を少し落とした姿勢で、上半身は固定し、ウエストだけを前後左右に動かし、最後に右回り、左回りにゆっくり回して完了。
実践してみると、ほどよく効いているような気がします。このように、本書にはすぐにでもできる神崎さん流、きれいを作るアイデアが満載です。

曲線で構成された体はまろみがあり、美しさを感じさせるもの。誰かに見せるためではなく、自分が自分の体を好きでいるために、ささやかな美習慣を積み重ねていきたい。10年後も大好きな体と付き合っていくために実践したいボディケアの参考になる1冊です。

2017.05.22

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子